テレ朝系で不定期の日曜午後に放送される『ザ・スクープ スペシャル』。
このブログでは去る12月18日の「御殿場事件」に関する同番組放送を
取り上げましたが,この14日放送で扱われた“東住吉区放火殺人裁判”も
すごいものがありました。
あまり詳しいことを書く時間がないので,
詳細はザ・スクープ公式ページ(これまでの放送が動画配信で見られます)をチェックしていただくとしてかいつまんで書きますと,
・火元はガレージに止めてあったワンボックスカー。
そのときガレージに隣接していた風呂場で入浴中の長女(当時11)が焼死した。
・母親と内縁の夫(韓国人名)が逮捕され“自供”。
動機は「母娘の仲が険悪だった」
「マンションを買うための頭金170万円と税金20万円の支払いに困って」
というもの。
しかし,近所や学校の評判でも,母親は学校の行事には欠かさず参加し
将来受験で苦労させないように家庭教師をつけたり私学に行かせることを検討するなど
教育熱心だったことがわかっており,娘と仲が悪かったという話も全く聞かない。
金銭面でも,電気工である内縁の夫とポスティングなどのバイトを熱心に行っていた
妻の収入は合わせて60万円ほどあり,毎月10万円前後,最低でも8万円程度の
貯金を貯めていた。容疑の1つとなっている税金もきちんと納めている。
・警察が異常だと注目して,保険金殺人の嫌疑をもつきっかけの1つとなった
娘にかけられた生命保険(死亡時1500万円)。これは3年前に家族全員にかけられたもので
飛び込みの保険営業員が熱心に勧めて学資保険からかけかえさせたもの。
節目ごとに一時金が払われるタイプのもので,満期になったときに大学や嫁入りの
足しになればと加入したという。
勧誘員に言わせれば多額でも珍しくもなんともない。
この点に対して,判決文の中でも疑問を呈されているのだが,
判決自体は一審でも二審でも有罪・無期懲役。
鳥越キャスターが言うには,
「疑わしき(ある事実の存否が判然としない場合)は被告人の利益に」
(1975年の最高裁「白鳥決定」)
「動機・証拠・凶器がそろわなければ立証できたとはいえない」
という原則があるにもかかわらず,である。
要するに,「身内の放火でなければこんな火事はありえない」
「保険金殺人でなければこんな放火ありえない」
ということなのでしょう。
で,番組が問題にしたのが
「自供どおりのこんな放火,有り得るのか?」
・自供では,
内縁の夫が,あらかじめ買っておいた灯油をくみ上げるポンプ
(手で握り部分を握ると吸い上げるじゃばらパイプと直パイプの単純な
プラスチックのやつ)で車のガソリンタンクからガソリンを抜き取って
(約7L)車の下にまき,風呂場のほうへ流れたところで火をつけた。
番組で行われた実験(弁護団が行ったものを撮影?)を
見るまでもなく,こんなことをすれば火をつけた本人が爆死である。
しかも,車とガレージの壁の間は数十センチしかなく,
火災の当日は自転車も置いてあったので,
本当にこんなことをしていたら自殺行為というしかない。
・火を付けた後,炎を跳び越えてガレージから室内に戻り,
しばらく談笑,その後「お,火が出ているぞ」と気づいたふりをして
妻(少女の母親)に119番通報させた。
実験では着火後1分とたたず一瞬のうちにガレージの中は炎の塊。
炎を跳び越えて部屋に戻るなど絶対無理だし,
119番通報する頃には電話のある位置に置いた温度センサーつきの人形は
120度近くに。
高温サウナでは気温100度という状況もあるけれど,
この場合,やけどどころでは済まない。
実験では炎の勢いも言語に絶するすさまじさだし,
黒煙がすごい勢いで上がり,自供のような放火が行われたとしたら,
「煙は白っぽいグレーで炎も小さく,最初はこんなひどい火事になるとは思わなかった」
という周辺住民たちの証言と全く一致しない。
放火という線は考えがたい。
では,なぜこんな火事が起こったのか。
番組側が実験の裏付けのもと立てた仮説はこうである。
・車のタンクからわずかな量のガソリンが漏れ出て,車の下にたまった。
