新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

安倍晋三会見のシナリオを裏で練る黒幕はメルケル首相の演説を学べ

2020年03月29日 12時12分48秒 | COVID-19(新型コロナウィルス)

昨夕、TBSの報道特集「公文書改ざんで自殺~妻の思い」が放映された。 
 


 
 
そして、それにぶつけるかのような週末恒例となった安倍晋三による、側近が作成した原稿の「朗読会」が開かれた。 

【全編】安倍首相が記者会見 新型コロナ対応や追加の経済対策説明(2020年3月28日)
 
そもそも、緊急事態に当たって国のトップが会見する場合は具体的な政策をしっかりした根拠の元に提示して国民の安寧を図らなければ意味がない。
 
あのトランプ大統領でさえ、日本円にして約237兆円の経済対策をブチ上げ、ロシアのプーチンに至っては「3週間家にいるか、3年間刑務所に行くかだ」と感染防止のための外出禁止を強く訴えたというデマもある。

こうした強いメッセージを発信するには、それだけの覚悟が必要でそれが政治(政治家)への信頼感にも繋がっていく。
 
残念ながら、週末恒例になった安倍晋三のなんとも侘しい会見。
 
「これまでにない」「前例にない」「政府をあげて」「思い切った」「きめ細やかな」「大胆な」「力強い」「かつてない規模の」等々の情緒的な修飾語のオンパレードで、まったく具体的な政策が見えてこない。
 
安倍晋三がお得意の言葉を借りれば、「まさに」ようするに、不要不急の会見であり、安倍晋三のただの決意表明に過ぎなかった。
 
それなのに、突っ込みどころ満載にも関わらず、新型コロナウイルス終息の見通しなどを問われ「答えられる首脳は一人もいない。私もだ」と言ったことに対しては、「それならば五輪の1年延期は何を根拠に決めたのだ」と聞いてほしかった。
 
だれもがわかっているように終息の見通しがたたなくても、自分の総裁任期中にやらなければ己のレガシー(政治的遺産)にならない、と正直に言えば拍手喝采だっただろうが、原稿には書かれていなかったらしい。
 
2週間ほど時間を戻すが、3月16日深夜、主要7カ国(G7)首脳によるテレビ電話会議で安倍晋三はこう訴えたという。
 
「人類がウィルスとの闘いに打ち勝った証として、完全な形で東京オリンピックを実施する」
 
翌17日夕方、自民党本部で開かれた両院議員総会でも自民党総裁としてこの発言を安倍晋三は繰り返していた。
 
もはやこのフレーズは行政の長としてのものではなく、政治的スローガンであることが明らかになった。
 
この「完全な形」の新たなスローガンは、G7テレビ電話会議の前に打ち合わせした外務省幹部も知らなかったらしい。
 
ジャーナリストの永田政徳は「新たなスローガン」を考案したのは、首相秘書兼補佐官の今井尚哉との見方がもっぱらだと取材から判断していた。
 
経済産業省出身で06年発足の第一次安倍政権で事務の首相秘書官を務めた。第2次安倍政権では政治との調整を行う政務の首相秘書官に任命された。霞が関文学の巧妙なレトリックを駆使しながら、常に政局に目配せをしている人物だ。
 安倍が2がつ27日に表明した全国一斉休校要請は唐突で「独断」と批判されるが、これも今井が仕掛けた。安倍と萩生田光一文部科学相との直前の協議にも同席し、2月29日の『朝日新聞』は「首相の決断を後押ししたのは、今井氏による進言だったという」と報じた。・・・中略・・・
 この時期、安倍は窮地に陥っていた。桜を見る会問題、河井克行前法相夫妻公職選挙法違反、黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題―。山積する疑惑に加え、新型コロナ対応も後手と批判され、報道各社の内閣支持率が下落した。
 そこで国民の目線を変えるため打ち出したのが一斉休校だったようだ。3月の世論調査では内閣支持率が上昇した。「独断」批判を浴びた安倍だが、仕掛けた今井はほくそ笑んでいることだろう。ピンチをチャンスに転じるしたたかさは、休校要請と「完全な形」発言に通じる。・・・中略・・・
 でたらめな安倍政権の延命をこれ以上許さないと追及するなら、表の記者会見に出てくる菅や安倍をやり込めても暖簾に腕押し、糠に釘と言ったところか。最長政権のシナリオを裏で練る黒幕は今井なのだから。(週刊金曜日から)

