SP3からは冰湖まで行って折り返してぐるっと回ってまたSP3へ戻ってくるコース。

馬や牛が生活の一部となっています。

チベット仏教も生活の一部。こういう景色の中を走る事に憧れていました。
少し走っていると前方から選手がやってきます。どうやらトップ選手のようです。一部のコースが折り返しになっているので選手とすれ違う事がありますが、流石にトップ選手、いいペースで走っています。

途中水の力で回すマニ車がありました。半永久機関でお祈りができます。

徐々に高度を上げていきます。ようやく冰湖のふもとのキャンプ地に到着。ここで高度3500m位。

さすがにかなり寒くなります。それもそのはず雪山のだいぶ近くに来ています。心なしか雨も降り始めています。レインジャケットを着て先に進みます。

そしてついに最高地点の冰湖に到着。確かに凍っています。写真では伝わらない壮大さがありました。ここにいるチェックポイントの人にゼッケンにハンコを押してもらい折り返します。
道中、後続の選手とすれ違いますが、皆さん後どれくらいかと同じ質問をします。皆さん同じように辛いようです。
同じ道を少し戻りますがその先は少し遠回りをしてSP3まで戻ります。その道中、細い道の先から牛が歩いてきます。このままでは衝突してしまうと思い、思わずカメラを構えます。すると

牛が脇道にそれてくれました。譲り合いの精神がこんなところに・・・。感動です。
しばらくするとチェックポイントの尼塞牧場に到着。

テントで選手を待っていてくれます。こういったボランティアも大変な仕事ですよね。感謝です。でもキャンプみたいで楽しそう。ここでヘッドライトを装着して夜に備えて出発します
その先は氷河か残雪かわかりませんが雪の上を進みます。

スノーブリッジになっている所を通ることもあり、ドキドキしながら進みます。

こういう景色をみると「失われた地平線」ってこういう所をみて思ったのかなぁと想像してしまいます。
その後日も落ちた頃にSP3に戻ってきました。

するとドクターが靴の調子はどうか?と心配してくれます。テーピングの方はボロボロになっていますが、包帯の方はばっちり固定されています。テーピングで包帯を補強し再度出発します。
この時Fさんがドクターストップの為リタイヤを決断したと連絡がありました。残念ですが、Fさんの分も頑張って完走しようと心に決めます。
ここからは少し下ってSP5の下雨崩村まで3km位の距離。
あっという間に到着。ここのエイドは山荘内にあり、温かい食べ物も提供してくれます。

鳥スープに面を添えて・・・バナナは黒くなっていたり、パンはカッチカチだったりで中々エイドで補給できるものがなかったので、貴重なエネルギー補給時間です。何より温かいのがうれしい。
ここから神瀑まで行って帰ってくる往復コース。確か片道5kmで500m以上登るなかなかハードなコースです。
すっかり暗くなり景色は楽しめませんが、川沿いを進んでいきます。ふと脇を見ると、

川の中にケルンがつんでありますが、三途の川にしか見えません。一人で歩いていますが、かなり怖かったです。
3km程歩いていくと、いきなりチェックポイントが。どうやら2km程手前に変更になったようです。
どうしてか?と聞いてみたら、はどうせ暗くて神瀑見えないからいいだろう的な返答で正直???でした、ボランティアの人が面倒臭がってコースを短縮したのでは?と疑ってしまいましたが、後で聞いた話では、どうやら地元の人よりクレームがあったようで(神聖な場所に立ち入り禁止的な話しらしい)急遽短縮になったようでした。

