前向き日記

辛い日もありますが、前を向きましょう。
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セミナーから

2009年06月01日 17時08分28秒 | 徒然日記
ちょっと固い内容ですが、今日、出席した企業与信のセミナー
から。景気見通しなど参考になる部分もあるかと、思います。

セミナーの中から、特に興味深かった、(株)東京商工リサーチ
(http://www.tsr-net.co.jp/)のお話を紹介します。

以下報告
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1.全国倒産年次推移

 ●過去最高は、件数ベースでは1984年の約2万件が最大。
  負債総額ベースでは、2000年の2兆3800億円が最大。

 ●ここ数年は、年間15000件弱で推移。ここに来て、負債総額
  は、急拡大しており、2007年5700億に対し、2008年
  1兆2000億と倍増。

2.最近の倒産の特徴

 ●地方で減り、都市部で倒産増えている。地方は建設業等内需中心
  であるのに対し、都市部は製造業等外需中心。

 ●円高による外需激減が企業にダメージを与えており、大企業でも
  厳しいところが出ている。下請けの中堅・中小企業にも波及して
  きている。

 ●中堅クラス(資本金1千万以上5千万以下)の倒産が増加傾向に
  あり、倒産件数の半分近くを占める。

 ●大企業は今までのストックで何とかつないでおり、中小企業は、
  政府の「中小企業緊急保証制度」で助かっている。

 ●業歴30年以上の「老舗企業」の倒産が増えている。過去の成功
  モデルに固執し、環境の変化についていけないことが原因。

3.倒産形態別の特徴

 ●15年ほど前は、私的倒産がほとんどで、法的倒産は少なかった。

 ●現在は、法的倒産が私的倒産を上回り、過去最高となっている。
  これは、「破産法の改正」と「手形流通の減少」に起因する。
  以前は、手形を発行して不渡を出し、倒産する例が多かったが、
  今は、手形を発行せず、「支払いはもう少し待ってくれ」という
  支払い遅延でしのいでいる企業が多い。

4.金融機関の貸し出し姿勢など

 ●銀行の中小企業への貸し出しが減っており、運転資金難に陥って
  いる企業が増えている。

 ●リーマンブラザーズをはじめ、黒字倒産が多い。財務諸表上では
  黒字でも資金繰り難になると、企業は倒産する。銀行は、営業キ
  ャッシュフローを見て、貸し出しを判断している。キャッシュフ
  ローを算出していない中小企業でも、資金繰り表は作っているの
  で、これが融資の判断材料となる。

 ●仮に事業が赤字でも、銀行の融資さえ得られれば、企業は倒産せ
  ずに済む。そのためには、本業での資金繰りの健全性を銀行に示
  す必要がある。

 ●銀行は優良企業には貸し出し金利を下げ、そうでない企業には金
  利を高く設定する。取引企業がどの程度の金利で融資を受けてい
  るかわかれば、信用を図る尺度になる。

 ●税務署に届けられる赤字法人の割合は実に70%に上る。実体は
  黒字でも、ぎりぎり赤字にして、法人税を免れたい、という企業
  が多い、ということ。複数の決算書を使い分ける企業が存在する。

 ●最近は、インターネットを介して、企業の風評リスクが増大して
  いる。解雇させられた社員が悪い風評を流す例があり、それが、
  すぐに世間に広がり、企業信用を落とす場合が出てきている。

5.企業を見極めるポイント

 企業を見極めるには、財務内容等の定量要因の他、信用要素等の定
 性要因も見る必要がある。

 ●財務内容
  収益構造悪化の兆候、資金繰り悪化の兆候、粉飾決算の兆候など

 ●信用要素(定性要因)
  業容・業歴、経営陣(ヒト)、経営基盤(モノ)、技術、信用背
  景など

6.今後の景気動向

 ●9月から秋口に景気が底を打つ、という見方が多い。この場合、
  つなぎ融資を受けられなくなる企業が増えるため、半年間は、
  企業倒産はむしろ増加に向かう。

 ●政府の緊急保証制度が7月に切れる。無担保の借金で、何とか
  持ちこたえてきた中小企業は危ない。その間に、本業を経ち直
  しておいた企業は別として。

 ●GMが事業規模縮小するので、その分、エコカー等の技術を有
  する日本の自動車産業には好機到来。しかし、これが円高につ
  ながると、外需型の他の企業は厳しくなる。

以上
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