大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

天に向かって声上げて…

2009年06月20日 | 文化
「建築」として捉えがちなのだけど、そんなもんじゃないんだ。
村の人たちが集まってきて、生きていくための「結い」。
お祭りや、田植え、稲刈り…。
きっとそんな暮らしのなかのひとコマだったに違いない。



労働歌「ヨイトマケの歌」というのがある。

美輪さんのあの「よいとまけの唄」の挿入歌となってる「ええんやこーら」ってやつだ。
女手一つで子どもを育てて…っていう…。
多くは都市部の建設現場で唄われたようだけど、このあたりの田舎の普請では、少し事情が違って、「とうちゃんのためなら…」とはいかずに、「音頭とり」といわれる人が扇子なんぞを持って、はやしたてて、酒を飲んだりしながら村人が総出で綱を引いたりということだったようだ。
だから今回の「地ツキ」のことを「よいとまけ」と呼ぶのは本当はちがうかもしれないけれど。

で、年配の板金職人さんが、唄を覚えていた。

♪ことのはじめを一といふ~
と唄うと、
「わっしょい!わっしょい!わっしょい!」
とみんなで綱を引き離す。

そして10まで数えたころにツキ固まっているということだ。
もちろん地盤の状態によって唄う回数は変わったことだろう。

田園風景に、皆の掛け声が響き渡る…。

平成の世に、人力で地固めをする、ってのを笑う人もいるだろう。
呆れて、馬鹿にする人もいるだろう。

でもそこには、経済社会のなかでは理解できない、構造計算では解析できない、
インターネットでは伝えきれない、何かがあった。

参加いただいた皆さん、本当にお疲れ様。
この心のこもった基礎石の上に建てる柱だもの、しっかり刻ませていただきます。
ありがとうございました。




★まったく、タイムリーな話で、先日、朝日新聞のコラム「社説」(6月21日付)に「石場建て」が取り上げられ、また、国会予算委員会で、その「石場建て」についての答弁が繰り広げられました。
ようやく、現場の気持ちが中央に届きはじめた感がします。
もうええかげんに、庶民の暮らしを苦しめる法律は見直して、早く、普通に家造りができる時代に戻ってほしいと願ってやまないのでした。

(23日追記)