無事に完歩した後、一番つらかったのは宿に着くまで。
まずゴールから500m位先の受付までドロップバッグを取りに行かなくてはいけません。これが遠い。
更にそのドロップバッグを宿まで持っていかなくてはいけません。自分が予約していたホテルは受付から1km位先でしかもあの重いドロップバッグを持たないといけないと思うと気が重くて仕方ありませんでした。
受付にいってドロップバッグを受け取り、呆然としながらとりあえずその場にあるシャワーを浴びて、さらに呆然としているとバルトナンシュでお会いした日本人の方がいてビールを持ってきてくれました。これは本当においしかった。また既に完走していた日本人の方もホテルが同じで荷物を運んでくれるのを手伝ってくださり、自分は歩くだけで本当に助かりました。
いつか自分も他の選手を助けてあげられるような強い選手になりたいなと思いながらホテルに到着。
ホテルではホテルの奥さんが自分のことをGPSで追跡していてくれたようで完走の祝福をしてくれました。
荷物の整理や足のケアとかやらなきゃいけないことが沢山あったけど、すべてを無視してとりあえず眠ることに。翌日は閉会のセレモニーがあるのでそれまでには間に合うよう起きれることを祈りながら・・・
翌朝、全身の痛みで目が覚めます。足はガチガチ、股擦れは悪化し膿み、足のマメも痛く靴下はおろか靴も履けない。ふくらはぎと足首はむくんで象のようになり、足の裏は針の上を歩くようにびりびりとしびれる状況。よくもここまで体を酷使できたなと自分でも久しぶりの感覚で少しうれしくもあります。
朝起きるとお腹が劇的に空いており、ペンギン歩きでロビーに行って朝食をとります。

やっと普通のパンが食べれました。
10時からセレモニー開始。完走した人にはフィニッシャーズジャケットが配布されました。

ジャケットをきてゴールゲートにて。ほとんど歩いてたけど完走。

レース中は少し雨が降ったけどほとんど快晴でした。今日も快晴。
結構待たされましたがセレモニーが開始。

完走者が行進してゴールゲートまで歩きます。本大会のテーマソングは「Alegria」シルクドゥソレイユの音楽です。これがこの先数日間頭の中でリフレインし、その度に4Kの感動がよみがえります。

