海の向こうに見えるのはクルク島。アドリア海最大の島です。
本土の岸辺から見ると、海と空と白い陸地が見えるだけ。島には木が一本もなく、まるで月面のよう・・でもここは、68の村に16000人ほどの人が住んでいます。
なぜ、この島はこんなに白ちゃけているのでしょうか?
クロアチアでは、冬に寒い北風ブーラが吹きあれることがあります。この風の強さは、ちょうど台風から雨をとって風だけ残した強烈さ。この北風が吹くと、車の運転もハンドルをとられてしまうため、アドリア海岸道路も封鎖されることがしばしばです。ダルマチア海岸では、海の方に傾いている松林をよく見かけますが、これもこのブーラのなせる技。
だからこの島も、ブーラがもろに吹きつける北東部は植物が育たず、村もなく、石灰岩がむき出しのこんなハゲ地になってしまっているのです。人々はブーラをさけて、南西部や入江などに住んでいます。クルク島はワインの産地でもあり、白ワインのジュラフティナが知られています。
見た目にはすっごくシュールな島。でも背後には人々の暮らしがある。見えるものだけがすべてではないのですね。