シルバーウイークは昨年のリベンジ北アルプスへ、とずっと思っていた私だったが、
天候次第でと用意していた「もうひとつの案」に急に心が動かされそっちへ行くことに。
もうひとつの案とは・・・
いつかは歩いてみたかった、いや歩かなければならないと思っていた、
ダンナの故郷、北東北の山。
普段帰省ばかりで時間が取れないので、こんな連休でもなければ歩くチャンスは来ないかも・・・
と実家にはナイショで初めて岩手に行って実家に寄らなかった、
岩手の旅となりました。
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【2009.9.19-9.22 4日間】
9/19、朝一番の新幹線で、いつもの見慣れた「盛岡駅」に降り、
そこからは初めて乗る「IRGいわて銀河鉄道」に乗換え「滝沢駅」へ。
この駅で降りた旅行者は私たちだけ。
事前予約しておいた㈲みたけタクシーさん(019-688-1335)が駅前で笑顔で迎えてくれた。
天気予報どおりの良い天気。幸先良い旅のスタート。
タクシーの窓からはくっきりと、いつも遠くから眺めていた【岩手山】がてっぺんまでみえていた。
駅から「馬返し」の駐車場まで約15分(¥2800位)、最初から最後までタクシーの運転手さんがいっぱいこの地の説明をしてくれた。
準備体操をしてスタートすると、キャンプ場の先に「鬼又清水」、
がぼがぼと水があふれ出ていた。
登山届けをポストに入れ、さあ、4日間の旅のスタートだ。気合が入る。
【岩手山】にはいろいろなルートがあり、最初は時間的なことも考慮し「網張温泉」からのロープウエイ計画もしていた。
がやはり岩手の山に初めて登るのだから、敬意を祓い王道から行くことにし、馬返しから。
最初は緩やかだったが、すぐに階段が現れ大汗をかく。
富士山と同様「○合目」という表示がある。
まだ0.5合目を過ぎたばかりなのに早速一回目の休憩。
むせるほどの緑緑緑、背の高いブナの森の中に腰を下ろす。
たった10分間だがカラダ中の毛穴が全て開いて、体内の全てを浄化してもらったような気になった。
なんて気持ちがいいんだろう、世界遺産じゃなくたって白神山地と変わらないほど美しい森じゃない。
かいた汗を一旦収め、また登っていく。
この時点ではまだ上を見上げれば【岩手山】がみえていた。
同じ行程で歩く5名くらいの年配のおかあさん達と、リーダーの男性。
地元の方らしい。お互い励ましあいながら登っていく。
でもはるかにおかあさんたちのほうが元気だったな。
3合目を過ぎ、背後に滝沢村が見えてきた。
遠くに見える山は姫神山?
この下界が見える感じ、去年登った【大山】に似ているな、と思い出した。
あの時も紅葉がきれいだったな。
天気の良い日は「旧道」のほうが景色がいいらしいが、高度恐怖症なので迷わず「新道」を歩く。
合目ごとに「旧道」と「新道」が行き来できるようになっていたから、部分的に行って見てもよかったかもしれないが・・・
そんな余裕はなかったのだ。
歩いてみて実感・・・4合目から8合目までがキツイのだ。
もちろんこのコースは登りっぱなしで標高差約1300mだからきついのは解っていたけれど。
水2l以外に二日分のビール500ml×4本は私の肩にずしり、と堪えた。
軽量化でザックの重さは15kgほどしかない。でも私にとっては元気に歩ける重さの限界だ。
きつい登りに絞られながらも、時々紅く色づいた木々が、私たちを励まし、迎えてくれた。
登るにつれ、町が見えてくる。あっちは盛岡市内だろうか。
下界を見つめるダンナは、ああ、自分は今初めて岩手の山に登っているんだな、
とちょっとしみじみしていたに違いない。(前日睡眠時間二時間で眠かっただけらしいけど・・・)
7合目で見晴らしのよいところに出るが、だいぶガスがかかっていたのと余裕がなかったらしくスルー。
時間も迫っているのでとにかく早く着きたくて・・・がんばって・・・歩いて歩いて・・・
やっと見えた、小屋の屋根。
【15:05】岩手山八合目避難小屋に到着。今夜はここに泊まる。
小屋の管理人さん達(この日は5名ほど駐在)が、
「そんな大きな荷物で登ってきたの!そりゃご苦労さん」と労いの言葉をかけてくれた。
代金をお支払いし、氏名や行程表を記入。
そうか、そっちまで行くんだね。と色々教えてくれる。
山を愛している方達なんだ、ということは一瞬にして伝わってきた。
日没が迫っているので小屋に入り、とりあえず場所だけ確保。
すぐに水とカメラだけを持って、岩手山頂を目指す。
8合目に到着した時から既にガスが上がっていたのでもったいなかったが、
明日の予定を考えると今日中に上っておかないと厳しいスケジュールだった。
明日の朝、もし晴れていればご来光にまた来よう、と山頂を目指す。
