人気シリーズの最新刊です。
今回は小児科以外で子どもがお世話になる「耳鼻科」「皮膚科」「眼科」「歯科」の先生方が登場し、専門領域の子どもの病気についてわかりやすく解説しています。イラストも秀逸。
さすがに「餅は餅屋」で、小児科医である私でもちょっと勉強になりました。
ちょっとコメントを。
■ 耳鼻科
「急性中耳炎」を「耳の風邪」と表現するのはうまい(座布団一枚!)。
急性中耳炎の軽いものは小児科で治療可能ですが、長引くタイプや慢性化した滲出性中耳炎はお願いしています。
保育園通園児が一旦中耳炎になると繰り返す傾向があり耳鼻科通院がなかなか終わらずお母さんも大変です。3歳くらいまでは免疫能未完成なのでバイ菌を排除できないからです。
しかし、耳鼻科通院中ず~っと抗生物質を飲んでいる子どもがいて、耐性菌のことを考えると私的(小児科的)には考えられない使用法です。
漢方薬で何とかならないかなあ、と希望する方には子どもの健康を底上げするタイプや喉周囲の炎症に効くタイプのエキス剤を処方しています。
■ 皮膚科
勤務医時代は仲のよい皮膚科の先生に色々教えていただき勉強になりました。
でも、アトピー性皮膚炎は悩ましい。
他の科では「よくならないので小児科に来ました」と相談されることはないのですが、アトピーでは「いくつか皮膚科に行ってみたけどよくならず、アレルギー科のここに来ました。」という患者さんが時々受診されます。
「いやあ、皮膚の病気は皮膚科が専門ですから・・・」と内心言いたいところですが、スキンケアや軟膏療法について一通り説明します。すると「こんな話は初めて聞いた」という方が少なからずいらっしゃいます。皮膚科の先生は忙しくて説明する時間がないのでしょうか・・・。
皮膚科の本を読むと「スキンケアを欠かさずによい状態を保てば思春期までには落ち着きますよ」とお約束のように書いてありますが、その日々のスキンケアにかかるエネルギーは膨大なものです。軟膏治療に疲れた患者家族を見ると、つい「漢方を試してみませんか?」と言ってしまいます。合う漢方薬が見つかると、体の中から効いて皮膚の状態が落ち着いてきます。
■ 眼科
「学童の近視は病気ではない!」という記述に目から鱗が落ちました。
小中学校時代は眼球が前後に成長するので、近視になりやすいそうです。しかし近視とは「近くはよく見えるが遠くは見えない」状態であり、視力全部が落ちるわけではありません。「メガネ」という道具を使えば日常生活には支障が出ないし、20歳くらいになると進行が止まるから、まああまり神経質にならずともいいんじゃないですか、という言葉に安心しました(実は私の子ども達が近視進行中)。
■ 歯科
虫歯菌であるミュータンス菌が砂糖を分解して酸を作り、その酸が歯を溶かすことは知っていました。
私が医学生の時は「キシリトール」も「フッ素」もなく、現在はしっかり予防すれば虫歯がない一生を送れることが現実味を帯びているのですねえ。あと20年くらい後に生まれてくれば、私の虫歯の数も減っていたかも(苦笑)。
ここまで書いてきて気づいたのですが、他の科との境界領域に私は結構漢方薬を使っていますね。「○○科へ行ってね」という前のワンステップになってくれています。
「こんな症状のときはこの科を受診」する目安となるこの本は、きっとお母さん方の役に立つでしょう。
早速待合室に置くことにしました。
今回は小児科以外で子どもがお世話になる「耳鼻科」「皮膚科」「眼科」「歯科」の先生方が登場し、専門領域の子どもの病気についてわかりやすく解説しています。イラストも秀逸。
さすがに「餅は餅屋」で、小児科医である私でもちょっと勉強になりました。
ちょっとコメントを。
■ 耳鼻科
「急性中耳炎」を「耳の風邪」と表現するのはうまい(座布団一枚!)。
急性中耳炎の軽いものは小児科で治療可能ですが、長引くタイプや慢性化した滲出性中耳炎はお願いしています。
保育園通園児が一旦中耳炎になると繰り返す傾向があり耳鼻科通院がなかなか終わらずお母さんも大変です。3歳くらいまでは免疫能未完成なのでバイ菌を排除できないからです。
しかし、耳鼻科通院中ず~っと抗生物質を飲んでいる子どもがいて、耐性菌のことを考えると私的(小児科的)には考えられない使用法です。
漢方薬で何とかならないかなあ、と希望する方には子どもの健康を底上げするタイプや喉周囲の炎症に効くタイプのエキス剤を処方しています。
■ 皮膚科
勤務医時代は仲のよい皮膚科の先生に色々教えていただき勉強になりました。
でも、アトピー性皮膚炎は悩ましい。
他の科では「よくならないので小児科に来ました」と相談されることはないのですが、アトピーでは「いくつか皮膚科に行ってみたけどよくならず、アレルギー科のここに来ました。」という患者さんが時々受診されます。
「いやあ、皮膚の病気は皮膚科が専門ですから・・・」と内心言いたいところですが、スキンケアや軟膏療法について一通り説明します。すると「こんな話は初めて聞いた」という方が少なからずいらっしゃいます。皮膚科の先生は忙しくて説明する時間がないのでしょうか・・・。
皮膚科の本を読むと「スキンケアを欠かさずによい状態を保てば思春期までには落ち着きますよ」とお約束のように書いてありますが、その日々のスキンケアにかかるエネルギーは膨大なものです。軟膏治療に疲れた患者家族を見ると、つい「漢方を試してみませんか?」と言ってしまいます。合う漢方薬が見つかると、体の中から効いて皮膚の状態が落ち着いてきます。
■ 眼科
「学童の近視は病気ではない!」という記述に目から鱗が落ちました。
小中学校時代は眼球が前後に成長するので、近視になりやすいそうです。しかし近視とは「近くはよく見えるが遠くは見えない」状態であり、視力全部が落ちるわけではありません。「メガネ」という道具を使えば日常生活には支障が出ないし、20歳くらいになると進行が止まるから、まああまり神経質にならずともいいんじゃないですか、という言葉に安心しました(実は私の子ども達が近視進行中)。
■ 歯科
虫歯菌であるミュータンス菌が砂糖を分解して酸を作り、その酸が歯を溶かすことは知っていました。
私が医学生の時は「キシリトール」も「フッ素」もなく、現在はしっかり予防すれば虫歯がない一生を送れることが現実味を帯びているのですねえ。あと20年くらい後に生まれてくれば、私の虫歯の数も減っていたかも(苦笑)。
ここまで書いてきて気づいたのですが、他の科との境界領域に私は結構漢方薬を使っていますね。「○○科へ行ってね」という前のワンステップになってくれています。
「こんな症状のときはこの科を受診」する目安となるこの本は、きっとお母さん方の役に立つでしょう。
早速待合室に置くことにしました。