中西正男の「ご笑納ください」

デイリースポーツで13年半、芸能記者として勤務。現在は朝日放送「おはよう朝日です」などに出演させていただいております。

暴走戦士。

2010-03-09 17:38:43 | Weblog
まだまだ下り坂なのか峠は越えたのか一向に分からない鬱陶しい天気や、しっかりとアンニュイなバタバタが重なり、人生初の鬱スパイラルに入ってしまいました。

何をするのもけだるい、けだるいから何もしない、何もしないからふさぎ込んでもっとけだるくなる。

これではいけないとハッと気づき、スパイラルから脱却すべく、お気に入りの沖縄料理buffetに向かいました。

ゴーヤ、島らっきょ、島にんじん、もずく、昆布、アオサなどで錆び付いた体を浄化し、そこにラフテーやテビチを投入し、腹の底からパワーをいただく。

体が欲しているものを好きなだけいただき、ホコリをかぶっていた機能が少しずつ回復してくる感覚を楽しんでいると、入店時よりも鋭さを取り戻した目と耳が隣席のお客さんたちをとらえました。

歳の頃なら20代後半から30代前半。若くてオシャレな主婦3人組といった方々でした。

ファッショナブルで上品で、オバチャンがガヤガヤ喋るガサツな感じとは違うなと思っていたのですが、回復した耳でさらに盗み聞きをしてみると、どうも様子が普通ではない。凄まじいまでに、よそよそしいのです。圧倒的なよそよそしさに、僕のセンサーが反応したようです。

さらにさらに、盗み聞きの出力をあげてみると、三人とも関東から転勤してきたご主人についてきた方々みたいで、同じ社宅に住んでいるとか、同じ産婦人科に通っているとか、そんな共通項はあるものの、しっかりと話をするのは初めてといった風情でした。

いただきますと割り箸を割る瞬間から、デザートを食べ終わるまで、寄せては返す波のように、敬語と仲良し言葉(ザル豆腐並の強度)が同じ場所を行ったり来たりし『へ~、そうなんだぁ~』がまるでショートコントのジングルのように挿入されていました。

会話の維持に必死なのか、お一人はフォークに刺したサーターアンダギーを右手に持ったまま、20分はその体勢を続けてらっしゃいました。

食べる時は食べ物に畏敬の念をはらいながら、一生懸命に美味しくいただく。そんな僕の考えからかけ離れ、しかも話されている内容が『うわべド真ん中』(惜別WJ)。

本来怒ることではないでしょうが、会話内容、声のトーン、心の距離感、どれをとってもあまりにも『うわべド真ん中』(哀悼WJ)だったため、揺り戻しで、ついつい映画『バトルロワイアル』のビートたけしさんのセリフ『今日は、皆さんに殺し合いをやってもらいます』のモノマネをしていました。

クーブイリチャーをいただいていても、黒糖ブランマジェをいただいていても、頭の中ではブラック・サバスの『アイアンマン』が延々と響いていました。

沖縄スローフードで緩やかにパワーを取り戻そうという目論見は外れましたが、ネズミを食べてでも生き延びるパワーが体に漲った気がしました。

沖縄料理店を出る時に、控え室から花道にダッシュしていくロードウォリアーズばりに道路に飛び出したら大型トラックにひかれそうになり、ちょっと我にかえり、トータルでちょうどいい漲り方に落ち着いた35歳。