D.D.のたわごと

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軽くて薄い女子大生誘拐事件の報道

2006-07-01 13:53:46 | ニュース
6/20話題の凶悪事件3件◆光・宇治・藤里
6/21山口県光市の母子殺害事件 三者三様
凶悪事件の裁判や捜査・報道に関して考えをUpしましたが,
あれからわずか1週間の間に,
奈良の高1が家族3人放火殺人事件,
東大阪の大学生リンチ生き埋め殺害事件,
有名美容整形女医の娘誘拐事件
と暗い事件が立て続けに起こりました。
で,6/28に6月下旬・続く凶悪犯罪◆奈良・東大阪・渋谷と題してUpしたのですけど
間に合わせの時間で女子大生誘拐事件の囲み取材を批判しただけで
終わっちゃって,その後,続きを書くだけのモチベがちょっと上がらなかったので
光クラブのドラマをつけながらコメントへのレスを書く程度で
夜を過ごしたのですが,ふと他の人たちのブログを巡回してみると,
笑っちゃうくらい被害者母子へのトーンが冷たかったですね~。

この事件,被害者が無事で犯人も逮捕されただけに
A・証拠を残しまくりの荒っぽい手口であっさり捕まった犯人グループ,
B.まちがえて隣の棟の305号室に踏み込んでしまった警察,
C.自分の高収入をマスコミでひけらかしながら無防備すぎた被害者
さて一番バカなのは誰でしょう?

というくらい,この手の犯罪としては例を見ないくらい
どこをとっても深刻さが薄い,
まさに360°全方位ツッコミ所の宝庫という事件。
ほっとすると同時に,
視聴者の感情が「人騒がせな!」という方向に傾いちゃったみたいですね。

> 某夕刊紙の見出し「同情なし」

> 「livedoor ニュース:倫理欠くカリスマ美容医・美人女医を放置していいのか 」

> そして、大学4年にもなるのだから、受け答えはあれじゃいかんわ。

> 月収1億で用意できる身代金が4~500万円。ベンツより安い娘の命だな

> 成金丸出し

> 金持ちの自業自得だろと 驕りだろうと

いや,いちいちごもっともなんですけどね。
出産・離婚後に医学部に入学して開業医にまで登りつめるのは
そりゃ大したものだけど,ここまで金持ちになってしまえば母子家庭の境遇も
「同情」の対象にはならないし,
娘さんが就いているという化粧品販売会社「代表取締役」も
広告塔の役目くらいで,実質的な経営への関与は何もしていないだろう
(それで役員報酬はお母さまからがっぽり)というのは見てとれますし,
金持ちを吹聴しておいてガードを付けずに1人でバス待ちというのは
確かに無防備。
この誘拐騒ぎ(れっきとした事件なんですけど),もし要求の3億円払っても
おつりがくるくらいのパブリシティになったであろうことは事実,
事件直後の囲み取材を拒否せずに応じたのも計算があったのだろう。
まして「かなちゃん,かなちゃん」とわざわざマスコミの前で
抱き合ってみせる姿にあざとさを感じない人がいないわけはない。

けどまぁ,何につけてもマスコミは最強ですわな。
(誘拐された本人である娘はともかく)パフォーマンスしてみせる母親も,
それを見てむかつくわれわれ視聴者も
完全にマスコミに踊らされてるわけですから。

