「描く」仕事の現場から

イラストレーター兼デザイナー兼ディレクターTETSUの独り言

「個」のメディアと「マス」のメディア

2005年03月31日 | コラム
最近、劇場化している例の話題について、
感じたことがある。
ニッポン放送株買収劇の一連の話である。

「個」のメディア=インターネット
「マス」のメディア=TV/ラジオ他

と完全に分類するのはいささか強引な気がするのだが、
こういう図式が大勢において無くもないのは事実であろう。

堀江社長のインターネットに対する寵愛は
敵対するTVを筆頭とする旧来のメディアに
対するいくつかの認識を欠いてはいまいか?
(ご本人は「最近は」敵対する気がないといっておられますが‥)

敵対買収をかけられたTVラジオの両社長が「公共性」ということを
機会があるごとに述べている。

「公共性」に対しての、司法判断として先日の
フジテレビへの株の増資が差し止められた件では
これを一概に「ライブドア」側が既存するとは
限らないという判断が下されたと報道されている。

堀江社長は以前の雑誌関係の対談の中で
旧来のメディアはなくすと豪語している上に、
そうするには傘下に置いておくことが早道
とも述べていたようだ。

TV/ラジオのメディアに公共性があると発言出来る根幹には、
「放送法」の存在がある。
「法」があるということは、
「公共財」としての義務があることに他ならない。
「インターネット」における「法」は今後どこまで
整備されるのだろうか。
現状、インターネットの本来持っている
双方向性や情報力、早さといったメリットを
「法規制」のカタチ次第とは言え生かすことなど出来るのだろうか?
う~~ん??


インターネットはその普及の中で
「個」のレベルで急速に双方向情報の
やり取りを広げてきた。

口コミ、裏話、本音トーク
無記名による発言など発言しやすさ、
情報の得やすさ、早さ
いろいろな部分がこの爆発的な進化に寄与してきたと言える。

逆に「公共財」といわれるマスメディアには
情報の裏付け、信憑性といった早さ、発言のしやすさ
といったものとは矛盾する要素が求められる。

「公共財」としての責任をきちんととっている、と
市民が認めていないことがこのマスメディアへの
反発劇の後押しになっているとTVのインタビューで
ばばのぼるさんが言っていた。

本来は「公共財」としての
責任と、報道の自由を認められている責任を
負って活動しているのがTVラジオを筆頭とする
「マスメディア」であるはずだ。

これに対して、
法整備の進んでいない現状で、
インターネットを支えている「個」へ対しての
法整備が進んでいくと仮定して、
「個」にマスメディアなみの技術や
「責任」といったものを適応出来るか?
できるわけが無い。

では、無法状態が続くか?
これもあり得ない。

いずれにしても、こういう状況の中で、
堀江社長のインターネットがマスメディアを殺す
という発言はわかった上での挑発としても
「思慮」を欠いていると感じる。

その反動のデメリットを彼は受けるはずだ。

マスと個、双方が「共存」するための
健全なバランスを
今後の進化の中で探っていかなければならない。

どちらかが「支配」することは
健全な「社会」とは言えない。


日本×バーレーン

2005年03月30日 | ■きままにサッカー日記
今日は1日、日本代表のマフラーを巻いて
応援していたのです。

戦う前に、本当にずっと待ってた布陣で
今日の試合に望むことが発表されて、
(3-5-2-1)
中田の初の攻撃的ボランチで
俊輔のトップ下という並びも理想的。
鈴木のポストも理想的。
田中も復活、三都主も復活で
こんなにドキドキする布陣は初めて。
これでアジアで勝てないはずは無い。

どんな試合になるか、わくわくしてました。

勝ちは100%疑う余地が無かった。

しかし、W杯。
バーレーン、ガチガチに守る、守る。
平均身長185近くの選手が壁になって跳ぶ跳ぶ。

攻めまくるも点がどうにも入らない。
しかし、中田のキャプテンシーに
今日は冷静で水を得た魚の俊輔。
後半は切れまくりの三都主。

福西、中澤の見ごたえのあるプレーに
鈴木の体をはったポストプレーで基本的に
凄みのあるサッカー!

