重慶でラン&山登り

マラソンと山登りが趣味。
重慶の街を走って見つけた面白いことを記録します。

HK100 その3

2015-01-31 21:02:07 | Vibram HK 100
ようやく半分が過ぎたところですっかり暗くなってきました。久しぶりのナイトランです。というかUTMF以来です。すでに10時間近く走ったり歩いたりしていますが、まだまだ先は長いです。ここからは自分との戦いとなります。制限時間は30時間。まだ20時間も余裕があります。しかしここからは登りが続きます。今回のレースは後半に登り下りが集中しています。しかも登りが多い。
更にその登りも山ではなく、ロードです。暗くて写真は撮っていませんが本当にトレラン??と思うほどロードが続きます。13章までありそうです。



トレイルももちろんありまたそこから見える街の明かりはとてもきれいでした。天気がもう少しよければ更にきれいな夜景が広がっていたと思います。田舎の方なので100万ドルの夜景とまでは行きませんでしたが、丘の稜線から両側に見える街の夜景は日本では見れない心に残る景色でした。

しかし、さすがに夜となりこの距離を走って(歩いて)くると、体の調子がおかしくなります。しかも事前での練習でも30kmくらいが最長。長距離に体が慣れていません。このあたりから体に異変が発生してきました。食欲が著しく低下します。ジェルものどを通りません。そのうち水も飲めなくなりました。栄養が補給されないから走ることができません。休もうと立ち止まると寒くて低体温症になりそうになります。あまりの寒さに人生初めてサバイバルブランケットを使用してみました。が体全体をうまく包むことができず、やはり寒いです。そして眠気も襲ってきました。ちょっとヤバい感じです。次のエイドまでとりあえず行こう。と一歩一歩ゆっくりと、でも確実に進んでいきます。頭には天使と悪魔が出てきます。
悪魔:ここでリタイアしても誰も文句いわないぜー。
天使:過去に100kmは走ったことあるのだからまだまだいけるよー。
悪魔:体に無理してもいいことないぜー。
天使:ここで諦める人は、人生も簡単に諦めてしまうよ。頑張れー。
悪魔:どうせ目標タイムには届かないんだから、次のエイドでリタイアしちゃおうぜー。
天使:タイムは関係ない。完走すれば3ptもらえるんだから。目標はUTMFリベンジ。ここは歩いてでも完走だ!

そんな葛藤を繰り返しながら、とりあえず次のエイドに行くことにしました。

エイドに到着。朝の2時頃。スタートより18時間経過。暖を取りたいのですが、何もありません。休憩室には椅子があり、毛布がありましたが温かくなりません。温かいものを食べたいのですが、喉を通りません。食べても吐いてしまいます。胃が完全にやられてしまってます。
あまりの寒さにいてもたってもいられず、出発をすることに。とりあえず次のエイドまで行ってみようと。7kmをトボトボと歩くこと3時間。要約最終エイドに到着しました。

ここでついに心が折れます。3時間水も食糧も何も取れないまま、疲労困憊しており、とりあえず体力回復の為、寝ることに。簡易テントの中ですでに倒れている何人かの間に割り込み、無理やり毛布を奪って横になります。もはやタイムは関係ありません。1時間したら目が覚めます。でも体がいうことを聞いてくれません。2度寝します。1時間後。まだ体がだるいです。3度寝します。次に目が覚めたら外がすっかり明るくなっています。時計を見ると8時30分。なんと合計3時間30分も休んでしまいました。このままゆっくりしていると制限時間アウトになってしまいます。体調は少し回復しています。慌てて出発です。

すっかり明るくなっています。体調も回復したようです。食べ物もたべれそう。


最後の10km、本当のトレイルっぽくなってきました。
ですが登り始めるとまた気持ち悪くなり吐いてしまいます。もはやレース楽しむのを諦めて、ただ完走することを目標に切り替えます。体力的にも精神的にもとても辛かったのですが、過去のレースを思い出し、「あぁこの辛さを味わうためにトレランをしてたんだ。」という20時間を超えないと味わえないトレランの醍醐味を思い出し、違う意味で精神が充足されていくのを感じながら最後の登り(これも急なロードでしたが)を登り切った後、あとは下りだけになってようやく気持ちが落ち着いてきました。

そして、そこで今回の隠し玉を登場させることに。
それは・・・

コスプレ!!

