DALAB情報発信用ブログ:OpenCAE+GPGPU+Peridynamics編

DALABで行っている研究活動の中で、OpenCAEやGPGPUや破壊解析の取り組みについてまとめてゆきます。

DEXCS+FLUSH近日公開

2009年12月25日 07時08分20秒 | DEXCS情報
昨日は色々な作業ばかりで、報告する程の技術的な話題がないので、現在準備しているDEXCS+FLUSHについて、ご紹介することにします。
DEXCSは、オープンCAEとして開発し公開しているもので、オープンソースのみを用いて、プリ:モデリング+ソルバ:構造解析・流体解析+ポスト:可視化に対応したオールインワンのCAEシステムです。
FLUSHは、ポータブルグリッドとして開発し公開しているもので、オープンソースの身を用いて、並列処理+ジョブ管理+ノード管理などに対応しUSBで起動するだけで構築できるグリッドシステムです。
当然、CAEなどの大規模数値解析を効率的に処理するためには、並列処理が不可欠でありグリッドの利用が必要となります。それに対応するべくこれらを統合して利用できるDEXCS+FLUSHを開発しています。
構造解析と流体解析において、並列処理を手軽に利用できるものとして、来年度に向けての研究開発の中心課題になると思います。新年には公開を考えていますので、その時にはご紹介したいと思います。

XenServerも結構良いみたい

2009年12月22日 23時48分37秒 | OpenCAE活用
基本的に研究開発では、誰でもが試せることを念頭に、無償のソフトウエアで構築することにしている。最近は仮想化に興味があり、VMware ESXi を色々と試しているが、共同研究会議で XenServer も良いとのことで、試そうと思っている。
どこがどう良いかと言うのは、もろに ESXi との比較が載っているので参考までに。期待しているのは、ESXi は Hypervisor 型でシステムをコンパクトにするためか、デバイスドライバが限定されており、適当なハードウエアを必要とするようだ。
しかし XenServer だと、Linux のドライバが利用されているようなので、ハードウエアの対応が良いとのことだ。これは期待できる。また XenMotion では動的に仮想マシンを移動できるようで、これがやりたかったのだ。
さらに、Windows の Hyper-V との統合管理も出来るし、リソース割当の管理も出来るということなので、色々な可能性が期待できる。こんな有用なシステムが無償出来るなんて良い時代になったものだ。
補足:良いことばかりかと思ったら、ダウンロードでの申し込みや、インストール後のアクティベーション、これを毎年やることなどなど、結構面倒、ちょっとなあ?無償はそれで有難いが、ここまで面倒だと…

VMware ESXiでの仮想マシンの計算速度検討

2009年12月21日 18時54分23秒 | OpenCAE活用
仮想マシンは、ハードウエアの有効利用や動作環境の柔軟な運用など、色々な長所を持っています。でも物理マシン上で直接動作する場合と比べて、計算速度が著しく遅くなると利点が打ち消されてしまいます。さてどれぐらいの計算速度なのか検証してみました。
用いたハードウエアは、CPU: Pentium Dual 1.8GHz RAM: 4GB で、エントリータイプのサーバーです。ここに、Windows Server 2008 32bit をインストールして、姫野ベンチSサイズの実行形式で計測すると、1127MFLOPS となりました。これを基準とします。
さて VMware ESXi は Hypervisor 型の仮想マシンなので、HostOS がない分だけ負荷が少ないと期待できます。どうでしょうか?ゲストOSとして、Windows Server 2008をインストールして同じように試してみると、1115MFLOPS となりました。たった1%の速度低下です。
仮想マシンの長所はハードウエアの有効利用ですから、せっかくの DualCore CPU を生かして、もう1つ Ubuntu の仮想マシンを起動して、この状態で同じように測定してみると、今度は 1106MFLOSP となりほとんど影響はありません。さすが Hypervisor 型は優秀です。
さらに Ubuntu 上で目一杯の数値解析をさせた状態で計測すると、1028MFLOPS となり、さすがにこの場合には 9% の速度低下となります。でも、1台のハードウエアでほぼ2台分の働きをすることが可能です。
と言う事で、Hypervisor 型の仮想マシンは、結構優秀であって、ハードウエアの有効利用に大きな効果があることが分かりました。まあ難点と言えば、ハードウエアが限定されることでしょうか。

