濁泥水の岡目八目

中国史、世界史、政治風刺その他イラストと音楽

握手する前に「入れ墨いれてますか?」なんて聞けないでしょ

2019-11-28 14:15:07 | エッセイ

   

    菅官房長官の握手は社交儀礼上のものに見えるけど

   福島瑞穂さんはとても親密そうですねぇ!

 

 人権は「国家権力」によって守られる。こんな当たり前の言葉を忌み嫌う人々がいる。人類は平等であり、すべての人類一人一人の人権は絶対に守られなければならないそうである。
 でも、誰が守るの?国家が自国の国民の人権を守る以外に守ってくれる者なんて誰もいない。ローマ法王でも無理でしょ。「守ってやりなさい」と口でいう事しか出来はしない。そんな世界を変えるんだ!と叫んだのが共産主義を唱えたマルクスで、共産主義を実現させるために共産党を創ったのがレーニンである。人類すべてに人権を与える素晴らしい共産主義世界を地球上に打ち立てるためである。自国の国民のみを守る国家は邪魔だから破壊せねばならない。だからレーニンのソ連邦はすべての国家を消滅させることを理想とした国家なのであった。その素晴らしい理想を実現させるためにはどんなことでもやらねばならない。絶対権力が必要なら権力を集中させて敵対するものは殲滅させるのだ。
 民衆を党が支配し党を党委員会が支配し党委員会を最高幹部会が支配し、最高幹部会を一人の独裁者が支配する最も無慈悲なスターリンの全体主義国家が出現した。こんな事はバクーニンがマルクスを批判して最初から言っていたんだよ。あんたの唱える組織なんてそうなっちゃうよってね。バクーニンも国家さえ無くなれば理想社会が実現すると思い込んでいたイカレポンチだから目糞鼻糞なんだけどね。
 国家は国民を守り選挙権を与える。これはレマルクの「汝の隣人を愛せ」新潮文庫上巻に皮肉っぽく描かれている。ナチスドイツから脱出した人々は弁護士やインテリでもパスポートを持てず、どの国でも居住する権利すらない難民である。彼等の隠れていた安宿が警察の取り締まりを受け全員が留置場にぶち込まれた。彼等の一人が酒瓶を持っていたので皆で回し飲みを始めた。ところが一人の男が飲むのを拒んだ。「俺はあんたらの仲間じゃない」と言うのである。「じゃあ何故ここにいるのですか」と問われると男は偉そうに「職業上の理由さ、俺はプロの掏摸でイカサマばくち打ちなんだよ」と自慢するのである。国家は職業的犯罪者を刑務所に入れても国から追い出したりはしない、いや出来ない。選挙権はそれなりの見識を持った人々が行使するべきで馬鹿には与えるななんて言う人もいるけどさ、馬鹿にだって選挙権を与えざるを得ない。誰が馬鹿と決めるんだよ。しかもそんな事をしたら馬鹿が怒るぞ!日本中の馬鹿が暴れだしたらどーするんだよ。選挙なんて行った事のない馬鹿ほど怒るはずだよ。その国民として生まれた者には全員に国民の権利を与えざるを得ないんだよ。選別するには手間も経費も掛かりすぎて割に合わないんだよ。最近よく聞く反社会勢力とか言う人々は選挙権が無いの?彼等から選挙権を取り上げられないのが法治国家だし議会制民主主義でしょ。印象操作だけでギャーギャー言っている低能共には本当にうんざりさせられるよ。入れ墨入れるのは犯罪ではないし、過去に犯罪を犯しても罪を償って真っ当に生きていれば堅気でしょ。前科一犯の人だって国会議員にいるんだし、昔は「刑務所帰り」だって大手を振ってのさばっていたよね、懐かしいなぁ。
 入れ墨者にも「一票」はあるんだから現役のヤーさんでもないかぎり平等でしょ。政治家が握手を拒んだら「差別」になるんじゃないの?ところでなぜヤクザと言っちゃあ駄目になったのかなぁ。反社会勢力なんて紛らわしいよ。オウム残党だってどう見てもそうなるでしょ。