ひつじ年なので。香港にも干支はあるのでうけるかな??なんて思っていると、今まで「頑張れー」としか言ってくれなかった観衆たちが、「Wow」とか「Picture Please」とか声をかけられるようになりました。声かけられ率は実に80%です。コスプレ恐るべし。そして病みつきになりそう。コスプレのおかげで最後のエネルギーをもらい何とかゴール!!

タイムは制限時間の30時間以内ということでした。

最後は着替えてビールでおつかれさま。

これは何とか吐かないですみました。

その後は空港に行き重慶にトンボがえりしたのでした。

今回のレースを総括すると。

・登り好きにはたまらん。
・エイドのボランティアのテンション高いから頑張れる。
・エイドが多く、携帯する食糧、水が少なくて済む。
・地面が固いので、ヨーロッパのレースと似ている(と想像)
・下りが少ないので膝への負担が少ない。
・標高低く、そんなに寒くない。

来年参加するかどうかはわかりませんが、ウルトラ入門者には非常に良いレースだと思います。そして何よりボランティアの温かさが身に染みました。


終わり

HK100 その2

2015-01-30 21:55:03 | Vibram HK 100
2015年1月17日AM5時30分。重慶大厦を出発し、スタート地点の西貢地区にタクシーで移動。6時30分ごろに会場に到着。
まだ暗いですが、多くの人が集まってきています。早速準備にかかります。


しばらくすると人もどんどん集まってきました。

マレーシアチームでしょうか?

今回の参加者は約1800名。香港人1/3、大陸の中国人1/3、その他海外1/3で約50カ国から参加しているようです。

コースに関しては超ドMな設定です。
全長100KM、累積高度4500Mですが、そのほとんどの登りが後半にあります。

すなわち前半の50kmは普通のロードで後半の半分が山登りみたいなイメージです。
後半はほとんど歩きになるだろうと想定しながらレース配分を組みました。

そんな中、AM8時。ついにスタートです。


最初は少しトレイルもありますがロードをひた走ります。


1時間30分で想定通りサポートポイントに到着。


今回の各エイドには合計600名のボランティアがいるのですが、この人たちのテンションがヤバいほど高い。
このお姉さんもずーっと叫んでいて最後はハイファイブをしてくださいました。


ここから少し登りに入ります。

でもすぐ下りに入り、そこは海でした。

トレランなのですが海岸も走ります。

山も海も楽しめる素敵なレースですね。と思えたのも今のうちだけでした。


まだまだ序盤ですが、気分が盛り上がります。

こんなところを走れるなんて幸せですね。

そんなこんなでCP1に到着です。


ここから海岸沿いのジャングル風なところとかを走りますが、ほぼ平坦な道が続きます。

そしてCP2に到着

28kmを約4時間30分です。10kmを1時間30分で走る。まだまだ想定通りです。


猿も応援してくれてます。


相変わらずロードが多いです。膝に負担がかかります。というかトレイルが少なすぎますね。

CP3の手前。

Add Oil=加油=頑張れ 香港も大陸も同じですね。


36kmここら辺から結構膝にきていました。でもゆっくりあせらずです。

カップラーメンもエイドでは食べられます。最終的にはレース中に4つも食べてしまうことになります。


舗装された海岸沿いの道が続きます。重慶でロードを鍛えた甲斐がありました。

45km地点CP4。ここまで7時間30分。想定より遅れ始めています。時刻は15時30分。ちょっと日が陰ってきました。

7km先の次のCP5はドロップバッグがおいてあり、荷物を補給できます。実は夕方以前にCP5につく予定で防寒着やヘッドライト、ストック等はすべてドロップバッグに入れてあります。予備ライトは持っていますが、もし夕暮れまでに間に合わなければ暗闇を走ることに。ちょっと焦ってきました。
膝もいたくなってきたのですが、このエイドには味噌汁があり、疲れた体には大変ありがたかったですね。