↓
・漏れ出たガソリンが気化し,風呂場の湯沸かし器の熱に引火
(いわゆるバックファイアである。
湯沸かし器が地面に近い低い位置に設置されていたため,
実験では70ccほどの漏出,たまった液体ガソリンが湯沸かし器から
数十センチ以上離れた状態で引火が起こった)
↓
・ガソリンの炎によって,車のガソリンタンクが熱せられて
中のガソリンが気化・膨張。破裂のような状態になり,
ガソリンの給油口からガソリンが噴出した。
(危険なので実験ではガソリンタンクに水を入れて行ったが,
それでもガソリンタンクは膨張・変形。ガソリンの場合はもっと激しく
気化・膨張するであろうと元運輸省の安全対策担当の専門家も語っている)
※警察は,ガソリンの給油口のふたが閉まったままだったことを
理由に,給油口からのガソリンの噴出を否定したが,
実験では給油口から水が吹き出たにもかかわらず,
実験後,そのふたは閉まった状態であった。
また,現場の車の写真を見ると,給油口の下の部分だけが
焼けずに,赤い塗装が元の色を保っていた。
給油口からガソリンが吹き出ることで炎や煙からカバーしていたと
推測されると,前述の専門家も,アメリカの商品安全問題の専門家も
意見が一致した。
テレビが言っているから正しいと鵜呑みにするわけにいきませんが
(当時の報道…というかワイドショーのリポートですが…でも
「実は,母とその内縁の夫による放火殺人だったのです」などと断言してたわけですし)
警察・検察の主張する事件の説明は全く成り立たない絵空事であり,
少なくともこの筋書きでは被告2名を放火保険金殺人の犯人にはできないでしょう。
しかし己の見つけた“真実”に酔ったのか,
異常に燃え上がった正義感に駆り立てられたのか,
それとも検挙率か何か,個人あるいは部署の成績に関する数字を上げたかったからなのか
思いつきのずさんな考えで放火保険金殺人のシナリオを書き,
それに合わせて被告たちに供述させた。
そして,その供述調書を唯一の「直接証拠」として立件し,一審・二審と
有罪を勝ち取った…
裁判官も,こんなの速攻で無罪にしろよ。
検察も警察も作文のプロで説得力のある起訴状を書くんだろうけど,
灯油と同じような感覚でガソリンを使った放火殺人のシナリオを書くなんて
ちょっとした素人でもおかしいとわかりますよ。
裁判官も,「検察側の言ってることは理屈に合わないけど,
事故じゃなさそうだから,やったんだろう」
という感覚で有罪を出している,流されている,
とりあえずおかしい事には気づきましたよと判決文に書いておきながら
被告人を無期懲役に処せるこの神経はどうにかすべきじゃないでしょうか。
刑事事件の有罪率が限りなく10割に近いというこの現状,
裁判官の意識ひとつで大きく変わるのではないでしょうか。
当然,警察・検察も意識を変えなければなりません。
警察も,色々大変だとは思いますが,
被疑者を恫喝して自分たちの書いたシナリオどおりに供述させて
一丁上がりという前近代的な操作捜査をしていては
日本の治安は悪くなることはあってもよくなることはあり得ませんよ。
同じ『スクープスペシャル』で暴かれたように,
警察署の幹部の仕事が裏金作りという無駄(犯罪!)な労力に割いている
くらいなら,もっとちゃんとして欲しいものです。
現在,この事件は上告中ですが,最高裁もしっかりと原判決の事実誤認を認め
(最高裁は普通憲法判断などのみを扱い,証拠の検証などは行わないのですが)
高等裁判所に差し戻してほしいものです。
しかし,そうなったらなったで検察側が
「被告人が放火の際にまいたのは灯油でした」とか
「放火の際にまいたガソリンは7Lではなく70ccでした」とか
勝手にシナリオを書き換えて有罪を主張しそうな悪夢…
そうなると供述調書と矛盾しちゃうんだけど,
それでも有罪にする高橋祥子みたいな裁判官も日本にはいるからなぁ…
↓御殿場事件を扱った『スクープスペシャル』について書いた拙文
御殿場事件の高橋祥子裁判長は即刻法曹界を去れ!
