クロアチアの風  ~茶猫の旅カフェ~

アドリア海の国クロアチアと旧ユーゴの風景をお届けします。旅行情報、写真をお楽しみ下さい。番外編では世界の猫も登場!

月面のようなクルク島

2013-09-02 03:22:52 | クロアチアの島々



センニ近くのカフェから眺望したクルク島。アドリア海で一番大きな島です。本土から見ると、まるで月面のようで、岩肌がむき出しになったシュールな光景が広がっていますが、この島には、68の村や町があり、およそ1万5000人の人々が住んでいるそうです。
湾岸都市リエカの空港もここに置かれ、リエカ近郊で本土との間には橋が架けられています。
ワイン作りも盛んで、ヴルブニク村のジュラフティーナなどが知られています。

この島では、中世に禁じられた古代グラゴール文字が残され、近年まで使用されてきました。貴重な典礼書が残されたロマネスク教会もあります。
中世クロアチア王国がたちあがった時代、直接の脅威だったビザンチン帝国の影響下に入るのを避けるため、クロアチア王トミスラヴは、ローマ法王から冠を授かり、カトリック圏に入ることを選びます。それは、国の独立を守るために、スラブ人のために生みされたグラゴール文字とスラブ典礼を禁止するという、苦渋の選択を強いられることでもありました。そして外国語である西側世界のラテン語を教会典礼に使うようになります。現代のクロアチア語がセルビア語と違ってキリル文字でなくローマ字表記なのもこの時の選択に由来します。(キリル文字はグラゴール文字を元に考案されました)

東西文化の狭間にあり、西につくか、東につくかで常に翻弄されてきたクロアチアの苦悩は、この時点でもう始まっていたのかもしれません。
教会文化の中心地から遠く離れた島だからこそ、スラブ文化を伝える文字が残されてきたのでしょうね。