なぜかチェックポイントに羊がいて、みんなで羊の丸焼きを食べよう!とか言って盛り上がりました。どうでもいいけどテンション高かった。
個人的には登りも減り、距離も減ったことで帰りの飛行機までの時間の少し貯金ができたと内心ほくそえんでました。神瀑はいつかの機会に。
ここは町からも離れていて空気もすんでいました。ヘッドライトを消して空を見上げると文字通り満天の星空が。こんな星空はもう何年も見ていません。心も澄んでいきます。
あっという間にSP5に戻ってきて、又スープを飲んで体を温めると力が湧いてきました。ここからゴールまで距離としては後30kmちょっと。15km位ずーっと下って平地を10km位走って最後は7km位の1500mの登りを一気に上がってゴール。最後の登りがしんどいのはわかっているのでその手前の下りと平地は極力走るようにする作戦。
走る気満々でレインジャケットを脱いでシャツ1枚で出発。最初の数キロは調子よかったのですが、途中から胃が痛くなり始めます。走ると吐きたくなるので歩く事しかできません。ここに来て胃のトラブル発生です。また、以前にもあった意味もなく尿意を催すトラブルも併発。ここまで結構楽しんでこれたのですが一気にテンションが下がります。
徐々に気温も下がってきます。歩いているので体も冷えてきます。レインジャケットを防寒具変わりに着込みます。すると胃が温められたせいか、気持ち悪さが収まってきます。ジェルも飲めるようになってきました。
どうやらジャケットを脱いで体が冷えたことが原因のようです。今までのレースを振り返ってみると確かに胃の調子が悪くなったのは薄着の時が多かったような気がします。逆に調子が良かった時のレースは大体上に1枚なにかを着ていたような気がします。これは新発見。このような試練を与えたのはこれを教えるためだったのかとチベットの神々に感謝をします。
相変わらずほとんど走れませんが、進めばいつかはゴールできることを信じ、コースロストをしないようにだけ注意して進みます。
しかしここに来てほとんど1本道なので迷う事はないのですが、今まで長くても50m毎に会ったコースマーカーが500m毎の間隔となり、急に手抜きになります。1本道だけど不安になります。そのような状況でSP6に到着。
そこからさらに少し下り、切り立った崖に作られた道をしばらく通りSP7に到着。時刻は2時30分。
ここから先は10kmのほぼ平坦な道。でも胃の調子がまだ悪く十分にエネルギー補給ができていない為力が出ません。トボトボと歩いていきます。ここで数名に抜かれ、その元気な姿をみて自分の不甲斐なさに嫌気がさします。でもこんなことでくじけていたらUTMBは完走できない。何よりゴールにはFさん夫妻が待っていてくれるはず。恥ずかしい姿は見せられないという気持ちだけで進みます。
しかし、最近寝不足だったこともあり、ここに来て睡魔が襲ってきます。道路が広いこともあり、得意の歩きながら寝る作戦をとりますが、道路が広すぎて真っすぐではなく千鳥足のように行ったり来たりするので全然前に進んでません。30秒位のマイクロスリープを繰り返し、ゆっくりとでも確実に進みます。
実は今まで右足の裏が痛かったのですが、包帯グルグル巻きの靴だったために靴を脱ぐのが億劫でたぶん水膨れだろうとそのままにしていました。しかしあまりにも痛かったので、ついに靴を脱いで足を確認してみました。すると靴下が大きく破けて素足になっていました。これは痛いはず。大きめのバンドエイドを張って補強をすると、なんと足が痛くありません。こんなことならもっと早くやっておけばよかったと思うも後悔先に立たず。
眠ったり歌ったり、何故トレランをやっているのかという自問自答の時間がまたやってきて、それが過ぎると無我となりメコン川源流の川の流れを聞きながら、ヘッドライトの明かりだけを頼りに進んでいきます。
結局この平地の10kmに3時間30分近くかかってしまいました。でもそれでも最終エイドにSP1に到着。10数時間前に来た場所に戻ってきました。
ここでは炭っぽい冷たいおかゆと、バナナと水分を補給。最後の登りに向けて出発します。
最後は登り1500m。もう走れないのでとりあえず1歩ずつ進むことにします。最初に下ってきた道なのでコース感はありますが、あんなに大変な下りを登るのかと思うとかなりゲンナリします。この登りがゴール前ではなく70km位にあったらリタイアしていたかもしれません。でもUTMBでは100km過ぎた地点からこのクラスの山3つ越えるので、こんな山程度お茶の子さいさいで越えていかないといけないと、自分に言い聞かせながら登っていきます。

やっと明るくなってきました。気分も少し盛り上がります。
ゆっくりずつでもいつかはゴールできるもの。結局4時間近くかけて1500mを登りきろうとしたその時、足を怪我してドクターストップがかかったFさんが途中まで迎えにきてくれました。
このサプライズはうれしかったですね。

ゴールへ続く最後の舗装路。一緒に歩きながら色々とお話をしました。
いよいよゴールの瞬間Fさんの奥さんがゴール前で日本の国旗を渡してくれました。そしてFさんと一緒にゴール!

