鰻は鰓(えら)呼吸だけでなく皮膚呼吸もできるそうである。だから普通の魚は水から出るとすぐに死ぬが、鰻は長時間生き続けることができる。鰻が川を遡るのはそのためだろう。川は下流ほどエサが豊富であり魚の種類も多い。最上流で生きていけるのはイワナその次にヤマメぐらいであり、他の魚は生きてゆけない。鰻がエサの少ない上流へ行くのは、川から出て周囲の池や沼に潜り込めるからだと思う。そして小魚やカエルなどを食べ、それらのエサを食い尽くせばまた別の池などを目指せばいい。他の魚より広範囲にエサをあされるから上流へ行くのだろう。
エサを食い尽くした鰻は雨が降り地面がびしょびしょになった夜間に、他の池や川の流れを目指して移動するはずである。そしてたどり着く前に夜が明けそうになれば地中に潜り込んで身を隠すだろう。天敵に襲われるのを防ぐためである。そうやって身を隠している鰻の近くで山芋を取りに来た人が地面を掘りだしたら、鰻はあわてて逃げ出すだろう。それを見た山芋ほりの人もびっくり仰天したはずである。近くには川も池もないのになぜそんな所に鰻がいるのか不思議でならなかっただろう。そしてそれを回りの人々にふれて知らせる。もちろんそんな事はめったに起こらない偶然であるが、あまりに奇妙なので長く人々の記憶に残ったっただろう。そうしているうちに全く別の場所で別の人がそんな経験をしたとの噂がたつ。山芋が鰻になるという俗説が日本全国に伝えられたのは、大昔からのそんな積み重ねによるものだと思う。
西原理恵子さんの「恨みシュラン」シリーズに鰻がいたる所に出没することが楽しく描かれていた。井戸にまでいたそうである。若い鰻は垂直の壁でも平気で登れるらしいので井戸にも潜り込めるのだろう。ところで、このシリーズを読んでいてまだ若かった私は神足裕司さんが自分より年下だと気付いて愕然とした記憶があります。はるかに年上の方だと思い込んでいたのです。
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