
The Concert, 「コンサート」
1665-66, oil on canvas,
Isabella Stewart Gardner Museum, Boston, USA
「#21/赤い帽子の少女」 (c.1665)では人物に生命とヴァイタリテイーを与える為に、影になった下唇に小さいピンクの、左眼の瞳に明るいグリーンのハイライトを付けている。 フェルメールはこのテクニックをこの絵「#23/コンサート」のテーブル上の楽器のキーや、また「#29/レースを編む女」(1665-70)の色付きの編み糸にも使っている。 フェルメールは、昔の二作品「#14/ミュージック・レッスン」 (1662-64)とこの絵の、前景に単独で置かれた Viola da gamba (チェロの前身)のモチーフを「#35/ヴァージナルの前に座る婦人」(c.1675)に使っている。 更に、この絵の後方の壁に掛けた Dick van Baburen の作品「娼家にて(Procuress)」(1622)を「#35/ヴアージナルの前に座る婦人」でも使っている。
愛のハーモニーを陰喩する音楽賞賛はこの絵の基礎を成している。 フェルメールは楽器を演奏し音楽と歌の拍子を合わせ、完全なハーモニーで合奏している3人の人物を描いている。 即ち、この絵のように、後方にあるDick van Baburen の「娼家にて」の存在は禁制の愛に関連する音楽と、ハーモニーと中庸に関連する音楽のテーマ的な対比を創り出している。
(参考:1990年3月盗難にあい現在も行方不明)