プロの裁判官の神経がおかしいと書いた私自身が,その,人を裁く立場に
なるかもしれない裁判員制度。
よっぽどの動かぬ証拠があるならともかく(その証拠だって
見方・解釈の違いで事件の姿が変わってくる可能性はある)
供述調書が任意の自白かどうか信頼できないとなれば
人の運命を左右する判決など下しようがない。
そこで,「取調べの可視化」=録画・録音あるいは弁護士の立ち会い
を行うのが世界の趨勢(イギリスやアメリカのいくつかの州のほか
オーストラリア・韓国・モンゴルなどでも、取調べの録画・録音を
義務付ける改革が既に行われている)であり,
8年前に国連の国際人権(自由権)規約委員会に勧告すらされているというのに,
未だそれを行っていない日本は人権後進国ということになる。
番組内でも「日本はモンゴルに相撲だけでなく刑事司法でもリードされている」
と言われていたけれど,本当にシャレにならない。
で,東京地検が「可視化」を一部試行することを表明したが
これがまたシャレにならない。
今回の試行の対象は,殺人などの裁判員制度の対象となる事件の中でも
検察官が必要と認めたものに限られる。
しかも任意性の立証に必要と判断した部分だけを録音・録画するという。
これじゃ,検察が都合のいい部分だけを編集した映像・音声で
調書にリアリティを付け加えるだけの話。
本来の趣旨とは全く逆効果,はっきり言って悪用である。
こんなやり方を見せられると,警察や検察は取調室で絶対表に出せない
悪いことをやっていて,それを隠そう,隠せている現状を温存しようと
しているとしか思えなくなります。
新聞やテレビなどのマスコミも,どんなにあからさまに犯罪を犯している
人間や悪徳業者でも匿名・顔にモザイクするくせに,
警察に逮捕された途端にボロクソに晒し者にする報道姿勢は
おかしいと気がつくべきですよね。
裁判で有罪が確定するまで「犯人」ではなく容疑者あるいは被告人なのであって,
警察の逮捕=実名報道解禁 と判に押したようなマスコミの対応には
法的な根拠もなにもない。ただ単に,功名心にかられてフライングして
犯人として報道された相手に名誉毀損で訴えられるリスクを冒したくない
ということなんでしょうけど。
もっと己の取材に責任を持って報道しなきゃいけないのではないでしょうか。
責任を持てない程度の取材能力しかないのか,上層部がヘタレなのか…。
日本弁護士連合会「日弁連が取り組む重要課題/取調べの可視化(録画・録音)実現」
高知新聞社説■【可視化試行】全過程の記録が原則だ 2006年05月11日
長野智子キャスターのブログ
御殿場事件のその後についても…裁判所,とんでもないことやってます。
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取り上げましたが,この14日放送で扱われた“東住吉区放火殺人裁判”も
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第1部 「ママは犯人じゃない」 ~火災実験が語る“放火殺人”の真相~ 大阪拘置所から番組に送られてきた1通の手紙。 「私は保険金欲しさに愛するわが子を殺すような母親ではありません。私は無実です!」 1995年7月、大阪市東住吉区で小学6年の少女が焼死するという火災が発生した。 出火元が火の気がないガレージで、玄関に鍵がかかっていたことから、 身内による放火とにらんだ警察は、母親の青木惠子被告と内縁の夫を任意同行。 犯行に結びつく物証や目撃証言は皆無だったが、 「娘にかけた生命保険金を詐取するための放火殺人」だったと自白させ、 2人を逮捕・起訴する。公判で2人は「自白調書は誘導」だとして一転、 犯行を否認し、無罪を主張するが、捜査段階での自白が決め手となり、 一審・二審とも無期懲役の有罪判決が言い渡される。 弁護団は現在、最高裁に上告中だが、はたして青木さんは 「愛する娘を火事で失った悲劇の母親」なのか 「保険金欲しさに我が子を焼殺した鬼母」なのか? 現場家屋を再現し自白通り火災実験を行った結果、「犯行」の存在そのものを 否定する科学的データと、事件の真相を示唆する「驚くべき仮説」が浮上した! |