 
さて、第2次大戦の同じ敗戦国でありながら、日本が到底追いつけない国がドイツかもしれない。
 
それはCOVID-19対応で最も死亡率が低い国として見習うべきことが多いが、決定的に異なるのがリーダーの資質であろう。
 
こんな記事があった。
 
<シェアされる首相演説 神屋由紀子>
 020/3/28 西日本新聞 オピニオン面
 先週末、新型コロナウイルス問題を巡り、ある首相の演説文がインターネット上で相次いでシェア(共有)されていた。首相といっても安倍さんではない。ドイツのメルケル首相である。
 国境封鎖など厳しい政策に踏み切った後、国民に「第2次大戦以来の試練」と事態の深刻さを訴えた18日のテレビ演説。メルケル首相は「民主主義国家だから政治的決定は透明性を持ち、詳しく説明されなければならない」と前置きして感染防止に人との接触を極力減らす必要性を説き、「一人一人に何ができるのかを説明したい」と語り掛けた。
 「移動の自由を苦労して勝ち取った私のような人間にとって、こうした制限は絶対に必要な場合にのみ正当化される」。旧東ドイツ出身で統制社会を生きた経験に裏打ちされた言葉だ。戦後政治の原点にはナチス・ドイツのユダヤ人迫害がある。自由は尊い。歴史を踏まえ、国民の行動を制限する上で、政治家に必要な戒めを明確に述べている。
 もう一つ目を引いたのは、不自由な生活を強いられている国民を思いやる姿勢だ。
 「困難なときにこそ人にいてもらいたいものだが、現時点では逆効果」と語り、直接会わずとも「愛情や友情を示す方法」を探すよう呼び掛ける。電話や手紙を使った疎通も挙げ「人を孤独にさせないさまざまな手段がある」と支え合う大切さを説いた。
 一方、安倍晋三首相は2月末、この問題で初めて記者会見に臨んだ。国内の感染状況や医療体制、今後の政策を説明し「国民の生命と暮らしを守る大きな責任を果たすため、先頭に立ってなすべきことを決断する」と強調した。
 要素だけみればメルケル首相とそう変わらない。でも、日頃まともに説明責任を果たそうとしない安倍首相である。会見も意気込みと国民への要請ばかりが耳に残った。
 メルケル演説を日本語に翻訳し、ネットで紹介したドイツ在住の声楽家ギュンターりつこさんに話を聞いた。「演説から国民に寄り添う優しさを感じました。元々国民から信頼され、言葉に重みがある。感動を日本の友人と分かち合いたいと思ったんです」
 投稿は3日間で約1万4千人にシェアされた。国民目線に立ち、生命に関わる重大問題を真正面から引き受ける独首相の覚悟。それが国を超えて人々の心に響くのだろう。
 投稿にはそんな首相の存在をうらやむ声も寄せられる。だが、ギュンターさんはドイツも議院内閣制を取り、国会議員の選挙が大事だと応じていた。そのことも私たちは忘れてはならない。

 