今となっては、だけれど、
今日のサッカーなら、イラン戦勝てたろうなあ。
あ、いかんいかん、前だけを向きましょう。

俊輔の超頭脳プレーで
バーレーンの要の選手が二人、
次の日本戦出場停止。
さすが、イタリア仕込み!

日本のボール支配が59%というのが
少なく感じるほどの攻めっぱなし感でした。

局面局面のプレーがとても充実した
見ごたえのあるサッカーで満足!

アジアで一番守備のいいバーレーンから
勝ち点3でとりあえず、
あと3試合。残り目標2勝1分。勝ち点12


ジャイアン・リサイタル

2005年03月29日 | コラム
この言葉は、実は昨日
友人に教えてもらって知った。

最近は新しい言葉が次々に出来る。

これはドラエモンのジャイアンがリサイタルをする
というシチュエーションから来た言葉だという。

つまり、
「ジャイアンは身勝手に自分が歌いたいから
リサイタルをするけれど、周りはジャイアンの歌声を
聞きたいわけではない」

というようなことから
派生して、「自分の考えを押し付ける」とか
「つきあうのが大変な様」とか、
「気がつくと孤立している様」とか
そんなことをも想起して含んでいるようだ。

(昨日教えてもらったばかりなので
本当にこれが正確な意味か、
僕なりの解釈か少し自信がないのだが。)

「よかれ」と思ってしていても、
だんだんコンセプトとずれていることを
始めている時期というのがある。

かくいう私も、このブログも
言ってしまうとジャイアン・リサイタルと
紙一重あるいはそのものという指摘もある。
「発信」してみて初めてわかることが案外ある。
いろいろ考えさせられる。

自戒の念を込めて
この言葉を噛み締めたい。

ちょっとはずれるが、
こんなコラムを書いている横でニュースが
新しいドラエモンの声優陣を発表していた。

ちなみにジャイアン役は14才の
ややジャイアンよりスリムな少年だ。
なんか、こちらはむしろ可愛い感じに見えて
ほほえましかったりした。

新しい者たちの手によって
また、物語は引き継がれる。


リアルな判らない嘘とわかりやすく嘘

2005年03月27日 | レタッチの現場
今日、レタッチをしていて思ったのだが。

レタッチは、ある意味、「嘘」だ。
実際そうなっていないのに、
広告計画の目的にそって
よりよく見せるため作り変える作業だ。

レタッチには2通りの嘘がある。

ひとつは、きれいに見せるため
極力判らないように、自然に見せる
「判らないようにする嘘」。

左右が足らない写真を自然に増やして繋いだり、
右ハンドルを左に変えたり、
ナンバープレートを消したり、
壁の穴を塞いだり。
あるいは、肌のシミやしわをとったり。

もうひとつは、その世界観をより強めるために
「わかりやすく表現するための嘘」

光っていないところが強く光って見えたり、
キラキラしていないところがキラキラして見えたり。
(ディ●ニーなんかは典型)

2つの嘘をつく目的は
「より、広告目的に近い効果を出すため。」

実際よりも「リアル」であろうとすることが
実は、本当の意味では「リアル」ではなく
手がかけられていることを、広告を見ている側は
多分、知らない。

以前、ディ●ニーのポスターの写真合成をしたのだが、
そのアングルは本当に現場にいっても、写真には撮れない
ある意味、架空の理想のアングルだった。
それを、パーツ別撮りして合成して自然に見えるようにして
しかもキラキラさせたりしたのだ。

それを依頼してくれたプロダクションに
どこから、その制作会社を探したのか、
たいそう驚いたのだが、ディ●ニーの
地方から来たというファンから電話があって、
「そちらで作られたポスターのアングルで、
どうしても記念撮影したいのですが、どこに行けば
撮れるのでしょう?」という
質問の電話が来たことがある。

そのアングルは実は、制作者の頭の中にしかない。

担当者はさぞかし伝えにくくて困ったであろう。

またある時は、
ある女優さんのレタッチをしたのだが、
これも、実際の方の写真には
いろいろとレタッチして、
みなさんの見ているものと結構違う
状況にしたことが何度かある。