被害者の母優子さん、2年で16番組出演 女子大生誘拐
2006年 6月30日 (金) 16:48

 誘拐された池田果菜子さん(21)の母優子さん(47)は、美容外科医としての成功談が何度もテレビや雑誌に紹介されている。2人暮らしであることや自宅周辺の様子、果菜子さんの名前や背格好も公表されていた。
 優子さんは04年以降、少なくとも16本のテレビ番組に出演している。民放のバラエティーが大半で、「カリスマ」「セレブ」などといった紹介のされ方が目立つ。
 昨年5月放送の日本テレビ系「世界!超マネー研究所」では、3億2000万円で購入したという自宅が紹介され、親子2人で出演した。テレビ東京系の「ソロモンの王宮」では3台の高級車を保有している上に、果菜子さんを伴ってディーラーを訪れ、5000万円のロールスロイスを購入する様子が放映された。
 テレビ朝日の「富豪刑事デラックス生活大逆転SP」では、果菜子さんが「お嬢様と貧乏芸人が生活を逆転する」という設定で出演。42畳ある自宅のリビングルームや、昼食に中国宮廷料理のフルコースを食べる姿が取り上げられた。
 優子さんは週刊誌のインタビューにも積極的に応じた。今年2月24日号の週刊ポストでは「時給100万円。去年は12億円以上稼いだ」などと発言。00年以降、少なくとも6誌に7回登場した。
 自ら経営する美容外科のクリニックのホームページでは、こうしたメディアへの出演情報が随時更新されている。
 優子さんが出資し果菜子さんが代表取締役を務める化粧品販売会社「ラブハーツ」によると、クリニックは雑誌やインターネットに広告を出しているが、テレビCMはない。関係者は「その分、広告塔として本人がテレビ出演することが、宣伝につながった」と話す。
 「ただ、今回の事件は予想外だった。テレビを見た人がすべて犯罪を考えるわけではないでしょうし……」
被害者の母優子さん、2年で16番組出演 女子大生誘拐 (朝日新聞) - goo ニュース


「カリスマ女医」「セレブ」とまつりあげておいて
(叶姉妹などに対する扱いと一緒で,バカにしているのと表裏一体ですが)
犯罪被害者になったら精神的ショックもおかまいなしに取材の標的。
事件直後でまともなコメントもできない娘と
中途半端な計算しかできなくてアンポンタンなパフォーマンスをする母の
ツーショット会見が撮れました。
さあこの素材を使って,
悲劇の主人公をつくろうが,間抜けな成金被害者に見せようが
編集次第で思いのまま。

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白
斉藤 寅/草思社
日本人に警鐘を鳴らす勝谷さんイチ押しの書。ただし100%信じると危険な点もあるので注意とのこと
古今東西,金持ちが身代金目的で狙われるもの。
ラテンアメリカやらアジア諸国など,日本人だから(特にバックに大企業の
ついている駐在員)という理由で狙われるケースは後を絶たない。
しかも,日本だって,決して安全な国ではない,
勝谷誠彦氏のWeb日記(6/27~29分)が指摘しているように,
今,中国人・韓国人らによる犯罪集団“クリミナル・グループ”が,金を奪うことと同時に,日本を荒らして傷をつけること自体を目的にして全国で暴れ回っているのだから。
という警鐘を発するという意味であればいい機会になったような気もします。


しかし,日本の報道って,
「かわいそう」か「けしからん」
この2点のどちらかを示して,
視聴者の感情を煽るだけでいつも終わってないか?

今回の報道だって,
被害者の自宅の間取りを紹介してたそうですし(泥棒だって強盗だって,
一度被害に遭った店や人って,勝手を知った犯人に再び狙われるケースが多いでしょう)
逮捕のポイントとなった「実名でレンタ」「ナンバーそのまま」
「娘の携帯を使用,電波状況から位置把握」など,
ものによっては悪事をはたらく側に役立つ情報は扱いに慎重になるべきでは?
(犯罪のプロにとっては先刻承知のことなのかもしれませんし,
 テレビで紹介される程度のポイントを1つや2つ潰したところで
 安全に逃げられるわけではないんでしょうけどね)

これを,マスコミ(新聞が何日も大きく扱う性格の事件じゃないから
テレビが主ということになりますが)が,注意を促すいい機会と
みている感じはないですよね。

どうも,とんでもないドジを踏む警察でも無事犯人を捕まえたし,
被害者のキャラと被害状況からいっても,
際物事件で片付けられそうな雰囲気ですね…。
「ちょっと痛い目程度で済んでよかったね」
「俺らカリスマ様でもセレブ様でもないし関係ない」
めでたしめでたしと…