小屋から「不動平」まで約10分。そこから山頂の「薬師岳」を目指すが、
富士山の砂走りのような火山灰で滑り、なかなか進まない。
ガスの切れ間から時折荒々しい火口が見え隠れしていた。
【16:16】岩手山頂到着。標高2038m。
いつも盛岡市内から見上げていた山のてっぺんに、いま、いるんだ。
「そらの散乱反射のなかに
古ぼけて黒くゑぐるもの
ひしめく微塵の深みの底に
きたなくしろく澱むもの」----宮沢賢治
稜線に出るとガス女の私と共にガスがどんどん上がってきて、強い風に指先が冷たくなるほど寒くなった。
山頂からはぐるり何も見えない。でももう慣れたかな、展望だけが山じゃない、なんて負け惜しみを言ってみる。
寒いので写真を撮り、今日ここに来れたことに感謝し、祠に手を合わせただけでそそくさと降りる。
登山道の脇にはほぼ等間隔に置かれた石仏が道案内をしてくれていた。
信仰の山だったことが伺い知れる。
さきほどから目に飛び込んでくる、お鉢の中、風になびく赤のいろ。
火山灰の中に根強く咲いた草木が真っ赤に色づいているさまは、
まるで火口からしゅーしゅーと登った火柱から転げ落ちて、単独で静かに燃えている溶岩に見えた。
秋は火山の火口の中にも、きちんと色を添えていた。
岩手山はやっぱり生きている、と感じた。
「不動平」まで戻ると9合目避難小屋がある。
ここもキレイだが基本的に宿泊不可らしい。中には大勢いたので写真は遠慮した。
小屋の前まで戻ってきた。
8合目避難小屋前には「御成清水」という水がじゃばじゃば出ている。
水で苦労することはなさそうだった。
外で夕飯の支度をしようと思ったが、もう17:00過ぎている。風が強くさすがに寒い。
気温は5度くらいだった。
小屋の中でガスを使っても構わない、とのことなので自分の寝床前の廊下で夕飯に。
ここ8合目避難小屋は岩手県山岳会の方達が管理されている。
一人一泊素泊まり¥1700、毛布の貸し出しもあるようだ。
トイレも水洗、しかも掃除が行き届いていて快適そのもの。
外観も立派だが中も素晴らしい。3階建て式になっていて私たちは昇降がめんどうなので1階にしたが、
ちょっと頭をぶつける低さだった。3階のほうがゆっくりできそう。
薪ストーブを一晩中交代でつけてくれているので、全然寒くない。
100名収容の小屋、この日は35人くらいの利用者だったのでゆったりだった。
8割が地元の方だったと思う。聞きなれた岩手なまりの素朴で静かな語り声で解る。
山小屋ではいつも落ち着かず眠れない私だが、
この小屋ではダンナの実家で過ごしているような安らぎの中、
心の底から落ち着くことが出来た。
ここに泊まってよかったな、と思った。
ダンナもそれまでの仕事疲れで、食べ終わるとすぐ19:00には寝てしまった。
私は一人、この温かい雰囲気が心地よくてしばらく飲んでいたが、
消灯前にいつしか眠ってしまったようだった。
2日目へつづく。
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【9/19の行程】
東京駅6:04→盛岡9:15 9:46→滝沢駅10:02
馬返し登山口10:40出発→8合目避難小屋15:05到着(休憩含む)
8合目小屋から岩手山頂往復(お鉢廻りナシ)約1時間15分(休憩含む)
標高差約1300m 歩行距離約4.5km
実は一昨日、 突然 我が家のPCが他界してしまいました。
なのでケータイから失礼します。
岩手山 素敵です!
そこを歩くchu2さんもまた 素敵です!!
写真が小さくしか見れないのが
何とも悔しい…
今年は季節の進み具合が ちょっと早いみたいですね。
実は私達も この連休 東北のお山を予定してたのですが
諸事情により変更になりました。(岩手山ではないのですが)
こんな素晴らしい秋色が待っていてくれたのですね!
毎回 chu2さんのセンスの良さに うっとりさせてもらってますが 今回も既にいい気持ちになってるママです。
データが消失して 打ちひしがれていた心がちょっと明るくなりました。
ありがとうございます。
またゆっくり続きを見せていただきますね。
網張りのロープウエイでラクチンしていました。
今も若い頃も辛いのは苦手で・・。
滝沢村、懐かしいです。何が・・ってことはお逢いしたときにでも^^
立派な避難小屋ですね。
標高差1300mって合戦尾根と同じじゃないですか。
先が楽しみです♪
いえいえ、とんでもないです、お互い様です。
自分の記事を書いていると皆さんのところに寄れなかったり、
PC一台しかないと、思うように使えなかったり、ウチもそうですもん。
どうぞお気になさらずに!
アイタタタ・・・ですね。最近はもうPCがないと何事も不便になりまして・・・
でも携帯から見れるんですね!
