どうしたことか。
あたりは瓦礫の山。
いったいなにがあったのかわからない。
とにかく、そこにあるのは自分も含め、ボロボロになった人たち。
なにはともあれ、生きていかないと。
まず、食べ物が要る。
水が要る。
身にまとう物が要る。
そして、雨風をしのぐ屋根が要る。
コンクリート?そんなのないよ。
よし、その石を掘り出して基礎にしよう…。
JAS規格の材料?なんだそりゃ。
隣のじいさんが、どこかで廃材拾ってきた…。
使える…。
ボロボロに錆びた鉈(ナタ)を発見!
藁を集めて縄をなって…。
よし、これで家が建てられる!
よかった!
ところが…!
建築基準法により、確認申請が必要。
あちこち駆け回って申請費用集めて、図面ほか、書類提出して、どうにかOKでるものの、その大工が「建設業許可」をとっていたがために瑕疵担保保険が強制加入!
今度は免責項目を覚悟で3条申請。保険の返事がくるまで着工できない。
そうこうしてる間に、となりのじいさん死にました…。
と、ここで目が覚めるのだが…。
昔から伝わる方法で、家を造りたいと思って、いろいろ動いてみる。
かならずぶち当たる…。
木材の乾燥がどうとか、壁の強度がどうとか…。
ある仕事仲間の大工が言ってた。
彼は、「不謹慎だけど…」と前置きをした上でこんなことを言った。
「もし、大災害とかで、世の中がめちゃくちゃになったとしても、そのとき、そこに残ったもの、そこで調達できるもので、家を建てることができる…、そんな大工になりたい…」。
実は、自分も同じことを考えている。
もちろん、大災害など、起こらないほうがいいのだけど、ただ、もし、本当に、あたりが焼け野原になったとイメージしてみる。
今、当たり前に、工業製品にあふれて、お金をだせば手に入る。
便利になったのと引き換えに、人間は生きる知恵をどんどん失っていく。
残していかんといかんのです。
人の力だけで生きていく知恵を。
なんで、こんなややこしい世の中になってしまったのだろうな。
明石海峡の夜景を前に、今、この時代に生きているという事実とのすり合わせに苦戦する自分が居た。
純粋に綺麗な夜景なんだよな。
ETC割引がどうとかこうとか…、ああ、ちっちゃい人間だ、自分。