北はミサイルを飛ばせるが南はなぜダメなのか

2019-11-21 14:28:01 | エッセイ


 韓国の最も重要なはずの軍事開発事業が失敗続きで支離滅裂であることは良く知られているが、その理由を考えたらこういう結論を得た。もちろん私は韓国にも軍事にもズブの素人だから、ただの思い付きである。でも「漢江の奇跡」を成し遂げた国家が現在のようになぜ堕落したかと考えたらそうとしか思えない。
 韓国で一番成功しているサムソン財閥も創業者イ・ビョンチョルをはじめ完全独裁体制であり、労働組合すら無い。だから繁栄を極めたのであろう。労働組合が出来てしまった財閥は明らかに衰退し始めている。日本の大企業は労働組合が出来てからも経営がかえって安定したりした。組合は企業が潰れれば自分たちは失業するという現実をしっかり見ているからである。「親方日の丸」組合は潰れる心配がないと思い込んで暴れまくったりしたが、国労の末路を見て少しは頭も冷えただろうね。
 ところが韓国の組合は全く現実を見ようとしないらしい。企業が倒産しかねない要求を声高に叫んでストを繰り返すのだそうである。目をつぶって叫びながら崖に向かって全力疾走するのである。今の韓国外交と同じである。どうも韓国は「民主化」すると現実が見えなくなるらしい。民主主義とは多数の人々の意見を尊重する制度である。多数の人々の意見が正しければ何の問題もないが、馬鹿ばっかりになったり私利私欲に走れば末期のアテネみたいに国が亡びるのである。そうならないためには言論の自由が重要である。馬鹿は馬鹿、売国奴は売国奴と言って多くの人々に現実を知らしめなければならない。もちろんその言葉が間違っているのなら、批判を受け入れる覚悟も必要である。嫌われたくないとか批判されたくないとか逃げ回ってルーピーやルーピー2号を野放しにしてんじゃねーよ、それともつるんでるのか?おっと口が滑っちゃったゴメンネ。
 巨額の国費を使う大事業には一人一人のモラルが重要である。自分の職務を誇りをもってやり抜く専門家集団がいてはじめて成功する。もちろんそのトップには最もモラルが要求される。政権担当者から命令された事業を完成するまで全力をつくすのだ。民主的体制ならそういう人々なしに事業は出来ないはずである。独裁体制なら粛清の恐怖によってやれるかもしれないけどね。お隣は大金を使って空母を造るんだそうだけどさ、空母ってムチャクチャ難しくて手間のかかる金食い虫なんだよ。よほど有能で真面目な専門家が多数いなけりゃ金が消えるだけだろう。ザルに流し込む水の量が密封した容器の水より増えたってザルを恐れる必要はないと思うけどねぇ、これも素人考えだけど。
 


