本日「日経産業フォーラム」において、
竹内弘高ハーバード・ビジネススクール教授による標記の講演を聴く
機会に恵まれましたので、概要をまとめてみました。
以下概要
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1.まず、アイスブレーク(緊張した場の雰囲気を和らげること)
●ハーバードの心理学者による人の分類。
(血液型分類より精度が高いそうです)
●次の4つの図形で、自分の好きな図形を一つ選んで下さい。
○ △ Z □
●分類結果は、文末に記載していますので、まず、選んでみて下さい。
2.マイケル・ポーターについて
●竹内教授は、以前ハーバードでマーケティングを教えていた際、
マイケル・ポーターの隣の研究室にいた。
●それで、親交ができ、去年、一ツ橋大を辞めるとき、ポーターから
声がかかった。今は、ポーターの競争戦略に関し、分担して、講義
をしている(週20コマを2人で分担)。
●ポーターの5つの競争要因と3つの競争戦略はあまりに有名。
●簡単に説明。まず、5つの競争要因。
これは、業界構造を分析する際に使うフレームワーク。
・業界内の競争:携帯業界のドコモ・AU・SBなど
・売り手の交渉力:いかに安く仕入れるか。量販店など大ロットで
仕入れる力を背景に、メーカに対し交渉力をもつ。
・買い手の交渉力:いかに高く売るか。付加価値をつけたり、小ロ
ットでは、高い値をつけたりする。
・代替品の脅威:電話に代わり、skypeが出たり、ISP以外
にプロバイダ契約不要の通信事業者が出てきたり(Eモバ等)。
・新規参入の脅威:ドコモが支配していた携帯業界に、ソフトバン
クが参入してきたり。
●次に3つの競争戦略(この3つ以外に生き残る道はない)
・コストリーダーシップ戦略:豊富な経営リソースと長年の経験で、
ブランド力をもち、他社より、利益の出る価格で勝負できること。
(トヨタやドコモなど)
・差別化戦略:トップ企業に挑戦はするものの、なんらかの差を出し
て、顧客を得ること(ソフトバンクの料金体系やiPhoneなど)。
魅力ある業界(成長市場)は、顧客獲得に苦労しないので差別化は
不要。
・集中戦略:自分の得意分野にリソースを集中して、特定市場で生き
残ること(トップへは挑戦しない)。
●以上のポーターの競争戦略は、業界分析とポジショジングということ
をまず考えるので、「アウトサイド→イン」の発想。
3.竹内教授が考える「知識創造企業」
●「知識創造企業」と言う著書をだいぶ以前に出版したが、いまだに売
れており、12ヶ国語に翻訳されている。
●そこでは、ポーターと逆に、「インサイド→アウト」の発想で、成功
した日本企業のケースを載せている。
●例えば、ユニクロ。自分達で、製造から販売まで一気通貫で提供する
ことで、品質の担保と低価格を実現している。
●自分達は何を強みに他社と違いを出し、勝ち残っていくか、を考える
アプローチ。
●他にケースとして上げた日本企業の例。
ホンダ・ブックオフ・アサヒネット・エーザイ等
●こうした日本企業は、従来のリレー方式(分業)ではなく、ラグビー
のスクラム方式を取っていると表現した。分業よりも、皆でとにかく
力を合わせる。
●アメリカのソフト業界では、これをまねして、「アジャイル・スクラム」
と言う開発方式が主流になり、共通言語化している。
4.The Wise Leader(賢いリーダー)
●世界で成功している企業をピックアップして、共通点を見出し、
「ハーバードビジネスレビュー」に投稿した。
●すると、GEなど米国企業のケースを削除するよう言われた。
●リーマンショック以降、米国では、米国企業を評価していない。
むしろ、再び日本企業を評価し始めていることが背景にある。
●The Wise Leader(賢いリーダー)に必要な6ポイント。
・「良い仕事をする」。良いとは、「真・善・美」のうち「善」を
言う。高いモラルをもち、社会に役立つ仕事をする。
・物事のエッセンスを捉える。
何が重要な成功要因か?リスクは何か?
・「場」を作る。皆が活発に意見交換できる「場」。英語では、適
当な訳がないので「バー(パブ)」と言っている。パブでは、皆
がワイガヤしている。企業にもワイガヤが必要。
・自分のつかんだエッセンスをどうやって他人に伝えるか。
日本には「あうんの呼吸」と言う良い言葉がある。
・経営は矛盾の解決。ただ、解決するのではなく、解決後は、より
良い状態になっていなければならない。弁証法的発想。
・エッセンスをどうブレークダウンするか。トップがエッセンスを
掴んでも、現場に伝わらなければ意味がない。その意味で、ミド
ル層が橋渡しとして重要になってくる。
5.最後に
ハーバードでMBAを取得する学生にはこういっている。
「君達は、金儲けや企業の問題を解決するために学んでいるのでは
ない。いかに社会問題を解決するか、を学んでいるのだ。」
以上です。
忘れたかも知れませんが、冒頭のアイスブレイクの分類結果。
↓
【1の分類結果】
□:頭が良い人
Z:想像力に富む人
△:リーダーシップに富む人
○:酒と女(男)に溺れる人
長文失礼しました。