    Kanzlerin halt TV-Ansprache zur Coronapandemie
 
今後も東京都の感染者数が上昇すれば安倍晋三の朗読会見の機会も増えてくるであろう。
 
会見のシナリオを裏で練る黒幕の今井尚哉のために、1990年からドイツ在住の林美佳子氏のメルケル首相の演説の全文の「試訳」をお届けする。
 
親愛なる国民の皆様*、
コロナウイルスは現在わが国の生活を劇的に変化させています。私たちが考える日常や公的生活、社会的な付き合い ― こうしたものすべてがかつてないほど試されています。
何百万人という方々が出勤できず、子どもたちは学校あるいはまた保育所に行けず、劇場や映画館やお店は閉まっています。そして何よりも困難なことはおそらく、いつもなら当たり前の触れ合いがなくなっているということでしょう。もちろんこのような状況で私たちはみな、これからどうなるのか疑問や心配事でいっぱいです。
私は今日このような通常とは違った方法で皆様に話しかけています。それは、この状況で連邦首相としての私を、そして連邦政府の同僚たちを何が導いているのかを皆様にお伝えしたいからです。開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。
もし、市民の皆さんがこの課題を自分の課題として理解すれば、私たちはこれを乗り越えられると固く信じています。このため次のことを言わせてください。事態は深刻です。あなたも真剣に考えてください。東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、これほど市民による一致団結した行動が重要になるような課題がわが国に降りかかってきたことはありませんでした。
私はここで、現在のエピデミックの状況、連邦政府および各省庁がわが国のすべての人を守り、経済的、社会的、文化的な損害を押さえるための様々な措置を説明したいと思います。しかし、私は、あなたがた一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献をできるかについてもお伝えしたいと思います。
エピデミックについてですが、私がここで言うことはすべて、連邦政府とロバート・コッホ研究所の専門家やその他の学者およびウイルス学者との継続審議から得られた所見です。世界中で懸命に研究が進められていますが、コロナウイルスに対する治療法もワクチンもまだありません。
この状況が続く限り、唯一できることは、ウイルスの拡散スピードを緩和し、数か月にわたって引き延ばすことで時間を稼ぐことです。これが私たちのすべての行動の指針です。研究者がクスリとワクチンを開発するための時間です。また、発症した人ができる限りベストな条件で治療を受けられるようにするための時間でもあります。
ドイツは素晴らしい医療システムを持っています。もしかしたら世界最高のシステムのひとつかもしれません。そのことが私たちに希望を与えています。しかし、わが国の病院も、コロナ感染の症状がひどい患者が短期間に多数入院してきたとしたら、完全に許容量を超えてしまうことでしょう。
これは統計の抽象的な数字だけの話ではありません。お父さんであり、おじいさんであり、お母さんであり、おばあさんであり、パートナーであり、要するに生きた人たちの話です。そして私たちは、どの命もどの人も重要とする共同体です。
私は、この機会にまず、医師としてまたは介護サービスやその他の機能でわが国の病院を始めとする医療施設で働いている方すべてに言葉を贈りたいと思います。あなた方は私たちのためにこの戦いの最前線に立っています。あなた方は最初に病人を、そして、感染の経過が場合によってどれだけ重篤なものかを目の当たりにしています。
そして毎日改めて仕事に向かい、人のために尽くしています。あなた方の仕事は偉大です。そのことに私は心から感謝します。
さて、重要なのは、ドイツ国内のウイルスの拡散スピードを緩やかにすることです。そして、その際、これが重要ですが、1つのことに賭けなければなりません。それは、公的生活を可能な限り制限することです。もちろん理性と判断力を持ってです。国は引き続き機能し、もちろん供給も引き続き確保されることになるからです。私たちはできる限り多くの経済活動を維持するつもりです。
しかし、人を危険にさらす可能性のあるものすべて、個人を、また共同体を脅かす可能性のあるものすべてを今減らす必要があります。人から人への感染リスクを可能な限り抑える必要があります。
今でもすでに制限が劇的であることは承知しています。イベント、見本市、コンサートは中止、とりあえず学校も大学も保育所も閉鎖され、遊び場でのお遊びも禁止です。
連邦政府と各州が合意した閉鎖措置が、私たちの生活に、そして民主主義的な自己認識にどれだけ厳しく介入するか、私は承知しています。わが連邦共和国ではこうした制限はいまだかつてありませんでした。
私は保証します。旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であるという私のようなものにとっては、このような制限は絶対的に必要な場合のみ正当化されるものです。そうしたことは民主主義社会において決して軽々しく、一時的であっても決められるべきではありません。しかし、それは今、命を救うために不可欠なのです。
このため、国境検査の厳格化と重要な隣国数か国への入国制限令が今週初めから発効しています。
経済全体にとって、大企業も中小企業も、商店やレストラン、フリーランサーにとっても同様に、今は非常に困難な状況です。
今後何週間かはいっそう困難になるでしょう。私は皆様に約束します。連邦政府は、経済的影響を緩和し、特に雇用を守るために可能なことをすべて行います。