あまり詳しいことを書く時間がないので,
詳細はザ・スクープ公式ページ(これまでの放送が動画配信で見られます)をチェックしていただくとしてかいつまんで書きますと,
・火元はガレージに止めてあったワンボックスカー。
そのときガレージに隣接していた風呂場で入浴中の長女(当時11)が焼死した。
・母親と内縁の夫(韓国人名)が逮捕され“自供”。
動機は「母娘の仲が険悪だった」
「マンションを買うための頭金170万円と税金20万円の支払いに困って」
というもの。
しかし,近所や学校の評判でも,母親は学校の行事には欠かさず参加し
将来受験で苦労させないように家庭教師をつけたり私学に行かせることを検討するなど
教育熱心だったことがわかっており,娘と仲が悪かったという話も全く聞かない。
金銭面でも,電気工である内縁の夫とポスティングなどのバイトを熱心に行っていた
妻の収入は合わせて60万円ほどあり,毎月10万円前後,最低でも8万円程度の
貯金を貯めていた。容疑の1つとなっている税金もきちんと納めている。
・警察が異常だと注目して,保険金殺人の嫌疑をもつきっかけの1つとなった
娘にかけられた生命保険(死亡時1500万円)。これは3年前に家族全員にかけられたもので
飛び込みの保険営業員が熱心に勧めて学資保険からかけかえさせたもの。
節目ごとに一時金が払われるタイプのもので,満期になったときに大学や嫁入りの
足しになればと加入したという。
勧誘員に言わせれば多額でも珍しくもなんともない。
この点に対して,判決文の中でも疑問を呈されているのだが,
判決自体は一審でも二審でも有罪・無期懲役。
鳥越キャスターが言うには,
「疑わしき(ある事実の存否が判然としない場合)は被告人の利益に」
(1975年の最高裁「白鳥決定」)
「動機・証拠・凶器がそろわなければ立証できたとはいえない」
という原則があるにもかかわらず,である。
要するに,「身内の放火でなければこんな火事はありえない」
「保険金殺人でなければこんな放火ありえない」
ということなのでしょう。
で,番組が問題にしたのが
「自供どおりのこんな放火,有り得るのか?」
・自供では,
内縁の夫が,あらかじめ買っておいた灯油をくみ上げるポンプ
(手で握り部分を握ると吸い上げるじゃばらパイプと直パイプの単純な
プラスチックのやつ)で車のガソリンタンクからガソリンを抜き取って
(約7L)車の下にまき,風呂場のほうへ流れたところで火をつけた。
番組で行われた実験(弁護団が行ったものを撮影?)を
見るまでもなく,こんなことをすれば火をつけた本人が爆死である。
しかも,車とガレージの壁の間は数十センチしかなく,
火災の当日は自転車も置いてあったので,
本当にこんなことをしていたら自殺行為というしかない。
・火を付けた後,炎を跳び越えてガレージから室内に戻り,
しばらく談笑,その後「お,火が出ているぞ」と気づいたふりをして
妻(少女の母親)に119番通報させた。
実験では着火後1分とたたず一瞬のうちにガレージの中は炎の塊。
炎を跳び越えて部屋に戻るなど絶対無理だし,
119番通報する頃には電話のある位置に置いた温度センサーつきの人形は
120度近くに。
高温サウナでは気温100度という状況もあるけれど,
この場合,やけどどころでは済まない。
実験では炎の勢いも言語に絶するすさまじさだし,
黒煙がすごい勢いで上がり,自供のような放火が行われたとしたら,
「煙は白っぽいグレーで炎も小さく,最初はこんなひどい火事になるとは思わなかった」
という周辺住民たちの証言と全く一致しない。
放火という線は考えがたい。
では,なぜこんな火事が起こったのか。
番組側が実験の裏付けのもと立てた仮説はこうである。
・車のタンクからわずかな量のガソリンが漏れ出て,車の下にたまった。
