今日、レタッチをしていて思ったのだが。
レタッチは、ある意味、「嘘」だ。
実際そうなっていないのに、
広告計画の目的にそって
よりよく見せるため作り変える作業だ。
レタッチには2通りの嘘がある。
ひとつは、きれいに見せるため
極力判らないように、自然に見せる
「判らないようにする嘘」。
左右が足らない写真を自然に増やして繋いだり、
右ハンドルを左に変えたり、
ナンバープレートを消したり、
壁の穴を塞いだり。
あるいは、肌のシミやしわをとったり。
もうひとつは、その世界観をより強めるために
「わかりやすく表現するための嘘」
光っていないところが強く光って見えたり、
キラキラしていないところがキラキラして見えたり。
(ディ●ニーなんかは典型)
2つの嘘をつく目的は
「より、広告目的に近い効果を出すため。」
実際よりも「リアル」であろうとすることが
実は、本当の意味では「リアル」ではなく
手がかけられていることを、広告を見ている側は
多分、知らない。
以前、ディ●ニーのポスターの写真合成をしたのだが、
そのアングルは本当に現場にいっても、写真には撮れない
ある意味、架空の理想のアングルだった。
それを、パーツ別撮りして合成して自然に見えるようにして
しかもキラキラさせたりしたのだ。
それを依頼してくれたプロダクションに
どこから、その制作会社を探したのか、
たいそう驚いたのだが、ディ●ニーの
地方から来たというファンから電話があって、
「そちらで作られたポスターのアングルで、
どうしても記念撮影したいのですが、どこに行けば
撮れるのでしょう?」という
質問の電話が来たことがある。
そのアングルは実は、制作者の頭の中にしかない。
担当者はさぞかし伝えにくくて困ったであろう。
またある時は、
ある女優さんのレタッチをしたのだが、
これも、実際の方の写真には
いろいろとレタッチして、
みなさんの見ているものと結構違う
状況にしたことが何度かある。
広告塔としての彼女達の本来理想的である状態を
よくイメージしてレタッチしていくとでもいうのか。
何にしても、制作者サイドに立つ人は
町中に溢れている情報をそういうモノだと
鵜呑みにしないことだ。