CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

裁判員のPTSDが問題に

2008-11-23 18:52:17 | その他
リハビリとは無関係の記事です。

私はPTSDの専門ではありませんが、裁判員が事件の証拠写真を目にすることで、二次的にPTSDになる可能性はないか、心配しています。

たとえば、病理医ではない医療関係者が病理解剖を見学する場合、病理解剖がどのようなものかを知っているので、問題はありません。ところが、普通の解剖の経験もない素人の方が、病理解剖を見ると、相当のショックになることが考えられます。

ところが、刑事事件の裁判員は、場合によってはこうした病理解剖よりもショッキングな写真や解剖の所見を、提出された証拠として見聞きする可能性があります。少なくとも苦しんで死んだ被害者の姿は見るでしょう。これを、『一般国民が全て』見て、判断しなければなりません。

私達は、見知らぬ人のことであっても、悲惨な事件の報道を見聞きすると、ストレス症状(動悸、血圧の上昇、息苦しさ等)を感じ、何日もその事件のことが頭から離れなかったり、急に自分や身近な人の安全に不安を感じるようになったりすることがあります。こうした事件が、身近な人におこったりすれば、私達は被害者が体験したと同じようなPTSD症状を体験することになり、それは二次的外傷性ストレスと呼ばれています。このようなトラウマ的なストレスが生じるということは、まだ日本ではあまり知られていませんが、裁判員制度ではまさにこのトラウマ的な傷つきが心配されるのです。

裁判員をやったばかりに、証拠写真等でみたショッキングな写真を見たりすることでPTSDになり、仕事ができなくなった場合、労災として補償されるのでしょうか?

経済的なことにも増して、こうしたトラウマを負った場合、精神科を訪れて医師に内容を相談すると、守秘義務違反で処罰の対象になるため、治療を受ける事さえできないのでは?という心配もあります。

誰にも相談できないどころが、相談すると罰せられるわけですから、より重度のPTSDになってしまうかもしれません。

このような論点はないものかと思って調べたら結構あります。『裁判員 PTSD』や『裁判員 二次的外傷性ストレス』で検索してみて下さい。

裁判員制度で、公正な裁判ができるのだろうか、ということについては、様々な議論がなされているようですが、裁判員のメンタルヘルスについては何の考慮もなされていないことが心配です。