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袴田事件の裁判官・狂った裁判官・裁判官のお言葉集

2007-06-26 05:12:49 | ニュース
1966年の「袴田事件」で一審死刑判決を下した元裁判官が
判決を誤りだったとする上申書を提出したそうです。
裁判所が動いたわけではないのでマスコミの扱いが小さいのは
やむを得ないですが,注目し続けなければならない大事な問題では
ないかと思います。

袴田事件の元裁判官、最高裁に上申書 再審求める
2007年6月25日(月)12:31 (朝日新聞 - gooニュース)

 元プロボクサーの袴田巌死刑囚(71)が冤罪を訴えて再審を求めている「袴田事件」で25日、同死刑囚の支援者らが最高裁に上申書を提出した。一審の静岡地裁判決(68年)を担当した元裁判官の熊本典道さん(69)の陳述書も添付。「公判の当初から無罪の心証を持っていた。合議で他の裁判官を説得できず死刑判決を書かざるを得なかった」などとしている。

 裁判官が判決を出すまでの経緯を明かして再審を求めるのは極めて異例。提出後に記者会見した熊本さんは「袴田君と犯罪事実を結びつける証拠は極めてゼロに近かった。自白調書の任意性について調べ始めたころから、私は有罪にできないと思った」と当時の審理を振り返った。


「良心の呵責(かしゃく)に堪えられず判決の翌年、裁判官の職を辞した」
「39年間、有罪(死刑)判決を書いてしまった責を背負ってきた。
私に出来ることがあれば償いたい」



「袴田事件」死刑判決の元裁判官、再審求め上告書(2007年6月25日13時31分 読売新聞)
「合議の結果、他の裁判官を説得することが出来ず、死刑判決を書かざるを得なかった。」
上申書は、袴田死刑囚の支援団体が、約4000人分の署名と合わせて提出した。
弁護団が提出する書面などと違い、法的な効力はなく、
事件を審理する最高裁第2小法廷の裁判官が読むかどうかは、
「裁判官の判断なので分からない」(最高裁広報課)という。


「有罪はむちゃと思った」袴田事件の元裁判官が吐露(03月09日 共同通信)
取り調べた警察官に公判で質問した際、
最初から袴田死刑囚を疑っていると感じたという。
「警察官は『2人で袴田死刑囚を挟んで調べを続けた』と答えた。
ボクサーでも20日間も密室で警察官に挟まれて過ごし、
耐えられるかと(自供の任意性を)疑った」


刑事事件の捜査というのは
誰でもいいから「犯人」を捕まえればいいってわけではないし
刑事裁判というのは検察や警察の書いたシナリオを
承認する装置ではない。

はずなのですが…

袴田ネット・袴田事件
(袴田巌さんの再審を開き,無罪を勝ち取る全国ネットワーク)
> 犯行着衣はパジャマ、雨合羽は白っぽいパジャマを隠すために
> 使用(検察官の冒頭陳述)→犯行着衣は5点の衣類(1年2ヶ月後、
> 5点の衣類発見後変更された冒頭陳述)→殺害行為のときは
> 5点の衣類を着用していたが、工場内でパジャマに着替えを
> して放火(裁判所の認定)


動機や殺害~放火の過程に関する事実認定もいまいち説得力がない,
そしてその犯行シナリオが証拠が出るたびにコロコロつじつま合わせで
変遷し,つぎはぎだらけの不自然なものになってしまっている。

死刑の是非以前に,「有罪」判決を下す上で必要な
「合理的な理由」のハードルが低すぎやしないでしょうか。

袴田巌さんは精神的に過酷な拘置生活が祟り
「宇宙神によって無罪の判決が下されている」といった
接見や面会時に精神に異常をきたしてしまったと思しき言動を
繰り返しており,
仮にこの絶望的な法の壁を越えて無罪を勝ち取ることができたとしても
平穏な生活を回復することは望みようがないといいます。
保坂展人のどこどこ日記さんによると
 最近は拘禁状態からやや回復し,面会者と共通の話題で
 会話ができているそうです。


安易な見込み捜査,面子のためか手間を惜しんでか
一度見込んだ「真犯人」を罰することが正義だと妄信するのか
矛盾が見つかっても見直しを行わずつじつま合わせに走る,
その犯行シナリオを簡単に認定して被告人を機械的に
執行の場へ送り込む…その結果,被告人やその周りの人たちの人生は
滅茶滅茶にされ,真犯人は野放しとなり,事件の真相は
誰にもわからなくなってしまう。
その重さに対する自覚が足りない人が最高裁判事以下,
法曹界に少なくないように思います。

こんなにある20世紀の冤罪事件(FUKUSHI's Web Page)


こんな昨今,裁判官の姿,実像がうかがい知れる本が
売れているようです。

狂った裁判官
井上 薫
幻冬舎¥ 756 (税込)