写真は記念に一人で撮ってもらったもの。
結局27時間ちょっとかかってしまいましたが、無事に完走することができました。
靴もボロボロになりましたが、包帯もぎりぎり破れずに持ってくれました。
徳欣から香格里拉まではFさん夫妻ともう一人知り合った方とホテルの車で一緒に移動。車中色々とお話ができてよかったです。
今回観光は全くできませんでしたが、素晴らしい景色の中走れるレースと、いろんな方の温かみい触れることができ、また1年ぶりにF夫妻とお会いでき話ができて、しかも最後のフライトもバッチリ間に合うという完璧なレースでした。
おわり。

馬や牛が生活の一部となっています。

チベット仏教も生活の一部。こういう景色の中を走る事に憧れていました。
少し走っていると前方から選手がやってきます。どうやらトップ選手のようです。一部のコースが折り返しになっているので選手とすれ違う事がありますが、流石にトップ選手、いいペースで走っています。

途中水の力で回すマニ車がありました。半永久機関でお祈りができます。

徐々に高度を上げていきます。ようやく冰湖のふもとのキャンプ地に到着。ここで高度3500m位。

さすがにかなり寒くなります。それもそのはず雪山のだいぶ近くに来ています。心なしか雨も降り始めています。レインジャケットを着て先に進みます。

そしてついに最高地点の冰湖に到着。確かに凍っています。写真では伝わらない壮大さがありました。ここにいるチェックポイントの人にゼッケンにハンコを押してもらい折り返します。
道中、後続の選手とすれ違いますが、皆さん後どれくらいかと同じ質問をします。皆さん同じように辛いようです。
同じ道を少し戻りますがその先は少し遠回りをしてSP3まで戻ります。その道中、細い道の先から牛が歩いてきます。このままでは衝突してしまうと思い、思わずカメラを構えます。すると

牛が脇道にそれてくれました。譲り合いの精神がこんなところに・・・。感動です。
しばらくするとチェックポイントの尼塞牧場に到着。

テントで選手を待っていてくれます。こういったボランティアも大変な仕事ですよね。感謝です。でもキャンプみたいで楽しそう。ここでヘッドライトを装着して夜に備えて出発します
その先は氷河か残雪かわかりませんが雪の上を進みます。

スノーブリッジになっている所を通ることもあり、ドキドキしながら進みます。

こういう景色をみると「失われた地平線」ってこういう所をみて思ったのかなぁと想像してしまいます。
その後日も落ちた頃にSP3に戻ってきました。

するとドクターが靴の調子はどうか?と心配してくれます。テーピングの方はボロボロになっていますが、包帯の方はばっちり固定されています。テーピングで包帯を補強し再度出発します。
この時Fさんがドクターストップの為リタイヤを決断したと連絡がありました。残念ですが、Fさんの分も頑張って完走しようと心に決めます。
ここからは少し下ってSP5の下雨崩村まで3km位の距離。
あっという間に到着。ここのエイドは山荘内にあり、温かい食べ物も提供してくれます。

鳥スープに面を添えて・・・バナナは黒くなっていたり、パンはカッチカチだったりで中々エイドで補給できるものがなかったので、貴重なエネルギー補給時間です。何より温かいのがうれしい。
ここから神瀑まで行って帰ってくる往復コース。確か片道5kmで500m以上登るなかなかハードなコースです。
すっかり暗くなり景色は楽しめませんが、川沿いを進んでいきます。ふと脇を見ると、

川の中にケルンがつんでありますが、三途の川にしか見えません。一人で歩いていますが、かなり怖かったです。
3km程歩いていくと、いきなりチェックポイントが。どうやら2km程手前に変更になったようです。
どうしてか?と聞いてみたら、はどうせ暗くて神瀑見えないからいいだろう的な返答で正直???でした、ボランティアの人が面倒臭がってコースを短縮したのでは?と疑ってしまいましたが、後で聞いた話では、どうやら地元の人よりクレームがあったようで(神聖な場所に立ち入り禁止的な話しらしい)急遽短縮になったようでした。