↓
・漏れ出たガソリンが気化し,風呂場の湯沸かし器の熱に引火
(いわゆるバックファイアである。
湯沸かし器が地面に近い低い位置に設置されていたため,
実験では70ccほどの漏出,たまった液体ガソリンが湯沸かし器から
数十センチ以上離れた状態で引火が起こった)
↓
・ガソリンの炎によって,車のガソリンタンクが熱せられて
中のガソリンが気化・膨張。破裂のような状態になり,
ガソリンの給油口からガソリンが噴出した。
(危険なので実験ではガソリンタンクに水を入れて行ったが,
それでもガソリンタンクは膨張・変形。ガソリンの場合はもっと激しく
気化・膨張するであろうと元運輸省の安全対策担当の専門家も語っている)
※警察は,ガソリンの給油口のふたが閉まったままだったことを
理由に,給油口からのガソリンの噴出を否定したが,
実験では給油口から水が吹き出たにもかかわらず,
実験後,そのふたは閉まった状態であった。
また,現場の車の写真を見ると,給油口の下の部分だけが
焼けずに,赤い塗装が元の色を保っていた。
給油口からガソリンが吹き出ることで炎や煙からカバーしていたと
推測されると,前述の専門家も,アメリカの商品安全問題の専門家も
意見が一致した。
テレビが言っているから正しいと鵜呑みにするわけにいきませんが
(当時の報道…というかワイドショーのリポートですが…でも
「実は,母とその内縁の夫による放火殺人だったのです」などと断言してたわけですし)
警察・検察の主張する事件の説明は全く成り立たない絵空事であり,
少なくともこの筋書きでは被告2名を放火保険金殺人の犯人にはできないでしょう。
しかし己の見つけた“真実”に酔ったのか,
異常に燃え上がった正義感に駆り立てられたのか,
それとも検挙率か何か,個人あるいは部署の成績に関する数字を上げたかったからなのか
思いつきのずさんな考えで放火保険金殺人のシナリオを書き,
それに合わせて被告たちに供述させた。
そして,その供述調書を唯一の「直接証拠」として立件し,一審・二審と
有罪を勝ち取った…
裁判官も,こんなの速攻で無罪にしろよ。
検察も警察も作文のプロで説得力のある起訴状を書くんだろうけど,
灯油と同じような感覚でガソリンを使った放火殺人のシナリオを書くなんて
ちょっとした素人でもおかしいとわかりますよ。
裁判官も,「検察側の言ってることは理屈に合わないけど,
事故じゃなさそうだから,やったんだろう」
という感覚で有罪を出している,流されている,
とりあえずおかしい事には気づきましたよと判決文に書いておきながら
被告人を無期懲役に処せるこの神経はどうにかすべきじゃないでしょうか。
刑事事件の有罪率が限りなく10割に近いというこの現状,
裁判官の意識ひとつで大きく変わるのではないでしょうか。
当然,警察・検察も意識を変えなければなりません。
警察も,色々大変だとは思いますが,
被疑者を恫喝して自分たちの書いたシナリオどおりに供述させて
一丁上がりという前近代的な
日本の治安は悪くなることはあってもよくなることはあり得ませんよ。
同じ『スクープスペシャル』で暴かれたように,
警察署の幹部の仕事が裏金作りという無駄(犯罪!)な労力に割いている
くらいなら,もっとちゃんとして欲しいものです。
現在,この事件は上告中ですが,最高裁もしっかりと原判決の事実誤認を認め
(最高裁は普通憲法判断などのみを扱い,証拠の検証などは行わないのですが)
高等裁判所に差し戻してほしいものです。
しかし,そうなったらなったで検察側が
「被告人が放火の際にまいたのは灯油でした」とか
「放火の際にまいたガソリンは7Lではなく70ccでした」とか
勝手にシナリオを書き換えて有罪を主張しそうな悪夢…
そうなると供述調書と矛盾しちゃうんだけど,
それでも有罪にする高橋祥子みたいな裁判官も日本にはいるからなぁ…
↓御殿場事件を扱った『スクープスペシャル』について書いた拙文
御殿場事件の高橋祥子裁判長は即刻法曹界を去れ!
