長崎間質性肺炎労災地裁判決控訴を受けての声明
長崎間質性肺炎労災事件原告団・弁護団
全日本建設交運一般労働組合長崎県本部
2021年(令和3年)7月5日、長崎労働基準監督署長(被告)は、先の6月21日付け長崎地方裁判所民事部合議B係(天川博義裁判長裁判官)の判決に対し、原告4人全員について控訴をした。配偶者を労災で亡くした原告らの生活を全く顧みない暴挙に断固抗議する。
2021年(令和3年)6月21日、長崎地方裁判所民事部合議B係(天川博義裁判長裁判官)は、じん肺に罹患してじん肺が悪化したことにより死亡した4人の被災者に、じん肺罹患と死亡との因果関係を認める判断を示した。被告国が主張する、極めてまれな難病(特発性非特異性間質性肺炎)罹患の主張を退ける正当な判断であり、原告団・弁護団及び被災者らの支援を行う建交労長崎県本部としても、裁判所が正当な判断を示したことを評価していた。 被告国は、被災者4名のCT画像がNSIPのように見えるというだけのことから、全員がもっぱら、ないしじん肺とともに、この奇病に罹患し死亡したと主張したが、このような主張には医学的な根拠もなく、主治医らの判断に反し不当と裁判所から判断されていたのに、国は控訴した。被災者らの労災認定は、過日最高裁で国の責任が確定し、救済のための法律も成立した建設労働者やその他のアスベスト関連疾患に罹患した被災者が正当に救済されることの一助ともなりうるため、本件被災者らにとどまらず、多くの被災者救済につながることとなると高く評価していたが、本件のような労災認定が横行すると、早急に救済されてしかるべきじん肺・アスベスト疾患を抱える労働者が救われないことになってしまう。
長崎間質性肺炎労災事件原告団・弁護団及び全日本建設交運一般労働組合長崎県本部は、労災行政における国の横暴を断罪する本件一審判決の結論を維持して、すべての労働者の労働災害が正当に補償されることを目指し、本件について、改めて高等裁判所で戦い抜く決意であることを表明する。 なお、長崎労働基準監督署長あて「控訴断念を求めるFax」が全国から1,914通寄せられたことを付記する。
2021年7月5日