実は私、携帯から自分のブログすら見た事がないの
で、どんなふうなのか?興味シンシンです!
ママさんたちも東北ですか?わーいいな、どこでしょう?
ママさんのレポは詳細まで載っているので大変参考になります!
ほんわか気分にさせてもらえますし・・・♪
また楽しみに拝見させていただきますね!
続き、ゆるゆる頑張ります~。
ホントは最初は私もその予定でしたから。
なんか・・・こう、ヘンな所にこだわってしまうタイプらしく・・・
結局M系なんだと思います。
滝沢村の謎?楽しみです♪
でもでっぱさん、すごいですよねー。
日本だけでも行った事ないところ、ないんじゃないですか?
私なんて知らないところだらけ。
>標高差1300mって合戦尾根と同じじゃないですか
うおっ!そうだったんですか。
北アはがっつりで登れないからと、こっちのルートにしたのに。
実はとんでもなかった・・・とまた続きを書きたいと思います。
あー進まない・・・^_^;
何だか優しい感じがしますね。
でも、そのなだらかさが逆に
登っても登ってもの感じで
きつかったりもしますが^^;
山小屋いい感じですね。
cyu2さんがぐっすり眠れるってことは
相当居心地がいいんだろーなー。
岩手山でしたか~
もしかしたら早池峰山へ行くのかなぁ?と思ってました。
cyu2さん達が泊まったこの非難小屋
随分立派ですね~~!
普通の山小屋みたいですよね^^
中もすっごく綺麗みたいだし
こんな非難小屋なら非難じゃなくて泊まりたい。
要チェックです♪
ところでところで・・・
岩手山山頂のご主人とのツーショット写真
cyu2さん、すーーーごく可愛いです
とっても楽しそうなのがよく伝わってきます。
微笑ましいデス♪
素敵な道、素敵な小屋、素敵な人たち。
それは偶然でも、運でもなく、
cyu2さんだから出会えたんだと思います。
心がほっとするレポ、本当にありがとうございます。
子どもの頃、寝るときに母が読んでくれた童話や昔話と同じ感覚を覚えました。
今夜はゆっくり眠れそうです。
私は尖った山よりこっちのほうが好きなんだ、
ということを確信してしまいました^_^;
時には頑張らないとですけどね・・・
北アはガッツリで歩けないかも・・・とコチラにしたのですが、
ありゃありゃ・・・仰るとおりなかなかどうしてアップダウンが。
どんな山でも舐めてはいけませんね
がなぜかもうこの時期登山口まで行くバス運行が終わっていました・・・
ま、早池峰に行く時は絶対ハヤチネウスユキソウを見たい!とう願望があるのでいつかチャンスが合ったらGO!でございます。
(でも山頂直下すごいらしいんですよ、高度感)
>岩手山山頂のご主人とのツーショット写真
cyu2さん、すーーーごく可愛いです
ええーーっ!た~いへん!
そんなに誉めてもらうと、もしかしてどこかでバッタリしたらがっかり・・・って。
別に何も期待してないですよね
誰もいなかったので、山頂に落ちていた石の上にカメラを置いて撮りました。
やけに地面の占める割合が多いでしょ(笑)
なんかね~上手く表現できないんですけど、本当に落ち着けたのです。
山小屋が苦手な一つに、見知らぬグループの方のハイテンションぶり、というのがありまして・・・
私こう見えて物静かな人なんで(ぷ)とにかくイケイケな方達とは会話が成立しません。
圧倒されてひいちゃうんです。
人酔いするというのか?人負けしちゃうというのか・・・
だから物静かな東北の人々の雰囲気、合うんでしょうかね。
ヒサさんは山の経験も長いから、どんな状況でも受け入れられる大きさが身についているのでしょう。
私は単にワガママなだけだと思います。
>子どもの頃、寝るときに母が読んでくれた童話や昔話と同じ感覚を覚えました。
いいお母さんですねー。
でも日本の母はみなそうですよね。
偉大なる母は山のように大きく強く・・・ですね
こんばんは。
ヒサさんと同じ感想を持ちました。
岩手山。
いつか訪れてみたいデス。
宮沢賢治が何度も訪れた山。
なのに、岩手山の詩は否定的。
というより嫌悪感さえ感じマス。
宮沢賢治が岩手山に何を見てたのか…。
やっぱり一度お邪魔したいデス。
>実家にはナイショで……
分かりマス。
ケド、ちょっと笑ってしまいました。
岩手山の詩は一説によると、本当は愛しているけど・・父への思いで否定的な・・のようです。
もう本人しかわからないですよね。
でもさすがshuさん、良くご存知で。
あ、shuさんの表現の中で先日の宮之浦岳の「なんてちらかったやま」が大好きです!
宮沢賢治のあったかさと通じるものがありますね。
実家にナイショ>
そうなんです。なかなか言い出せなくて。
でも言えば「あ、そう」で終わるんでしょうけどね(笑)