ゲートの周りにはたくさんの人。本当にうれしい。

心の底から祝福されている気がします。

凄い人です。これは感動しました。

完走したのは309人。選ばれた人のような錯覚がします。
帰国のフライトの関係からセレモニーの途中で抜け出しアオスタへ向かうバスに向かいましたが、この後飲んだり食べたり楽しい時間が過ぎたようです。
知り合いになれた方にも簡単な挨拶しかできませんでしたが、お別れをして帰路につきます。
帰りのバスの中過ぎ去る山を見ながら頭の中で「Alegria」がリフレインし、「辛くてやめたいと何度も思ったけど結局ほとんど走れなかったのは残念だったな。いつかしっかりと準備してもう一度挑戦してみたい」と既に思いはじめている自分に少しびっくりしました。
最後に今回の旅を振り返って思ったことをいくつか書きたいと思います。
・この旅を完歩できた要因は?
家族の理解があった。天気が良かった。歩き続けることを心がけた。同じペースで行ける選手がいて話ができた。レッドブルがスポンサーで飲み放題だった。ペーパーナプキンが偶然落ちていた。日本人選手やお仲間が声をかけてくれたり引っ張り合うことができた等々、どれか一つかけていても完歩できなかったと思います。
・何故トレランをするのか?
6日目か7日目の朝、マメが痛くて、眠くて、股擦れがひどい状況についてある選手と話をしてると、「それが楽しいんだよね。それを経験するためにトレランをしているんだ」と意気投合。やっぱここまでや体や精神を追い込んで頑張らないと体験できない事をやりたいんだろうと思う。どこまでもMだな自分。
・エプソンMZ-500(GPS腕時計)
ベースキャンプで充電しながらログをとる事ができました。しかし5日目にアラームがなり悲しいお知らせが表示されました。「メモリがいっぱいです」。そう100時間までしかログがとれませんでした。その後は只の腕時計となってしまうことに。距離を把握したかった為にしばらく悩んだ結果、泣く泣く100時間のログを消去し残りのログをとることを選択。過去と決別し未来を進む道を選んだと自分は当時はかっこよいと思っていた。
・睡眠時間
振り返ってみると結局は1日目2時間、2日目5時間、3日目3時間、4日目4時間、5日目3時間、6日目1時間+αで20時間程度だったと思います。
多いか少ないか良くわかりませんが睡眠時間と走る時間はトレードオフの関係にあると思われます。ゆっくり休むために頑張って走るか、ゆっくり走って頑張って寝ないか。でもしっかり休む事はこのレースにおいては絶対大事だと思います。
・思うこと
この大会は自分にとってはトレランではなくファストパッキングの旅でした。実質走った(といってもジョグですが)距離は合計で10kmもないと思います。いろんな条件が揃い体調さえ持てば歩いてでも完走できるということを実証しました。しかし本当に想像力の準備不足で初日の山で面食らってしまい、日々歩むことに全身全霊を注ぎ景色や人々との交流は楽しめたけれど旅自体を心より楽しむことはできていなかったと思います。もっと走れるところは走り、山小屋や草むら等でも休むところで休むといったメリハリをつけることができる実力があればより自然を楽しんだり、いろんなものを食べたり、ビールやワインを飲んだり、色んな人と交流したりと一層充実した旅になったのではないかと思います。これも今回の経験があったから気づけたことで今後の自分の糧にしていきたいと思います。
・自然について
今回は天気に恵まれ自然の美しさとその中の自分の小ささを感じることができました。一方で一週間後に開催されたトルデジアンでは土砂降りの雨となったり、山では雪も降ったようで、同じコース(逆回り)で一週間でこんなにも変わるのかと改めて自然の恐ろしさを感じました。山に入るからには気持ちも装備もきちんと整えてから行きたいですね。
・家族
今回は無理を言って長い休みを使いレースに参加しました。本来なら日本で家族と過ごすべきなのはわかっていますが自分のワガママを聞いてくれた家族には本当に感謝です。色々思うところはあったでしょうが最終的には応援してくれ、本当に心の支えになりました。この支えなくては間違いなくゴールできませんでした。改めてメンタルのスポーツだなと思いました。無事に帰れて良かったです。
・最後に
このブログを読んでくれた方、長々とお付き合いありがとうございました。
来年も4Kは開催されるようです。興味のある方は是非ご参加ください。なんやかんや書きましたが超お勧めです。
終わり。
追伸:
イタリアの旅から1日後、北京に到着するも北京から重慶に戻る便がキャンセルになり空港は混乱。

夢から現実に一気に戻されました。
まずゴールから500m位先の受付までドロップバッグを取りに行かなくてはいけません。これが遠い。
更にそのドロップバッグを宿まで持っていかなくてはいけません。自分が予約していたホテルは受付から1km位先でしかもあの重いドロップバッグを持たないといけないと思うと気が重くて仕方ありませんでした。
受付にいってドロップバッグを受け取り、呆然としながらとりあえずその場にあるシャワーを浴びて、さらに呆然としているとバルトナンシュでお会いした日本人の方がいてビールを持ってきてくれました。これは本当においしかった。また既に完走していた日本人の方もホテルが同じで荷物を運んでくれるのを手伝ってくださり、自分は歩くだけで本当に助かりました。
いつか自分も他の選手を助けてあげられるような強い選手になりたいなと思いながらホテルに到着。
ホテルではホテルの奥さんが自分のことをGPSで追跡していてくれたようで完走の祝福をしてくれました。
荷物の整理や足のケアとかやらなきゃいけないことが沢山あったけど、すべてを無視してとりあえず眠ることに。翌日は閉会のセレモニーがあるのでそれまでには間に合うよう起きれることを祈りながら・・・
翌朝、全身の痛みで目が覚めます。足はガチガチ、股擦れは悪化し膿み、足のマメも痛く靴下はおろか靴も履けない。ふくらはぎと足首はむくんで象のようになり、足の裏は針の上を歩くようにびりびりとしびれる状況。よくもここまで体を酷使できたなと自分でも久しぶりの感覚で少しうれしくもあります。
朝起きるとお腹が劇的に空いており、ペンギン歩きでロビーに行って朝食をとります。

やっと普通のパンが食べれました。
10時からセレモニー開始。完走した人にはフィニッシャーズジャケットが配布されました。

ジャケットをきてゴールゲートにて。ほとんど歩いてたけど完走。

レース中は少し雨が降ったけどほとんど快晴でした。今日も快晴。
結構待たされましたがセレモニーが開始。

完走者が行進してゴールゲートまで歩きます。本大会のテーマソングは「Alegria」シルクドゥソレイユの音楽です。これがこの先数日間頭の中でリフレインし、その度に4Kの感動がよみがえります。