広告塔としての彼女達の本来理想的である状態を
よくイメージしてレタッチしていくとでもいうのか。

何にしても、制作者サイドに立つ人は
町中に溢れている情報をそういうモノだと
鵜呑みにしないことだ。


オリエンテーション(3)

2005年03月27日 | 広告の話
CDの人たちはこれらを把握し参考にして、
「広告企画」をたて、「広告戦略」を決定する、
というところまでいったが、

この時、大切なのが「広告目標」をたてることだという。


・ブランドイメージの上昇
・商品の知名度の上昇
・指名率の上昇
・商品知識の普及
・商品概念の転換
・商品や企業活動(サービスなど)の告知
・一時的な売上の増大
・流行の創造
・企業イメージの上昇,及びイメージチェンジ
・世論の盛り上げや世論作り
・抵抗の除去,企業活動への理解
・ニュー・ライフスタイルの提示

これらは「広告戦略」を立案する上で基本になる。

クライアントの意向、状況をよく把握し
複数の目的をかねる場合はプライオリティの確認が必須。

基本的に狙いが「絞り込めている」
ことが強い訴求に繋がりやすい。

次に「広告予算」。
広告の規模に大きく関わる。
企業の予算にあわせて、どのツール/媒体を使うかなど
効率の良いプランを展開したい。

CDの場合だと
たとえ、「概算」であっても
最初のオリエンテーションから
ある程度のバッファーを折り込んだ「予算」の話は
「した方がいい」ケースが多いように感じる。
「なあなあ」にしたり、
「あとになって聞く」ようにすればするほど
納得の行く結果が出にくい。
そう、個人的には思う。

「概算」が出せるということは、
大きく何がどのくらいの予算で動くか
理解できているということにもなる。

料金とクリエイティブを現実的なところに
落とし込むのがAE(アカウントエグゼクティブ)
とCDの腕の見せ所だ。

そこが食い違うということは
先方のプランに無理があるか、
こちらの要求に無理があるかのいずれかで、
どちらにしても、その予算額でできる最善のことを
「予算」の「相談」を通じて
話しあわなければならないのである。
ダメならば、早めに降りた方がいいケースもある。

何にしても現実的にあるものでやるしかない。
大体、予算は発注される時点で
外枠は決まっていることがほとんどだ。

イラストレータのように、末端の受注者の場合
見積項目レベルの「予算」は聞いてもよいが、
全体レベルの「予算」は話してくれないケースもある。
「話さなければいけない」ことはないからだ。

「話してくれる予算」がある意味、その人のレベルへの
「信頼」でもある。

「概算」については後述の「見積」の話の時に詳述する。

そして、このほかにもいくつかの大切な項目を
つめる必要があるという。それは

●広告地域・期間
●使用媒体
●クリエーティブ作品制作の基本方針
●競合商品の広告表現
●その他の広告制作に関わる条件
(プレゼン内容の範囲,出席者,日時,場所,単独か競合か、制作費用,他)

などで、このあたりから
AD(アートディレクター)とCDとの共同作業になってくる。

オリエンテーション(2)

2005年03月27日 | 広告の話
オリエンテーションで聞き出すべきこと。
それは、各職能によって違う部分と共通する部分がある。

まずは全体を俯瞰するべきという立場から、
全体的なプロモーションも含めた広告屋としての
「確認ポイント」を下記に記そう。
(参考書籍:広告企画制作スペシャリスト養成講座テキストより)

●商品(サービス)情報
・商品の特長 ・商品の技術,開発の特長
・商品の利用状況 ・商品の経歴と企業内の位置
・商品知名度 ・商品のライフサイクルの位置
・買価/パッケージング/販売経路
・商品の普及度 ・商品イメージ ・競合商品の特長と欠点

●市場・流通情報
・業界の規模 ・製品カテゴリーに特有の市場傾向
・商品購入者とその規模 ・潜在消費者の規模とその顕在化の可能性
・消費者の特性 ・競争者数と競争状況、マーケットシェア
・地域や季節特性

