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『半落ち』読みました

2006-05-18 07:22:52 | 本・コミック・かってに配役
半落ち
横山 秀夫
講談社
第5回松本清張賞,第53回日本推理作家協会賞短編部門賞受賞

例によってかみさんのおすすめ図書ということで,超有名作『半落ち』読みました。

まず気になったのが目次。現職警部による妻殺害事件というだいたいの筋書きは知っていたわけですが,「志木和正の章」「佐瀬銛男の章」…とある。これは短編集なのか?と思った疑問は読み始めてすぐ氷塊。そのストーリーの中心人物となる梶聡一郎の身柄が警察→検察→裁判所と移されるごとに,事件に関わっていく人々が各章の主人公になっているわけですね。志木は警察の取調官,佐瀬は担当検事,中尾洋平は新聞記者,植村学は聡一郎の義姉(啓子の姉)がつけた私選弁護士,藤林圭吾は裁判官,そして,古賀誠司は刑務官。彼らはことごとく,聡一郎が妻・啓子を扼殺してから自首するまでの「空白の2日間」に何をしていたのか,真相を知りたい,しかし秘密を抱えて罪を受けようとする彼を守ってやりたいと思っていく。新たにこの物語に加わってきた主人公たちは,妻の遺体を放置して新宿・歌舞伎町に行ったらしい聡一郎の行動の真相を隠すことで体面を守ろうとする警察,そして取引に応じた検察の組織を守ろうとしているのだと憤るのですが,しかし,組織のため,自分の保身のためにだけ動いている連中がいる一方で,担当刑事も担当検事も組織のためではなく聡一郎のことを考えていることに気付く。真相を隠すことで聡一郎が何かを守ろうとしていることは確かなのだが,49歳の聡一郎は50歳を区切りに死を考えているらしい。それを食い止めるためにはどうしても,真相を知らなければならない…
特に印象に残るセリフとかはないのですが,各登場人物の言動・心の動きが非常に巧みに織りなされ,最後の最後まで真相はわからないんじゃないかとギリギリまでどきどきさせる,引っ張り方には「やられた」という感じでした。



で,小説やマンガの感想としましては,私,「かってにキャスティング」させていただくのが恒例になっていますが,この小説は周知のとおり既に映画化され,第28回日本アカデミー賞の最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を獲得しているだけに,梶聡一郎=寺尾聡の印象が強すぎて,読みながら彼の顔ばっかりが浮かんできて,ほかのキャスティングは全く考えもおよびませんでした。うちのかみさんは寺尾聡氏はタイプじゃなくて,宇津井健氏がイメージだったそうですが。あとのキャラも…志木とか佐瀬とか熱血漢のキャラがかぶる人物が多かったので,ことごとく佐藤浩市氏が思い浮かんだりして。


それにしても,警察や検察の裏側の描写がリアルだったなぁ…
先日書いたばかりのなんなんだ日本の刑事司法は?!東住吉火災裁判
とか,御殿場事件の高橋祥子裁判長は即刻法曹界を去れ!
でも書いたように,警察や検察が己のメンツを守るためには
正義もなにもなく,なりふり構わないってことは公の事実ですから
フィクションとはいえ,本当にありそうな話,
ちょっと設定を変えただけで,こんな話はごろごろあるんじゃないかと
思わせるリアリティのある小説でした。

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