人口の7分の1が参加した香港の100万人デモにより、ついに「香港政府、廃案受け入れ 若者1万人超、警察包囲」となった。
【東京新聞より】
70年代安保世代からみれば、羨ましい限りである。
残念ながら日本の若者が1万人以上も集まるのは、アイドルグループのコンサートや「アニメ・マンガフェステバル」くらいかもしれない。
少なくとも国会周辺に若者が万単位で集まったのは、かつての学生運動が無くなってからは皆無である。
20代の若者に自民党の支持者が多いことも一因かもしれない。
そんな若い世代も社会人になれば将来の年金のために高い保険料を徴収される。
しかし彼らが年金を受け取る頃には、本人たちが「積み立てていた」と勘違いしていた年金資金が枯渇するという。
そんな政府にとって不都合な情報が満載の5年に1度公的年金の将来見通しを確認する「財政検証」の公表を巡って与野党でつばぜり合いがあったが、それでは5年前の内容はどうであったのか。
「財政検証はボロボロ濃厚…安倍政権は年金減額試算ひた隠し」という記事によると、
「試算では、2036年に代替率が50%まで低下。現行の21万8000円から4万円も減り18万円になる。さらに2055年には年金積立金が枯渇し、ナント代替率は35~37%に。現行比9万円減の12.5万円にまで落ちる。今より年間100万円以上も年金が少なくなるのである。5年前の時点でも、厚労省は、最悪2036年には年金額は4万円ダウンすると試算しているのだ。」という。
そうなれば、現在の30代の働き盛りがせっせと納めている「厚生年金保険」もほとんどが自分たちの年金として返ってこないということになる。
今年の「財政検証」はさらに悪化しているらしく、浦野広明・立正大客員教授によれば、「安倍政権は株価を上げて成長を見せかけてきただけで、むしろ経済状況は悪化しているということです。その結果、今回の財政検証は前回の最悪のケースをも下回る経済前提を置かざるを得ないのでしょう。参院選前に公表できないのは、票を意識していることに加えて、不都合な中身をどうやってカムフラージュするのか時間をかけて知恵を絞っているのでしょう」
どうやら無い知恵を絞ってもできることは、参院選前には公表しないという、「年金財政検証 公表先送り 2000万円問題 参院選に影響回避」という情けない話である。
「年金崩壊したから老後に不足する2000万円は自分で用意しろ」という流れが広まってしまい、いくら政府が国民に「誤解を与えてしまった」と釈明しても、現実には多くの年金者、それも国民年金のみの受給者たちは、とっくの昔に生活苦になっている人が多い。
そんな中で、参院選挙の目玉として、政府は「70歳まで雇用機会確保へ 『骨太の方針』決定」を発表した。
一読すると選挙目当ての「耳あたりの良い」文言が羅列されており、例えば成長戦略の「実行計画に盛り込まれた高齢者の雇用機会確保策は、定年の廃止や70歳までの延長のほか、起業支援などを選択肢として列挙。企業に努力義務を課す」とか、「骨太では、氷河期世代の就労支援に今後3年間、集中的に取り組むと表明。非正規雇用や無職の人たちのうち30万人を正規雇用に転換させる目標を定めた」とある。
高齢者の再雇用問題は、「高年齢者雇用安定法」の選択肢の1つであったが、「企業努力任せ」になっており、雇用契約をいったん切ると、待遇切り下げが可能になりるからその実態はかなり悲惨なものがある。
「<働き方改革の死角>高齢ワーキングプア誘発 定年後の再雇用『ザル法』」
【東京新聞より】
正社員から再雇用として継続雇用社員になれば、賃金は現役時代の5割、6割カットが当たり前で、「福岡県の食品会社は、定年前に33万円だった女性社員の月給を4分の1以下の8万円に下げる」という企業もあったという。
まさに、「このままでは長い職業人生に低賃金でやりがいのない10年間の付属品がつくだけになりかねない。」
こんな状態は、安倍政権の過去6年半余りのツケが回ってきたといえよう。
<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(2)経済 GDP・勤労統計・求人倍率… 『成果】実情触れず」
【東京新聞より】
「骨太の方針」は2001年の小泉純一郎内閣当時に第1弾が発表されたが、当時は、「骨太の方針というのは大きな傘みたいなもんだ。総論をしっかり抑えてその下に各省の改革プログラムを組み込んでいく。そうすればみんないやでも改革案を考えざるを得なくなる」と当の本人がいっていたらしい。
しかし毎年「骨太の方針」を聞かされながらも国民の生活の向上にはつながっていないのが現状である。
そろそろ腐臭漂う死語となった「骨太の方針」はやめなければ、まさに小骨もない「骨抜きの方針」と成り下がってしまうであろう、とオジサンは思う。