第2部 裁判員制度と取調室の可視化 ~現職裁判官に緊急アンケート~ もし、あなたがこうした事件の裁判官だったらどうしますか? 2009年5月までに裁判員制度がスタートする。 裁判員制度とは、一般市民からクジで選ばれた6人の裁判員が裁判官と一緒に、 殺人・放火など重大な刑事事件を審理する制度である。 しかし、東住吉事件のように、捜査段階で自白した被告人が 「自白は強要されたものだ」と裁判で無実を主張した場合、 私たちは何を元に判決を下せばいいのだろうか? さらに、取調室が密室である限り、自白調書の任意性をめぐって水掛け論が 繰り返され、裁判は長期化、一般市民には耐え難い負担となる。 「可視化を実現しないと裁判員制度は失敗に終わる?」 「裁判員制度の運用次第でえん罪を増加する危惧がある?」 「日本の刑事司法制度は欧米に比べて人権的に問題がある?」 ・・・番組では現役裁判官に緊急アンケートを実施、そのホンネに迫る。 |
プロの裁判官の神経がおかしいと書いた私自身が,その,人を裁く立場に
なるかもしれない裁判員制度。
よっぽどの動かぬ証拠があるならともかく(その証拠だって
見方・解釈の違いで事件の姿が変わってくる可能性はある)
供述調書が任意の自白かどうか信頼できないとなれば
人の運命を左右する判決など下しようがない。
そこで,「取調べの可視化」=録画・録音あるいは弁護士の立ち会い
を行うのが世界の趨勢(イギリスやアメリカのいくつかの州のほか
オーストラリア・韓国・モンゴルなどでも、取調べの録画・録音を
義務付ける改革が既に行われている)であり,
8年前に国連の国際人権(自由権)規約委員会に勧告すらされているというのに,
未だそれを行っていない日本は人権後進国ということになる。
番組内でも「日本はモンゴルに相撲だけでなく刑事司法でもリードされている」
と言われていたけれど,本当にシャレにならない。
で,東京地検が「可視化」を一部試行することを表明したが
これがまたシャレにならない。
今回の試行の対象は,殺人などの裁判員制度の対象となる事件の中でも
検察官が必要と認めたものに限られる。
しかも任意性の立証に必要と判断した部分だけを録音・録画するという。
これじゃ,検察が都合のいい部分だけを編集した映像・音声で
調書にリアリティを付け加えるだけの話。
本来の趣旨とは全く逆効果,はっきり言って悪用である。
こんなやり方を見せられると,警察や検察は取調室で絶対表に出せない
悪いことをやっていて,それを隠そう,隠せている現状を温存しようと
しているとしか思えなくなります。
新聞やテレビなどのマスコミも,どんなにあからさまに犯罪を犯している
人間や悪徳業者でも匿名・顔にモザイクするくせに,
警察に逮捕された途端にボロクソに晒し者にする報道姿勢は
おかしいと気がつくべきですよね。
裁判で有罪が確定するまで「犯人」ではなく容疑者あるいは被告人なのであって,
警察の逮捕=実名報道解禁 と判に押したようなマスコミの対応には
法的な根拠もなにもない。ただ単に,功名心にかられてフライングして
犯人として報道された相手に名誉毀損で訴えられるリスクを冒したくない
ということなんでしょうけど。
もっと己の取材に責任を持って報道しなきゃいけないのではないでしょうか。
責任を持てない程度の取材能力しかないのか,上層部がヘタレなのか…。
日本弁護士連合会「日弁連が取り組む重要課題/取調べの可視化(録画・録音)実現」
高知新聞社説■【可視化試行】全過程の記録が原則だ 2006年05月11日
長野智子キャスターのブログ
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ニュースの職人―「真実」をどう伝えるか鳥越 俊太郎PHP研究所 | うちのお父さんは優しい―検証 金属バット殺人事件鳥越 俊太郎, 後藤 和夫明窓出版 | ニュースの現場から長野 智子NTT出版 | 冤罪の作り方(レシピ)熊本日日新聞社健友館 | 冤罪の構図江川 紹子新風舎 |