最後の急登は700m続きます。最初は滑る粘土質の山道で斜度20~30度位の急峻な道を登って行きます。今まで登りは順調でしたが、ここで少しガス欠気味となり一気にペースが落ちます。水がおいしくなくジェルもおいしくなくなってきています。お腹に優しい味のあるものが食べたくなりますが、当方持ち合わせがございません。
数人に抜かれ焦りますが、心を冷静に保ち、「目標はあくまでも完走。一歩ずつ進めばいつかゴールにたどり着く」と言い聞かせ、無理せずおりこうさんに登ろうと歩みを進めます。途中から階段に代わります。足場は良くなりましたが相変わらずペースは上がりません。
あそこまで進んだらご褒美のウィダーインゼリーを飲もうと小さな目標を決めたり、事前の案内では登った頂上には売店があり、購入可能と書いてあったから、レッドブルをいっぱい飲もうと想像してみたりして、7km先の頂上を目指します。
そしてGPS時計で4km位進んだ所で頂上らしき場所に出ますが、売店らしきものは見えません。「そうだここはダミー山頂だな。まだまだ先があるんだな」と思いますが、高度計は900mを超え、頂上にいてもいいはずです。でもチェックポイントもないし、きっと先があるんだと思い先に進みます。
すると道のわきに段ボールの上にドリンクを置いて売っているおじさんがうずくまっています。
すぐ隣には係員もいて道はこっちだぞと案内をしています。
段ボールの上のドリンクにはレッドブルもおいてあります。「レッドブルください」というと、係員は「ここはエイドではないので、有料ですよ」と注意してくれます。
そんなことは百も承知ですが、とにかくエネルギーが欲しくレッドブルを3本購入(1本10元。山価格です)。その場で1本飲み、2本をストックし、係員の指し示す下り坂へと進みます。ここからは階段ではなく土の道で滑りやすくなります。
そしてしばらく下っていくと本格的に下って行きます。頂上にあるはずのCPがありません。7km進んだときにはすでに高度は400m位下ってしまっています。マーカーはあるのでコースは間違っていないはず。もはやCPを探すのを諦め、ひたすら下ります。霧も出てきており、道が滑りやすくなっていますが、レッドブルを補給し、下りはもともと好きなので、ガンガン飛ばしていきます。すると登りの時に抜かれた数名を全て抜き返すことができました。彼らはこの滑る土道に悪戦苦闘しているようです。
ようやく写真を撮る余裕も出てきました。
こんな道を下りてきました。
もうすぐゴールと思われる下界が見えます。
基本的に1本道の為、コースマーカーがほとんどない状況でしたが、道に迷うことはありませんでした。しかし、標高300m位迄来た時に、道が2つに分かれています。まっすぐに行く道と左に曲がる道。真っすぐ行く道は広いですが何もありません。左に曲がる道は細いですがなぜかスーパーのO'leのマークの入った紐がまかれています。
最後にきてコースロストの可能性が出てきました。この2分の1の確率。負けられない戦いです。
少し行ってマーカーがなく引き返し登ることは想像したくもありません。
でも前に進まなくてはいけません。
基本的には標のある山道を来ていたのでO'leのマークのある細い道の方へ進みます。しばらく走りましたがマーカーがありません。やっちゃったかな?と思いながらそれでも引き返す勇気がなく、きっとあると信じて走ること約1km位。ようやくマーカーを発見。
この時は本当にこんな感じ。
「勝ったな」 「ああ」
そして山を下り、最後川沿いの道を走り切り、遂に・・・
ゴーーーーーール!!
17時間30分弱。もともとの18時間の制限時間も切ることができました。
おりこうさんに走り、何とか完走することができました!!
その後、フルに参加していたS君を待っていましたが、中間地点で関門アウトとなり残念ながらリタイヤとなりました。
近くの宿に泊り翌日S君の荷物を取りにゴール地点の羊台山へ。
11時前、丁度数名のランナーがゴールしていました。あそこからもう一晩80km走ってきた猛者達。尊敬です。
本当はフルを走る予定でエントリーしていましたが、おそらく完走できてなかったと思います。
ハーフに切り替えてよかったと思う反面、やはり100マイルを走りたいと思う気持ちもどこかであります。
今回のレースを振り返ってみると、
・第1回目ということもありレース運営はグダグダ。
・事前の案内と内容が違うことが多々あり。案内も不親切(言葉の問題がなくても)
・エイドはあてにならない(もともとエイドをあてにしてはいないので自分は大きな失望は無かったですが)。
・マーカーが不親切。1km以上ないこともあれば50m毎にあるときもあり、ものすごく不安。しかもマーカーが数種類あり統一されていない。
・深センの山は思いのほか柔らかく、日本と似ていて走りやすい。
・12月だったけど20度位あり夜は過ごしやすい。昼は丁度良いくらい。
・対策で購入した腹巻、ショートパンツは効果抜群。最後は少し気持ち悪くはなったが胃が痛むことはなかった。
・GPS時計。これがないともう駄目というくらい便利。心の支えとなった。
・レッドブル。飲めば力倍増。結局レース中に4本。レース前後も含めると合計8本飲んだ。体大丈夫か?
・そうはいってもトレランを愛する気持ちはランナーも主催者もボランティアも万国共通。
これでUTMBのポイント2ptをゲットし、来年のUTMBにエントリーすることができます。抽選ではまぁ当たらないと思いますが、万一当たったらどうしようとちょっとだけワクワクしてしまいます。
また深センのレースですが来年参加するかどうかはわかりませんが、主催者は開催すると言っていましたので、ルールや関門等問題点を色々改善してもらい、UTMFに続くアジアを代表する100マイルレースとなることを期待しています。
みなさん本当にお疲れ様でした。
終わり