このかわいらしいブルーのケーブルカー、
ザグレブのグラデッツの旧市街の高台まで通じている。
1890年に開業したというから
もう100年以上の伝統をもつ乗り物なんだ。
ところがこのケーブルカー
下の駅と上の駅の高さはたった30メートル。
この写真は上の駅から撮ったものだけど、
下の駅がすぐ下に見えてるよね。
上と下から同時に発車する車両が坂のまん中ですれ違う。
「あ、向こうから来た来た」
なんてはしゃいでる間にもう終点。
乗車時間はたったの55秒なんだ。
景色を楽しむひまもない。
たぶん世界でもっともあっけなく到着してしまう
ケーブルカーのひとつであることは
間違いないでしょう。
運行は15分に1本くらいだから
発車を待っているくらいなら
階段を歩いた方が絶対早いよ。
でも、乗る人もほとんどいないケーブルカーが
時間になると
急な傾斜を、けなげにトコトコ登る姿を見ると
茶猫はなんだかほっとする。
機能的じゃないもの、役立たずなものは
どんどん切り捨ててしまう国に
茶猫が住んでいるせいだろうか。
ザグレブのOld Ladyという愛称で
今も親しまれている古いケーブルカー、
「なくならないでね」と
来るたびに心の中でつぶやいている。