正しい判決を下すことよりも、担当の事件を手際よく消化する“黒字”の判事が出世する独特の裁判官の人事評価。そして評価が傷つく裁判の当事者や弁護士からのクレームは徹底的に避けようとする。よって,原告の敗訴が必至の荒唐無稽な訴えでも控訴されないよう被告に和解を勧める…
『司法のしゃべり過ぎ』や一連の司法批判発言で干され,昨年横浜地裁を退官した際にもすったもんだがあった著者だけに,うらみつらみで筆が滑った部分が多々見受けられる,本の前半はまともな正論なのに後半に進むに従って著者自身の感覚の世間とのズレが目につくといった批判も否めないですが,今,裁判所の現状を中からの視点で教えてくれる人はこの井上薫氏かタレントの八代英輝弁護士(→profile)くらいですから貴重な1冊であることは間違いないでしょう。
「有罪が99%」で有名な日本の刑事裁判,裁判官にとって無罪判決を出すのは非常にハードルが高く,控訴審で判決が覆ると昇進に差し障るという実情は,大学で法律関係の講義を受けた人なら1度は聞いたことがある話だと思いますが,内部にいた人間に示されると改めて愕然とさせられます。



裁判官の爆笑お言葉集
長嶺 超輝
幻冬舎 ¥756(税込)

前者の本と並べて置いてある本屋さんも多いですが,10万部突破という帯がつくだけあって一定規模以下の書店だとこちらだけが置いてあるケースが多いかもしれませんね。
社員1人当たり2億円の売上げを挙げるという幻冬舎だけに「売れる」タイトルに凝ったのか「爆笑」などと受けを狙ったような書名になっていますが,読んでみると著者の編著姿勢はいたってまじめであることが伝わってきます。

有名な「さだまさしの『償い』」諭旨を初めとして
死刑もあり得る事件の有罪判決で「無期懲役でもしかたないよね」
居眠りばかりオウム真理教教祖松本智津夫に「机のところで頭を打つぞ」
「納得できないかもしれませんが死刑を下す(ここでは下せない)
 というのはそういうことです」
(被害者の減刑希望があり)軽い刑が下された昏睡強盗の女に
「執行猶予が当然だと思わないように」
死刑判決を下しながら「被告人は控訴して他の裁判所の判断を仰ぐように」

思わずツッコミたくなるような裁判官のセリフもあれば,
逆に裁判官から不遜な被告人への皮肉やツッコミあるいは励まし,
死刑を下す苦しみ,逆に無茶苦茶な犯人(被告人)に厳罰が
適用できない悩み(被害者への申し訳なさ)…

無機質な法の場に少しでも血を通わせようという真摯な工夫・努力あり
思わず漏らしてしまった本音あり…
人間くさい裁判官の姿が伝わってきます。


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はけないズボンで死刑判決―検証・袴田事件

袴田事件弁護団
現代人文社(¥840(税込))

袴田事件

山本 徹美
新風舎(文庫¥890(税込))

自白が無実を証明する―袴田事件、その自白の心理学的供述分析

浜田 寿美男
北大路書房(¥3,780(税込))

交渉の論理力!―どんな相手も説き伏せる切り返し術

八代 英輝
日本文芸社

主よ、いつまでですか―無実の死刑囚・袴田巌獄中書簡
  袴田 巌 (著), 袴田巌さんを救う会 (編集)/ 新教出版社


裁判官が日本を滅ぼす

門田 隆将
新潮社

裁いてみましょ

酒井 直行, きら/集英社
裁判官・長澤あずさ(29)を主人公に裁判員制度を描く近未来シミュレーションコミック

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3 コメント

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Unknown (11111111)
2007-07-03 02:29:19
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3333333333
返信する
コメント有り難うございます (d_d-)
2007-06-27 19:04:53
のびぃ太さん,いつもありがとうございます。

熊本元判事の行動は長年の沈黙を破ってのものだけに
その苦悩の深さ,(彼が抱える)“事実”の重さを感じさせますが,
関連ブログを回ってみると「とんでもない,許されない行為」
というバッシング的な意見もけっこうあるんですよね。
(判決の翌年に辞めて40年近く経っての話なので
 時効の概念が適用できるなら完全に範囲内だと思いますが)
確かに法に触れることのようで,
熊本氏がこの件にかかわることで逆に無実を晴らす障害に
なるかもしれないという見方もあって,悩ましい話です…。
返信する
Unknown (のびぃ太)
2007-06-27 17:52:20
40年も前の事件、全然記憶にありません。
多分、当時は大騒ぎした事件だったのでしょうが、もしも冤罪なら、残酷なことで、最近言われる裁判員制度などトテモではありませんがお断りです。
ブログができているようですね。

http://kumamoto.yoka-yoka.jp/
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