なぜかチェックポイントに羊がいて、みんなで羊の丸焼きを食べよう!とか言って盛り上がりました。どうでもいいけどテンション高かった。
個人的には登りも減り、距離も減ったことで帰りの飛行機までの時間の少し貯金ができたと内心ほくそえんでました。神瀑はいつかの機会に。
ここは町からも離れていて空気もすんでいました。ヘッドライトを消して空を見上げると文字通り満天の星空が。こんな星空はもう何年も見ていません。心も澄んでいきます。
あっという間にSP5に戻ってきて、又スープを飲んで体を温めると力が湧いてきました。ここからゴールまで距離としては後30kmちょっと。15km位ずーっと下って平地を10km位走って最後は7km位の1500mの登りを一気に上がってゴール。最後の登りがしんどいのはわかっているのでその手前の下りと平地は極力走るようにする作戦。
走る気満々でレインジャケットを脱いでシャツ1枚で出発。最初の数キロは調子よかったのですが、途中から胃が痛くなり始めます。走ると吐きたくなるので歩く事しかできません。ここに来て胃のトラブル発生です。また、以前にもあった意味もなく尿意を催すトラブルも併発。ここまで結構楽しんでこれたのですが一気にテンションが下がります。
徐々に気温も下がってきます。歩いているので体も冷えてきます。レインジャケットを防寒具変わりに着込みます。すると胃が温められたせいか、気持ち悪さが収まってきます。ジェルも飲めるようになってきました。
どうやらジャケットを脱いで体が冷えたことが原因のようです。今までのレースを振り返ってみると確かに胃の調子が悪くなったのは薄着の時が多かったような気がします。逆に調子が良かった時のレースは大体上に1枚なにかを着ていたような気がします。これは新発見。このような試練を与えたのはこれを教えるためだったのかとチベットの神々に感謝をします。
相変わらずほとんど走れませんが、進めばいつかはゴールできることを信じ、コースロストをしないようにだけ注意して進みます。
しかしここに来てほとんど1本道なので迷う事はないのですが、今まで長くても50m毎に会ったコースマーカーが500m毎の間隔となり、急に手抜きになります。1本道だけど不安になります。そのような状況でSP6に到着。
そこからさらに少し下り、切り立った崖に作られた道をしばらく通りSP7に到着。時刻は2時30分。
ここから先は10kmのほぼ平坦な道。でも胃の調子がまだ悪く十分にエネルギー補給ができていない為力が出ません。トボトボと歩いていきます。ここで数名に抜かれ、その元気な姿をみて自分の不甲斐なさに嫌気がさします。でもこんなことでくじけていたらUTMBは完走できない。何よりゴールにはFさん夫妻が待っていてくれるはず。恥ずかしい姿は見せられないという気持ちだけで進みます。
しかし、最近寝不足だったこともあり、ここに来て睡魔が襲ってきます。道路が広いこともあり、得意の歩きながら寝る作戦をとりますが、道路が広すぎて真っすぐではなく千鳥足のように行ったり来たりするので全然前に進んでません。30秒位のマイクロスリープを繰り返し、ゆっくりとでも確実に進みます。
実は今まで右足の裏が痛かったのですが、包帯グルグル巻きの靴だったために靴を脱ぐのが億劫でたぶん水膨れだろうとそのままにしていました。しかしあまりにも痛かったので、ついに靴を脱いで足を確認してみました。すると靴下が大きく破けて素足になっていました。これは痛いはず。大きめのバンドエイドを張って補強をすると、なんと足が痛くありません。こんなことならもっと早くやっておけばよかったと思うも後悔先に立たず。
眠ったり歌ったり、何故トレランをやっているのかという自問自答の時間がまたやってきて、それが過ぎると無我となりメコン川源流の川の流れを聞きながら、ヘッドライトの明かりだけを頼りに進んでいきます。
結局この平地の10kmに3時間30分近くかかってしまいました。でもそれでも最終エイドにSP1に到着。10数時間前に来た場所に戻ってきました。
ここでは炭っぽい冷たいおかゆと、バナナと水分を補給。最後の登りに向けて出発します。
最後は登り1500m。もう走れないのでとりあえず1歩ずつ進むことにします。最初に下ってきた道なのでコース感はありますが、あんなに大変な下りを登るのかと思うとかなりゲンナリします。この登りがゴール前ではなく70km位にあったらリタイアしていたかもしれません。でもUTMBでは100km過ぎた地点からこのクラスの山3つ越えるので、こんな山程度お茶の子さいさいで越えていかないといけないと、自分に言い聞かせながら登っていきます。

やっと明るくなってきました。気分も少し盛り上がります。
ゆっくりずつでもいつかはゴールできるもの。結局4時間近くかけて1500mを登りきろうとしたその時、足を怪我してドクターストップがかかったFさんが途中まで迎えにきてくれました。
このサプライズはうれしかったですね。

ゴールへ続く最後の舗装路。一緒に歩きながら色々とお話をしました。
いよいよゴールの瞬間Fさんの奥さんがゴール前で日本の国旗を渡してくれました。そしてFさんと一緒にゴール!

写真は記念に一人で撮ってもらったもの。
結局27時間ちょっとかかってしまいましたが、無事に完走することができました。
靴もボロボロになりましたが、包帯もぎりぎり破れずに持ってくれました。
徳欣から香格里拉まではFさん夫妻ともう一人知り合った方とホテルの車で一緒に移動。車中色々とお話ができてよかったです。
今回観光は全くできませんでしたが、素晴らしい景色の中走れるレースと、いろんな方の温かみい触れることができ、また1年ぶりにF夫妻とお会いでき話ができて、しかも最後のフライトもバッチリ間に合うという完璧なレースでした。
おわり。