ゲートの周りにはたくさんの人。本当にうれしい。

心の底から祝福されている気がします。

凄い人です。これは感動しました。

完走したのは309人。選ばれた人のような錯覚がします。
帰国のフライトの関係からセレモニーの途中で抜け出しアオスタへ向かうバスに向かいましたが、この後飲んだり食べたり楽しい時間が過ぎたようです。
知り合いになれた方にも簡単な挨拶しかできませんでしたが、お別れをして帰路につきます。
帰りのバスの中過ぎ去る山を見ながら頭の中で「Alegria」がリフレインし、「辛くてやめたいと何度も思ったけど結局ほとんど走れなかったのは残念だったな。いつかしっかりと準備してもう一度挑戦してみたい」と既に思いはじめている自分に少しびっくりしました。
最後に今回の旅を振り返って思ったことをいくつか書きたいと思います。
・この旅を完歩できた要因は?
家族の理解があった。天気が良かった。歩き続けることを心がけた。同じペースで行ける選手がいて話ができた。レッドブルがスポンサーで飲み放題だった。ペーパーナプキンが偶然落ちていた。日本人選手やお仲間が声をかけてくれたり引っ張り合うことができた等々、どれか一つかけていても完歩できなかったと思います。
・何故トレランをするのか?
6日目か7日目の朝、マメが痛くて、眠くて、股擦れがひどい状況についてある選手と話をしてると、「それが楽しいんだよね。それを経験するためにトレランをしているんだ」と意気投合。やっぱここまでや体や精神を追い込んで頑張らないと体験できない事をやりたいんだろうと思う。どこまでもMだな自分。
・エプソンMZ-500(GPS腕時計)
ベースキャンプで充電しながらログをとる事ができました。しかし5日目にアラームがなり悲しいお知らせが表示されました。「メモリがいっぱいです」。そう100時間までしかログがとれませんでした。その後は只の腕時計となってしまうことに。距離を把握したかった為にしばらく悩んだ結果、泣く泣く100時間のログを消去し残りのログをとることを選択。過去と決別し未来を進む道を選んだと自分は当時はかっこよいと思っていた。
・睡眠時間
振り返ってみると結局は1日目2時間、2日目5時間、3日目3時間、4日目4時間、5日目3時間、6日目1時間+αで20時間程度だったと思います。
多いか少ないか良くわかりませんが睡眠時間と走る時間はトレードオフの関係にあると思われます。ゆっくり休むために頑張って走るか、ゆっくり走って頑張って寝ないか。でもしっかり休む事はこのレースにおいては絶対大事だと思います。
・思うこと
この大会は自分にとってはトレランではなくファストパッキングの旅でした。実質走った(といってもジョグですが)距離は合計で10kmもないと思います。いろんな条件が揃い体調さえ持てば歩いてでも完走できるということを実証しました。しかし本当に想像力の準備不足で初日の山で面食らってしまい、日々歩むことに全身全霊を注ぎ景色や人々との交流は楽しめたけれど旅自体を心より楽しむことはできていなかったと思います。もっと走れるところは走り、山小屋や草むら等でも休むところで休むといったメリハリをつけることができる実力があればより自然を楽しんだり、いろんなものを食べたり、ビールやワインを飲んだり、色んな人と交流したりと一層充実した旅になったのではないかと思います。これも今回の経験があったから気づけたことで今後の自分の糧にしていきたいと思います。
・自然について
今回は天気に恵まれ自然の美しさとその中の自分の小ささを感じることができました。一方で一週間後に開催されたトルデジアンでは土砂降りの雨となったり、山では雪も降ったようで、同じコース(逆回り)で一週間でこんなにも変わるのかと改めて自然の恐ろしさを感じました。山に入るからには気持ちも装備もきちんと整えてから行きたいですね。
・家族
今回は無理を言って長い休みを使いレースに参加しました。本来なら日本で家族と過ごすべきなのはわかっていますが自分のワガママを聞いてくれた家族には本当に感謝です。色々思うところはあったでしょうが最終的には応援してくれ、本当に心の支えになりました。この支えなくては間違いなくゴールできませんでした。改めてメンタルのスポーツだなと思いました。無事に帰れて良かったです。
・最後に
このブログを読んでくれた方、長々とお付き合いありがとうございました。
来年も4Kは開催されるようです。興味のある方は是非ご参加ください。なんやかんや書きましたが超お勧めです。
終わり。
追伸:
イタリアの旅から1日後、北京に到着するも北京から重慶に戻る便がキャンセルになり空港は混乱。

夢から現実に一気に戻されました。