「手取り14万円でもいいんだよ、にんげんだもの」相田みつをは心の底からの善人だとは思うが・・・ひょっとしたら悪魔かもしれない

2019-11-14 14:29:34 | エッセイ


 山本七平さんが「軍医の治療」について述べていた。軍医の治療は極めて効果的で傷も病も早く治るのだが、患者からは少しも感謝されずに恨まれたそうである。世間のお医者さんにとって患者はお客さんでもある。嫌われたら他所に行ってしまうから、出来るだけ痛くせず苦しまないようにしなければならない。そのために治療が遅れてもしかたがないと諦めるのである。
 軍医は全く違う。軍医の治療は「軍事行為」なのであるから最も早く成果を出すのが優先される。痛かろうが苦しかろうが関係ないのである。それに軍医の治療は「軍の命令」とされるから、たとえ上官であろうとそれに従わざるをえない。ましてや階級が下ならどんなに苦しかろうが絶対服従である。だから軍医は故障した兵器を修理するように傷病兵をてきぱきと治してゆくのである。治してもらうのはいいが、その痛みや苦しみは忘れられないものとなり軍医は感謝されずに恨まれたそうである。
 堀江貴文さんの教えも「軍医の治療」なのであろう。確かに効果的なのだろうが、あまりにも苦しくて辛いことをやれと言われて恨む人も多いと思う。堀江さんには楽々やれることだって、死ぬ気で頑張ってもやれない人だっているはずだよ。私もはっきり言って頭は良くないし飲んだくれだから、二日酔いでボケーと一日中寝ているのが大好きだったりしたんだ。歴史が好きで色々調べたり考えたりはしていたんだけど、俺の頭じゃあ文書にまとめるのは無理だろうと諦めていたんだ。でも、吉本隆明との対談で鮎川信夫さんが「やる気さえあれば頭なんて悪くたって文章は書けるからね、頭が良くてもやる気がなければだめだ」という意味のことを語っていたのを読んでなんだか自信がついたんだよ。私は鮎川信夫さんの詩は全く分からないし興味もなかったんだけど、やはりこの対談シリーズで「私は誰とでも親しくなるのは嫌ですがね」と語っているのを読んで、ああこの人は俺と同じなんだぁと親しみを感じて興味を持って、エッセイなどを読んで自分が学ぶべき人の一人として尊敬していたんだ。吉本隆明は小室直樹さんの真っ当な日本の労働運動(ムラ)批判(所属する組織によって労働者の身分が違う)という厳しい意見を左翼丸出しで見当違いの反論をしていた時から信用していなかったが「私は国家が崩壊したのを見た」などと馬鹿なことを言いだしたから愛想をつかしたよ。敗戦直後の日本は混乱したし一部では無法もはびこったが、決して崩壊などしていない。国家の崩壊とは「殺戮と強奪とレイプ」がやりたい放題の生き地獄なんだよ。国家という「巨大な暴力」が消えれば無数の小さな暴力が暴れまくって手がつけられなくなり「人が人にとって狼となる」なんてことは大昔の賢い人がちゃんと教えているのにねぇ。

 堀江貴文さんみたいな叱咤激励より、鮎川信夫さんのさりげない一言が私にやる気を出させて頑張らせたんだよ。それを思うと相田みつをさんの言葉は悪魔のささやきみたいで、いくら読んでもやる気は出なかったはずだよ。

 


 

 

 


 

 


今東光のいじめ対策は「ドスを持て!」である

2019-11-07 14:27:58 | エッセイ

 今東光は「極道辻説法」シリーズの中で大学に入ったが毎日のように「嗚呼!!花の応援団」みたいな連中に勧誘されて困り果てているという投書に「ドスを持て!」と回答していた。そして相手がもし暴力をふるうようなら刺しちまえ、とも言っている。そして刺してから、なぜ自分がこんな事をせねばならなかったのかを堂々と主張すればいいのだそうである。そんな理不尽な行為を野放しにしている大学当局の不当性を主張しろと言いたかったのであろう。そもそも「いじめ」はそれを見て見ぬ振りをしている責任者や管理者が必ずいるはずである。弱いものいじめの大好きな卑劣な奴はどの社会にも必ずいる。それを放置する組織や体制こそが「いじめ」の原因なのであり、その責任を徹底的に追及するべきだと思う。
 旧制中学の5年生がいかに恐ろしかったかは「次郎物語」の第二部で主人公が旧制中学の始業式の後に行われた、5年生との交流会に出席する場面にありありと描写されている。学校はこれが5年生の1年生に対する脅しであるのは承知の上で見て見ぬふりをしていたのである。その場に教師は誰もおらず、ある教師は気の毒そうに次郎達にそんな会があると伝えるのである。昔からの風習でどうにもならなかったのだろう。帝国陸軍の「私的制裁」や帝国海軍の「尻バット」と同じであり、因習を変えられない無能の証である。次郎は5年生に目を付けられて暴行されても凄まじく反撃するのである。そして後になって因縁をつけてきた5年生と今東光のように刃物を引き抜いて立ち向かっている。弱い者いじめをする奴は腑抜けだから手も足も出なくなる。不良でも本物は自分より強い相手に挑戦し負け続けても最後には勝って強くなっていくのであり、弱い者になど目もくれないのである。