無量大数 - 10の68乗の世界

個人用ストレージもテラバイトオーダーに到達した昨今、世界に散らばるさまざまなジャンルのトピックを拾います。

千葉柏道路PI終了

2006-08-02 23:57:34 | 交通問題
外環東京区間でも現在進行中だが、千葉柏道路のPublic Involvementは3月一足先に終了したようだ。


http://www.ktr.mlit.go.jp/chiba/kashiwa/index.htm



案の定というか、官僚の作った原案では比較的良好な環境を持つ北柏地区の住宅地をばりばりと壊して道路を造らねばならず、PIではそれを迂回せよ、という提言がなされている。


某利権政治家のごり押しで、東側も西側同様16号バイパスとして機能するはずだった圏央道が東葛地区経由から茨城区間へと変更されてしまった。その結果、人口集積地を経由して通過主体の重交通を担うものがハシゴをはずされてしまい、日夜を問わない大渋滞が放置されつづけることになる。それを補完するのが東葛地区のR16BPたる千葉柏道路だ。


国土交通省も圏央茨城区間が開通しても現在東葛地区の渋滞の主たる原因となっている通過交通がそちらへ転移することはほとんどないとわかっているからこそ、この事業計画を推進しているのだが、その歩みは亀のように遅い。トラフィックが小さく費用対効果に問題がないとはいえない道路からどんどん先に作られている。


PIのプロセスを見て思うのは、「インヴォルヴメント」という、ある意味「途中から」住民を参画させるやり方よりも、より早い段階から交通行政の当事者=社会の一員として参画させていれば、さらに優れたアウトプットと時間の短縮がなされたのではないか、ということだ。いま現在反対運動の起きてきる圏央道高尾山エリアなどの顛末を見ているとそれを強く認識させられる。


首都圏の大規模道路プロジェクトはもうかなりの部分が着手/事業化されており、次のこのような機会はあるか。放射道路も残りはごく一部だし、環状道路で残るは核都市広域幹線道路くらいである。核都市道は都市計画決定すらほとんどゼロであるから、これからやるとしたらこれくらいか。エリアはそのほとんどがすでに都市化されており、それを縫うように道路を造るプランであるが、首都圏都市部に残された貴重な緑を壊すが故に、出発点以前として問題↓となる気配濃厚である。


http://www.ne.jp/asahi/z/z/kkk/haikei.htm


核都市道は今週末全通する首都高埼玉新都心線がそのわずかに供用される一部をなしているが、ご多聞に漏れず排気塔その他で既成市街地住民(共産党系?)と一悶着↓あったようだ。


http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5507/Index.htm


ゴミ処理施設や葬祭・火葬場と並び、迷惑施設としてNIMBY問題の筆頭といえる道路。これは、居住環境悪化=資産価値下落という経済問題でもあるし、自然との調和をいかにするか、という環境問題でもある。さらには物流効率化・低エミッション、社会資本の包摂程度問題(資本投下の受益を地域限定的に捉えるか、それとも広域的か)、というさまざまなファクタの複合を連立方程式として認識し、出来得る最適化を求めるにはいろいろな知恵が必要である。


社会の意思決定プロセスを、前近代的なものからより洗練され社会を構成する人々の満足度を向上させうるものに変えていく。それが近代国家が求められ得る姿に近づく一歩ではないだろうか。

最新の画像もっと見る