インスタントでもおいしい。

時々トレイルにはいりますが、整備されていて、階段だったり、石だったりとにかく地面が固い。

膝への負担が蓄積されます。

やっと中間地点のCP5に到着。スタートより9時間強。夕暮れまでに間に合いました。

距離は半分きていますが、登った距離は1/4未満。
ドロップバッグを受け取り、装備を整え、着替えをし、食糧を補給していると、日本語が聞こえてきました。見てみると僕より若干年上の女性で、目があって会釈をしたら話しかけて頂きました。聞いてみると昨年もこのレースに参加されたそうで、全体感でいうとまだ1/3というところ。これからナイトステージだが香港の夜景が綺麗ですとの情報をくださいました。
まだまだ先は長いですね。そして辛い夜が待っていました。

未完待続





HK100 その1

2015-01-29 23:55:46 | Vibram HK 100
重慶で生活しているとレースに参加することが難しい。最後に参加したトレラン大会はリタイヤした昨年4月のUTMF。レースに出たいと欲求がたかまるなか見つけたレースがHK100。
自分自身初めての海外のレース参加となり、遂に国際ランナーとなってしまいました。

このレースを選んだ理由。
・開催地が香港で、重慶より飛行機1本で行ける。しかも土日開催の為、週末で完結(金曜の午後はお休みもらいましたが)。
・エントリー資格がざっくりいうと「自己責任で走れる人」ということで、エントリーのハードルが低い。
 しかも国別にエントリー枠があるらしく、日本人の僕は倍率が低い(と思われる)。
・距離が100kmとウルトラ入門に最適。
 更に完走するとUTMFやUTMBのエントリーに必要なポイントが3ptもらえる。
 あのハセツネですら2ptなので、これはおいしい!!
・ストックが使えるため、多少へばっても大丈夫。

そんなこんなで完走、あわよくば24時間を切ることを目標に2015年1月17日に開催されたHK100のレースに参加してきました。

スタート地点に立つまでですが、エントリーして、当選し、入金(クレジット清算)してから大会からの連絡はメールのみで、どうやって参加するのだろうと不安になっていましたが、大会開催の1週間ほど前にメールで「前日までに事務所にゼッケンとか取りに来てください。当日スタート地点でもOKです」と案内が来て、ほっと一安心。

重慶からの出発前。装備品確認です。

前回ガス欠を起こしたので、エナジージェルとアミノ酸を多めに手配。装備は厳しくないので少な目にして軽量化を図ります。

服装はこんな感じ。

靴はスポルティバのウルトララプター。靴がなじむまで時間がかかりましたがレースに間に合いました。
サポートタイツは腿とふくらはぎをセパレートタイプにしてみました。
また、ソックスはTABIOのトレラン用のソックスを愛用しています。


大会前日、仕事を午前で切り上げ香港に移動。折角なので事務所とやらにゼッケンを取りに行ってきました。
住所のみしか案内されていないため、空港から「上環」までいき、地図を頼りにさまようこと15分程で目的地に到着。そこはスポーツショップでした。


入り口にはHK100の人形

否が応でも気分が盛り上がります。また久しぶりのトレラングッズに興奮しまくってしまいました。結局お店に1時間近くも滞在してしまいました。

話は変わりますが、香港はホテルがとにかく高い。しかも今回は夜について明日は朝の5時には出発するため、ホテルにお金をかけたくありません。そこで学生時代のバックパッカー気分を思い出し、そして重慶在住者としては、かの有名な「重慶大厦」の中にあるホテルに泊まろうとたくらんでいました。

その名もCanada Hotel 約6000円/泊です。
部屋はこんな感じ。

エレベーターがなかなか来ない、チェックインした場所と泊まる部屋が別々の棟で移動が不便、インドの香辛料臭い、お湯がでない、でもWifiはFree。全く問題なくむしろ快適でした。

夜ご飯は重慶では食べられないものをと探した結果、おいしそうな焼肉屋さんを発見。

お店は「焼肉 伊呂波」さん。壁に掲げてある「とちぎ和牛」は久しぶりに食べた普通の焼肉。金額は高かったですが、一人焼肉で明日のレースへの英気を養ったのでありました。

未完待続