もし行き先が沖縄だったら、いまから思えばゾットしてしまう恒例の年末年始旅行。
今年は今までの旅行先からすればズット南の暖かい島「徳之島」。
面積は約248平方キロメートルほどだが、東京都山手線内の面積の約3.8倍に相当する。
島の中央には井之川岳(645メートル)を中心にとした山が、北部には天城岳を中心とした山があり、多くの希少動物が生息する森に覆われており、奄美群島では最大の耕地面積を有しているのは徳之島。
なぜこの島を選んだのかといえば、2018年に93歳で他界した母親の生まれ故郷であり、かつオジサンとオバサンが結婚して新婚旅行に訪れた島だからである。
もう40数年前なのだが、当時は本土の人間にとっては誰も知らない島であった。
しかし母のイトコたちは健在で、当時は「奄美酒類株式会社」を経営していた母のイトコの会社の名前入り商用車を借りて島めぐりをしたり、知人が経営しているホテルに宿泊をした思い出がある。
2021年7月26日に動植物の多様性が認められ奄美大島、沖縄島北部及び西表島と共に世界自然遺産に登録された徳之島は、昔を知っている人間からすればまさに「浦島太郎」のような気分であり、その発展ぶりは驚くばかりであった。
今回はあえて事前に詳細な計画も立てずに大晦日に羽田空港を早朝旅たち、鹿児島空港経由で徳之島空港に降り立ったのだが、空港周辺が全く変わっており、残念ながら懐かしさは全くなかったのは当然かもしれない。
空港前に路線バスがたまたま停車しており、オジサン夫婦はあまり考えもせず飛び乗り宿泊先のホテルのある停留所まで行くことになった。
ホテルにチェックインしたあとホテル周辺を一人で散策し、「徳之島総合陸運株式会社」という名前は立派だが小さなタクシー会社が目に入り、「ガイド付き予約制の島観光」ができるという看板を見て、たまたま外で休憩している中年の男性と交渉して、翌日の午後からの貸し切りタクシーでの島案内を予約した。
現れた中年の運転手は、午前中は一人旅の女性を島観光したといい、2度目の仕事に喜んだ様子であった。
都会のタクシー運転手からは想像できないような人懐かしい運転手であったが、徳之島生まれだが島の若者は高校をでると皆島をでるということで本人もしばらくは都内で仕事をしていたらしく定年近くに島に戻ってきたらしい。
さらに我々の昔の徳之島滞在中の話をすると、当時の宿泊先のホテルは「徳之島総合陸運株式会社」の初代会長がオーナーだったということが分かった。
すっかり親近感がわいて、早速その会社前から貸し切りタクシーに乗り、徳之島を右回りに走り出した。
かなり立派な道路に驚いていると、昔は海だったところを埋め立てて幹線道路にしたらしい。
最初に案内されたのが、徳之島の有名人の像であった。
よく見ると立像の下には「お賽銭箱」らしきものが設置されていた。
長寿にあやかりたい観光客目当てなのかもしれない。
それにしても周辺はすっかり観光地化していた。
そしてその立像の近くには「樹齢300年ガジュマル」が覆い茂っていた。
次に案内されたのが「犬田布岬」。
断崖絶壁の岬は圧巻であった。
戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊の戦没将士慰霊塔が戦争の虚しさを象徴しているかのようであった。
おそらく島の住民以外は読めないこの名称。(案内の中国語とハングル文字が少々うっとうしい)
「犬の門蓋」
まともに読めば「イヌノモンガイ」だが、正解は「いんのじょうふた」。
言葉のいわれは、運転手さんによれば「大飢饉の際、人畜を襲う野犬を海中に投じたという逸話」からこのような呼び名になったという。
有名な「めがね岩」までは足元が不如意のため上から眺めただけにした。
次に案内されたのは、運転手さんが盛んに「テレビのニュースステーションで放映された」という「湾屋洞穴(ウンブキ)。
正確には「報道ステーション」なのだが、当時はこんな風に放映されていたらしい。
報道ステーション Presents ~鹿児島・徳之島で発見~日本最大級の水中鍾乳洞 2019年春。鹿児島県・徳之島で、日本最大級の「水中鍾乳洞」が新たに発見されました。 推定距離1km超。発見したのは、日本を代表する水中探検家で、カメラマンの広部俊明氏です。探査を進めると、この場所にしか生息しない希少生物や、古い土器が発掘されるなど、驚きの発見が。 テレビ朝日『報道ステーション』で日本初公開され、視聴者から大きな反響を呼んだ、巨大な水中鍾乳洞。今回は、その美しい全貌を、4Kの高精細映像でお伝えします。 鹿児島市から南へおよそ470km、奄美群島のほぼ中央に位置する「徳之島」。この島の静かな集落の一角に、「陸の中の海」と呼ばれる伝説の泉があります。海までの距離は約400m離れているにもかかわらず、潮の干満にあわせて水位が変化することから、地下で海と繋がっていると考えられてきました。今回、この泉の謎に、水中探検家・広部俊明氏が挑みました。 そこで見つかったのは、巨大な水中鍾乳洞。専門家によると「枝分かれした道を含めた総距離は、1kmを超えるであろう、日本最大級の水中鍾乳洞といえる。」とのこと。 水中に潜り、探査を進めると、日本でここにしかいない希少生物「ウンブキアナゴ」の撮影に成功、入口付近では、複数の土器が発掘されるなど、驚きの発見が数多く出てきました。特に、この土器については、割れた断面が凸凹していることから、古い技術で作られたものだと、専門家は語ります。鍾乳洞が陸地だった7000年以上前のものである可能性もあります。 今回、この巨大な水中鍾乳洞の謎を解き明かすべく、特別な潜水装備で、新たな水中調査を敢行。さらに、土器についての専門家の調査も実施し、その全貌に迫ります。 |
その後も次々と観光スポットに案内されたのだが、もっとも興味深いのがこの記念碑であった。
ナント6年前に矢沢永吉が、徳之島の住民限定ライブを行ったというのが、島民の最大の自慢だったという。
「徳之島初の矢沢永吉『徳之島ライブ』に酔いしれる! H28.6.23 」
矢沢永吉 徳之島SECRET LIVE(ダイジェスト)
まだまだ見所は満載で3時間余りではとても見切れないほどであった。
新婚旅行で訪れたころは、この島には信号機が2台しかなかったのだが、島挙げての観光事業により昔の海岸が埋め立てられ多くの自然も減少してしまった。
徳之島空港もいつの間にか「徳之島子宝空港」と改名されたのだが、合計特殊出生率が全国でも上位に入っているそうで、そのおかげで小中学校がかなり増えている。
翌日、島を発つ前にホテル近くの民家でこんな風景を見かけ、少々ホットした徳之島旅行であった。