●消費者情報
・消費者の購入理由,購入動機 ・消費者の商品知識の程度
・消費者の生活意識や慣習 ・マインドシェア(知名,理解,嗜好度)
・消費者の属性,ライフスタイル ・消費者の媒体接触状況
・商品の特長と消費者の満足程度 ・潜在消費者の規模
・消費者の購買,使用,所有状況 ・競争者の消費者特性との違い

●企業情報
・企業の歴史や規模 ・製品数とその特長,シェア
・経営者,経営理念,企業方針 ・企業イメージの特長と欠点
・企業の社会的存在価値やポジション
・企業のビジョンとその将来性
・技術/開発力の程度

●環境情報
・企業の内部環境 ・自然環境との関係
・政治の動向との関わり ・生活環境との関係
・経済的,社会的環境との関わり

●その他マーケティングのデータ
・マーケティング目標と広告目標,及びその関係
・広告投入量と売上高の比率 ・ターゲットとその特性
・コンセプトとクリエーティブの特性 ・パブリシティやPR対策
・メディアミックスと選択の特性 ・広告と販売促進の関係

以上は広告企画/プロデュースのレベルをこなす
CD(クリエーティブ・ディレクター)たちが
広告主と最初に確認しあう内容と言える。

このうちのいくつかは制作レベルにも密接に
関連して落ちてくる。

そのへんの判断を通常はP及び、CDの人たちが
していくのである。

CDの人たちはこれらを把握し参考にして、
「広告企画」をたて、「広告戦略」を決定する。
(つづく)

オリエンテーション(1)

2005年03月27日 | 広告の話
シゴトは、
「オリエンテーション」からはじまる。

ここで「発注」に至までの最初の相談が
行われる。

最初のオリエンテーションで全てが揃っている
というケースは多くない。

むしろいろいろ足りない状況で
どう「シゴト」として成立させるかの相談が
来ているあなたはシゴトが出来る人である。

揃った状況のみを相手に厳しく求める
「職人」かたぎのプロも少なくないが
これではよほどの腕がない限りシゴトは縮小する。

本音を言うと、相手の力量に不安がある時
または時間が本当にない時は
ていねいに素材をそろえたりする。

オリエンテーションで何を聞くか。
あるいは、聞いてくるか?

実は、この時点で相手の力量は
かなり分かるのである。

何を情報としてお互いに準備しあうかの「相談」
をするのが、オリエンテーションだから、
そこでどういう情報を欲しいと言うかで
その仕事に於いて相手が自分にとって
役に立つか立たないかがわかる。

とはいえ、聞き忘れても、相談出来る環境と
人間関係を作っておけば、聞くチャンスはできる。

クライアントにとっても、制作者にとっても
このオリエンテーションの場を極力、生かすことが
そのあとの制作を左右するとても重要な場であることを
まずは認識したい。

では、オリエンテーションで聞き出しておけると
あとで役に立つことは何かを次で書いていこう。
(つづく)

ある日、林試の森で。

2005年03月27日 | 昆虫・花・魚・動物
目黒駅を降りて少し歩くと
都立の林試の森公園がある。

ある日、クライアントに寄った帰り、
ふらっと散歩したくなって、
りんしのもりに足をのばしたことがある。

そこで、森と会話しつつ、
気持ちよく歩いていると、

ヤツと目が合った。

そいつは、ただの野良猫なのか
もしかしたら珍しい山猫なのか
(そんなことはありそうもないが)
なんだかよく分からないが、
とにかく迫力があった。
カメラを構えたが逃げない。

目を離したら負けくらいの勢いで、
1分くらいじーとお互い立ちすくんでいたのだが、
やがてヤツは
「お前なんか気にしてないよ」
とでも言うようにゆうゆうと、
ゆっくり歩いて消えた。

なんか、会えて嬉しかった。
「そーか、そーか、元気にしてるのか」
とか思った。(脈絡は分からない)

町中の公園では、時々
今も、人と隣り合わせで生きているものたちを
垣間見ることができる。

(イラストレーターも)シゴトノ基本(ソノ5)

2005年03月26日 | シゴトの基本
基本シリーズ、最後は「書面化」である。

「報告」と「連絡」が回りだし、
トラブルに関してや、困りそうなこと
問題点、先のことをどうするか
「相談」が毎日何十回とくり返されるようになって
チームが有機的に動き出す時期がやってくる。

いままで部長は課長から課長は部下から
あるいは、
「イラストレーター」は「編集者」から
あるいはデザイナーやライターから、
編集者は編集長から
または、その逆方向にだけ
1本の線上を情報が行き来するだけになっている。

チームのシノプシスをもっと
いろんな双方向にのばすことで、
もっと相談が増え、
解答も正解に近いものをチョイス出来るのではないか?