VMware ESXiのインストールの条件

2009年12月20日 18時30分26秒 | OpenCAE活用
VMware ESXiはHypervisor型の仮想マシンを実現するソフトで、フリーで利用できるので非常に有用です。ですがインストールに当たっては、色々な条件があります。自分の体験をまとめておきます。
・ネットワークカードが限られる:HostOS型では、OSが多様なNICのドライバをサポートするため、大抵は動作させることができます。しかしHypervisor型では、管理システムが持っているドライバのNICでした利用できません。例えば安価なPCで良くつかわれるRealTekなどではダメな場合もあります。
・ストレージが限られる:こちらも同じ理由ですが、たとえローカルなディスクであっても、管理システムがドライバを持っていないと稼働させられません。例えばNotePCではインストールできない場合が多いです。やはりサーバー用ハードウエアを利用することが無難です。
・メモリが最低2GB:まあ仮想マシンは複数動作させてこそ、その価値があるわけで、それぞれにサーバーとして動作するメモリを用意する必要があります。今時のPCでは4GBもざらですから、サーバーともなれば64bitに対応して4GBが必要だと考えれば2GBは最低限ですね。
色々調べてみると、VMware vCenter Converterを用いて、MicrosoftのVirtualPCやVirtualServerの仮想マシンを変換することが出来るようです。さらには物理マシンを仮想マシンに変換することも出来るとのことです。何か色々なことが出来そうですので、試してみたいと思います。わくわく!

仮想マシンの計算速度

2009年12月20日 05時00分52秒 | OpenCAE活用
最近は、VirtualPC, VMware, VirtualBox などなど様々な仮想マシンソフトが無償で利用できるようになりました。CAEシステムの構築においても、ポータビリティ機能を利用するため、色々と活用していますが、計算速度が気になっていました。
つまりCAEでは大量の計算をこなす必要があり、並列処理まで導入して対処しています。しかし、仮想マシンがハードウエア性能を十分生かしているのか、不安でした。そこで、最新の VirtualBox 3.1 を活用して調べてみました。
まず HostOS に Windows XP を利用して、そこに仮想マシンの GuestOS として同じ Windows XP を動作させています。HostOS は 2GB のメモリ実装で、GuestOS は 1GB を割り当てています。なるべく余分な動作をしないように検証しました。
ベンチマークは、姫野ベンチSサイズで Windows 実行形式を利用しました。結果は。
HostOS上:1051MFLOPS  GuestOS上:1173MFLOPS
つまり仮想マシン上のほうが!速い!という結果です。何か見落としがないか、条件が異なっていないか、色々と確かめないといけないのですが、取り敢えずは、仮想マシンは「結構速い」のではないかと思えるのです。

VMwareESXiでのクラウド対応DEXCS

2009年12月19日 05時22分09秒 | DEXCS情報
世間ではクラウド流行りであり、日経1面に記事が載ることもある。クラスタの流行りの時に取り掛かり、グリッド協議会で仕事をしながらアプリケーションに進んでいった自分としては隔世の感があります。独り言はこのぐらいにして。
オールインワンでオープンソースのCAEツールを統合した"DEXCS"ですが、来年度に向けて新たな段階に向かっています。と言うのはCAEの利用が進むと、解析が複雑高度になり計算量が増加し、並列処理が不可欠になります。
これに対応して、USB起動するだけでグリッドが構築できる"FLUSH"を作っているのですが、これはあくまで個人利用を前提としたシステムです。そこで大規模グリッドを利用できるクラウド対応CAEを色々と考えていました。
そこで問題となるのが、計算のbackendは遠隔地の大規模グリッドとして、frontnedは手元にDEXCSを利用するのですが、これを手元のPCで動作させると、両者のデータ共有で特に解析結果の可視化において相当無理があると思ったのです。
考えを変えて、forntnedもグリッド側においてそれをクラウド的にサービスだけ受けられるようにしようと思い、hypervisor型の効率的なVMware ESXiを利用して仮想マシン上でのDEXCSの動作を検証してみました。
これまでもVMware PlayerでDEXCSは利用しているので期待していたのですが、LANの接続であれば全く問題なく利用できることが確かめられました。CAEの最後には可視化で応力分布などを確認するのですが、自由な操作が可能でした。
今後はこれをWAN接続のVPN上で、どこまで自由に操作が出来るかを検討して、将来のクラウド対応DEXCSの実現を目指してゆきたいと思っています。ESXiはお勧めです。ハードさえ揃えば30分でできますよ。