わが国の経営者も被雇用者もこの難しい試練を乗り越えられるよう、連邦政府は、必要なものをすべて投入する能力があり、またそれを実行に移す予定です。
また、皆様は、食料品供給が常時確保されること、たとえ1日棚が空になったとしても補充されること信じて安心してください。スーパーに行くすべての方にお伝えしたいのですが、備蓄は意味があります。ちなみにそれはいつでも意味のあるものでした。けれども限度をわきまえてください。何かがもう二度と入手できないかのような買い占めは無意味ですし、つまるところ完全に連帯意識に欠けた行動です。
ここで、普段滅多に感謝されることのない方たちにもお礼を言わせてください。このような状況下で日々スーパーのレジに座っている方、商品棚を補充している方は、現在ある中でも最も困難な仕事のひとつを担っています。同胞のために尽力し、言葉通りの意味でお店の営業を維持してくださりありがとうございます。
さて、今日私にとって最も緊急性の高いものについて申し上げます。私たちがウイルスの速すぎる拡散を阻止する効果的な手段を投入しなければ、あらゆる国の施策が無駄になってしまうでしょう。その手段とは私たち自身です。私たちの誰もが同じようにウイルスにかかる可能性があるように、今誰もが皆協力する必要があります。まず第一の協力は、今日何が重要なのかについて真剣に考えることです。パニックに陥らず、しかし、自分にはあまり関係がないなどと一瞬たりとも考えないことです。不要な人など誰もいません。私たち全員の力が必要なのです。
私たちがどれだけ脆弱であるか、どれだけ他の人の思いやりのある行動に依存しているか、それをエピデミックは私たちに教えます。また、それはつまり、どれだけ私たちが力を合わせて行動することで自分たち自身を守り、お互いに力づけることができるかということでもあります。
一人一人の行動が大切なのです。私たちは、ウイルスの拡散をただ受け入れるしかない運命であるわけではありません。私たちには対抗策があります。つまり、思いやりからお互いに距離を取ることです。
ウィルス学者の助言は明確です。握手はもうしない、頻繁によく手を洗う、最低でも1.5メートル人との距離を取る、特にお年寄りは感染の危険性が高いのでほとんど接触しないのがベスト、ということです。
こうした要求がどれだけ難しいことか私は承知しています。緊急事態の時こそお互いに近くにいたいと思うものです。私たちは好意を身体的な近さやスキンシップとして理解しています。けれども、残念ながら現在はその逆が正しいのです。これはみんなが本当に理解しなければなりません。今は、距離だけが思いやりの表現なのです。
よかれと思ってする訪問や、不必要な旅行、こうしたことすべてが感染拡大を意味することがあるため、現在は本当に控えるべきです。専門家がこう言うのには理由があります。おじいちゃんおばあちゃんと孫は今一緒にいてはいけない、と。
不必要な接触を避けることで、病院で日々増え続ける感染者の世話をしているすべての方々を助けることになります。こうして命を救うのです。多くの人にとってこれはきついことでしょう。誰も一人にしないこと、声かけと希望が必要な方たちの世話をすることも重要になってきます。私たちは家族として、また社会として別の相互扶助の形を見つけるでしょう。
今でもすでに、ウイルスとその社会的影響に対抗する創造的な形態が出てきています。今でもすでに、おじいちゃんおばあちゃんがさみしくないようにポッドキャストをするお孫さんたちがいます。
私たちは皆、好意と友情を示す別の方法を見つけなければなりません。スカイプや電話、イーメール、あるいはまた手紙を書くなど。郵便は配達されるのですから。自分で買い物に行けないお年寄りのための近所の助け合いの素晴らしい例も今話題になっています。まだまだ多くの可能性があると私は確信しています。私たちがお互いに一人にさせないことを社会として示すことになるでしょう。
皆様にお願いします。今後有効となる規則を遵守してください。私たちは政府として、何が修正できるか、また、何がまだ必要なのかを常に新たに審議します。
状況は刻々と変わりますし、私たちはその中で学習能力を維持し、いつでも考え直し、他の手段で対応できるようにします。そうなればそれもご説明します。このため、皆様にお願いします。噂を信じないでください。公的機関による発表のみを信じてください。発表内容は多くの言語にも翻訳されます。
私たちは民主主義社会です。私たちは強制ではなく、知識の共有と協力によって生きています。これは歴史的な課題であり、力を合わせることでしか乗り越えられません。
私たちがこの危機を乗り越えられるということには、私はまったく疑いを持っていません。けれども、犠牲者が何人出るのか。どれだけ多くの愛する人たちを亡くすことになるのか。それは大部分私たち自身にかかっています。私たちは今、一致団結して対処できます。現在の制限を受け止め、お互いに協力し合うことができます。
この状況は深刻であり、まだ見通しが立っていません。 それはつまり、一人一人がどれだけきちんと規則を守って実行に移すかということにも事態が左右されるということです。
たとえ今まで一度もこのようなことを経験したことがなくても、私たちは、思いやりを持って理性的に行動し、それによって命を救うことを示さなければなりません。それは、一人一人例外なく、つまり私たち全員にかかっているのです。
 皆様、ご自愛ください、そして愛する人たちを守ってください。ありがとうございました。
 
 
願わくば日本国民の心に響くようなこんなシナリオを安倍晋三に読ませてほしいものである、とオジサンは思う。   
     
 

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