別の人の意見も聞いてみたくはないか?

1対1ではなく多人数を相手にしようとする
このとき、最も効果があるのは
「書面化」である。

実は、この「ブログ」も
一つの「書面化」だと考えている。

「書面化」された情報は同時にたくさんの人が見ることができる。
1対1では、一つの意見しかきけないあるいは
一人のチェックしか受けられないのに対して、
「書面化」された情報は多人数で同時にタスク出来るのである。

効率は飛躍的にあがる。
精度もあがる。
ミスの発見も早くなる。
進歩のヒントも見つかりやすくなる。

「書面化」の効果を意識的にやっているものと
やっていないものでは格段の見えない差が
ついていく。

ファックスでもメールでもいい。

今は「書面化」が以前より頻繁に楽に行えるように
なった時代だ。活用しない手はない。

ただ、「書面化」するにあたって、
ビジネスであるから、ビジネスなりの
基本書式はそれぞれの分野できちんと
書けるようにした上で、おおいに
このスキルを活用してほしい。

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ここまでに、4つの基本を述べてきました。
「報告」「連絡」「相談」「書面化」
どれも、つい面倒で日常のシゴトの中では
略化したくなりがちなものです。

かくいう私も、これが完璧に出来てはいません。
むしろ、昔、強く意識しながらやったこれらのことが
今の自分にいちばん足りないと
これを書きながら、強く反省しているところです。

この4つが基本であることを
教えてくれたのは当時私の事務所の営業面を
手伝ってくれていた友人ですが、もともとこの話は
(株)社員教育研究所
http://www.shain.co.jp/vip/cdinfo.htm
の「教育コンサルタント・柏木仙蔵シリーズ/
THEコミュニケーション」
をリーダーシップ開発システムを研修として
受けて学んだことが基礎になっています。

もう、10年近く前のことです。
私もこのビデオ見ていろいろなことに気付かされました。
主役の柏木はなんと「江守徹」
コミュニケーションの極意を知らない「課長」役が
「小西博之」はまり役で大層感心したのを覚えています。

料金は安くないのですが、
とても財産になる経験でした。
リーダー研修としてはお勧めです。

より、深い理解をしてみたい方は
ぜひ、どうぞ。

(この項、これで終了)


カタログデザインのカンプ前

2005年03月26日 | Work's(Comprehensive)
僕の見てきたカタログデザインの達人さん達は、
カンプをフィニッシュレベルで何案も作る前に

必ず、一度広げてから、
絞る作業をサムネールでやっていた。

下手すると、懇意の担当者とは、
サムネールで最終案まで決めて、ほとんど
カンプをはしょるくらいのこともやっていた。

その方との現場は楽しかったし、
サムネールが新しいひらめきとアイデアに
満ちていたので、(とは言え、その人にとっては、
積み重ねの中のパターンとか基本があったようだが)
それを描いているところを見るのが好きだった。

なので、本番の各ページデザインは
本当に作業的な段取りでつめていけるので、
一段高いまとまりとデザインに仕上がっていくのだった。

そういう現場とは現実には
なかなか遭わない。

絵で見せて話すことが万能とはむしろ思わない。
精度の高い写真/仮ポジのカンプを否定する気もない。
それは、必要である。
予算の高いプレではこれを求められるのも当然だ。

だが、詰めてから
あるいは、手で一度広げて絞ってからに
出来るならば、しておきたいものだ。

大切なのはアイデアとそのカタログの
仕組みづくりがクリエイティブであるかどうか
なのだから。

画像は先日作成したカタログの
3回目くらいのサムネール。

予算がない時はこの手で
アイデアは高めてもコストは下げたい。