イラクの邦人誘拐・襲撃事件でもそうですけど,
公務で襲撃され亡くなってしまった奥大使(参事官から特進)と井ノ上正盛一等書記官(三等書記官から特進)のときには賛美一辺倒(人物的にも実績的にも素晴らしい2人の無念の死ばかりに目をやって,日米政府や外務省に問題が落ち度がなかったかうやむやにする目くらましになってはいけない)。それに対して,ボランティアで行ったはいいが,人質として捕まって,無事解放されて帰国した民間人はバッシングの嵐。拉致された一人旅の若者に対しては,それまでの流れで自己責任だなんだと色々叩かれましたが,ネットで惨殺シーンを公開されるに至って絶句に近い同情の声。
犯罪被害者になると報道被害がセットになるってそんな義務がどこにあるのでしょうか?
命と引き替えにしなきゃ,そこから免れる最低限の尊重を受けられないのでしょうか。
光市母子殺害事件の本村洋さんや拉致被害者のご家族たちのように
戦うためにあえて本人の意志で自らの姿をマスコミに現し続ける人もいるでしょうけど
基本的にはそっとしてあげるべきだと思うんですけどね…
香田さんの死と小泉首相

池田ゆう子さんは「セレブ」だそうですから,取材を受けた自分の責任と
いえばそれで終わりなんですけど,見る方のわれわれとしても
放送(取材・編集)する側の狙い通りに「けしからん」「かわいそう」と
感じておわりにするのではなく,
「俺たち,ばかにされてないか?」マスコミになめられてないか?
と一歩引いてみる考え方は必要じゃないかと思いますね。



■あと,今回の報道の中で目にしたのが
資産家はその金持ちぶりを隠すものだという常識が昔はあったけど
「勝ち組」「セレブ」ぶりを“商品”にして注目を集めビジネスにつなげる
という風潮が今は目立つようになってきた


なんて解説がもっともらしくされてましたけど,
まあ,そうですね…貴金属のシーマの社長,株雑誌で最初にその存在を知ったときは
 業界の慣習に風穴を空けて,客に個性的でリーズナブルなジュエリーを提供する
 若くて素晴らしい経営者だと思ったものですが,『ぷっすま』だったか,
 その豪邸にテレビカメラを入れて,地下の収蔵室にごまんと絵画を保管している
 様を見て,超幻滅したのを思い出しました。上場して巨額の資金が手に入って
 そんなものに金を注ぎ込むなんて経営者としての器が知れる。
 その後,何の必要があったのか「株101分割」などライブドアでおなじみの
 株価吊り上げ戦法を弄し,今は決算の数字は悪くないもののうさんくさい会社
 というイメージは否定しがたく,株価158円という状況。

ただ,こういう「金持ち」「成金」商法が最近に限ったことかというと
どうでしょうかねぇ…フサイチのおじさん,その子(河合じゃなくて鈴木ね),
アパのおばさん,細木数子,山田勝三…
芸能人の「お宅拝見」だって「嗚呼ニッポンの社長」だって,
豪邸やら財産をテレビでみせつけることは昔からありましたけどね…
本当の金持ちや映画のトップスターはプライベートを露出させることは
今も昔もしませんし。

※アメリカなんかでは最近,(特に音楽の)トップスターが,
独占密着取材を許可するなどしてプライベート映像を
テレビ番組などでパンバンさらけ出しているそうですけど。
大物女優がテレビショッピングに出るなどして(ギャラは売上げの歩合)
ますから,ハリウッドスターがCMに出るなどは御法度
(アメリカ人が見ていないならステータスが落ちないので
 日本国内のCMで出稼ぎする)と言われたのも随分様変わりしたものですね。



バカな大衆の世間の反感を買うと悪意のメールや書き込み殺到で
 BBSやHP自体が閉鎖に追い込まれたりするものですが,
 無事何事もなかったかのようにHPは営業中。たくましいですな。
バストアップ・豊胸:脂肪吸引,脂肪注入,プチ整形なら池田ゆう子クリニック
 「当院では、カウンセリングから手術、アフターケアまで院長自身が責任をもって担当しています。」
 「TVCF共演者募集」
 「メッセージ」のページに事件に関するお礼やらお詫びが書いてあるかな
   と見てみたけれど,別にクリニックの宣伝コピーが書いてあっただけ。


■それにしても気になるのが奈良の家族3人放火殺人事件。
これについてはまた後回しになってしまいました。
拉致被害者キム・チョルジュン氏の件とかも気になるのに…

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