goo blog サービス終了のお知らせ 

「描く」仕事の現場から

イラストレーター兼デザイナー兼ディレクターTETSUの独り言

一日中サムネール

2005年04月12日 | サムネール論
今、ちょうどカタログ作っているのですね。

いろいろなレイアウトやグラフィック、コピーを
制作チーム(今回は6人のチームです)に発注します。

クライアントの意図やそれを実現するための
様々なアイデアを伝えるために、
いろんなスケッチを描くのです。

あ~でもない、こ~でもないと
一日中メモとカタログと書類とにらめっこ。
レイアウト集やフォントブック、雑誌や情報誌と
描き損じも散らばり出し、
机の上がだんだん洪水状態に。

で、近所にある某ファミリーレストランに
最小限の道具(相棒のHi-Tech Cとか25%で
枠だけ打出したレイアウト用紙とか)
を持って気分転換(というか、避難)
ここでも3~4時間ドリンクバーで粘って
(う~~ん、迷惑な客だ)
何とかいくつかのアイデアをひねり出し、
起点になるアイデアをまとめ、
明日、それを具体化するにあたって
S.O.S.の依頼の電話を数人にし、
いつも、こう、もっと切れるアイデアが
シャキーンとか出てこないモンかねえ?
などと思いつつ、ぶつぶつ独り言をいいながら
事務所に戻ったのでした。
(けっこう危ない人状態)

やっぱ、普段から勉強してないツケが
実戦には出るなあと実感しつつ。

この時期は時間感覚を掴むのが難しい時期です
ゴールデンウィークはスケジューリングに苦心します。
なにせ、前倒しで物事すすめないと
あっという間に2週間くらいは過ぎてしまう。

今日も2~3週間先の状況を考えたら
ゾッとする状況。
あれ?もうほとんど時間がない。
4月は28日までに全て済まさないといけない。
う~~ん、またみんなに無理いって頼むはめになるか?
(いつも申し訳ありません‥。)
とりあえず、今週頑張って追付こう‥。

今回は、印刷管理も仕事に含まれるので、
明日は印刷会社の営業さんとスケジュールの
調整です。厳しいなあ。

フリーランスは休みが多いと
売上にダイレクトに響くので、
僕個人としては
大型連休は実はあまり嬉しくないのですね。
(貧乏性かも)

などと考えながら、残り少ない4月が
あっという間に過ぎていくのを
予感した今日1日でした。

恥ずかしがらずに人前で描く

2005年03月16日 | サムネール論
打合せで、決まりづらい部分があって、
何となく会議が停滞した時に、
その部分を次回に流してしまったり
そこでただ時間がぼーと流れたりすること、
昔はよく経験した。

ここ最近、ブレストの時などには
人の目の前で、絵を描く習慣をつけようと
決めて、なるべく実行するようにしだした。

これを初めてから、
物事が「現場」で決まっていくスピードが
一気に上がって来たように思う。

みんな、それぞれの頭の中に
ゆるゆるとイメージがあるけれど、
なかなか像として、固まってこない時に、
前線のポストプレーヤーよろしく、
誰かがゆるい絵であっても
「描いて」記号化することによって、
考えやイメージが膨らみ、そこに集束しだすのだ
と、考えている。

ブレストでは広げる時間の次に、
必ず、像を結んでいく作業がいる。

これをスピードアップするのに、
サムネールやスケッチは不可欠だ。

僕の個人的な持論だが、
イラストレーターも「LIVE」がいい。

最近は、スタジオ録音的なデジタルで
つくり込んだ「絵」が多いが、
アンプラグドよろしく、
手を介したアコースティックな技術が
「イメージ」を何よりも膨らませるのは
今も昔も変わらない。

人前で描くのが好きだ。

サムネール考(手をより使うことの意義)

2005年03月09日 | サムネール論
いいかげん、しつこい。
が、もう少し。

「頭に記憶してから描く」
「モノ」→「眼」→(ブランク)「脳」→「手」である。

大切なのは、眼で見た後に手を動かすまでの間にある
(ブランク)である。

ここの間に頭の中で何が行われているのかは
ちゃんとした説明が出来ないが、
これがないと、練習にならない。

そらで描くことをくり返しているうちに、
「手」と「脳」がつながっていく感覚
とでも言ったらいいのか。

パソコンで描くことはすばらしく便利だ。
だが、キーボードの操作だけでは
脳も限られたトレーニングで固まってしまう。

「手」を介することを積極的に
利用することでしか、
得られない感覚というものがある。

昔読んだ本にこういう一節があった。

シュペングラーという人が
「人は何によって人になったのか?」
という問いに対して、
「それは手の発生による。」
と答えたんだそうな。
「‥手のなかには‥‥触覚が集中している。
それは抵抗物の冷温、動静、硬軟ばかりでは
なく、その重さ、形、大きさなど、約言すれ
ば空間にある事物を代弁する。(中略)この
触覚と生の活動については、手においてほかに
肩を並べるものはない。‥」
(「手」その知恵と性格」橘覚勝著:誠信書房) 

「手」という「器官」は私達が思っているよりも
ずっと、いろいろな機能を持っている。

「手」と「脳」が、より多くつながることによって、
クリエイターの受ける恩恵はとても大きい。

そして、そのトレーニングとして最も効果的な
ラフやサムネールが見直されるべきだと考える
のである。




炎のサムネーラー(筆記具編)

2005年03月09日 | サムネール論
さて、サムネール。

大体実寸の25%(約1/4)~20%くらいで小さく描く方が
略化具合が良い気がするのだが、
そんな私のサムネールの場合、
PILOTのHI-TECH-Cの0.4~0.5あたりがとても描きやすい。
(最近はHI-TECH-V4もお気に入り。)
太さが均一であること、あとは描き味。
適度に硬いのがいい。

あと、方眼紙を使うのもお気に入り。

この大きさできちんと描いて、
400%に拡大したら
実寸の指定原稿にそのままなる
そんなサムネールを描く
先輩がいて、その超絶サムネールを見て
何年か仕事したおかげで、
今の私のサムネール感がある。

サムネールが上達すると
途中のアイデアの選択肢も増え
無駄にはずれのカンプ作らないで
精度の高いプレが出来て
たぶん、大きなコストダウンさえ
可能ではないかと思うことがある。

もう少し、見直されてもいい技術だと思う。



炎のサムネーラー(秘密特訓の巻)

2005年03月09日 | サムネール論
最近、サムネール描ける人の数が
相対的に減った気がする。

現場にいて、いい現場ほど、
上手いサムネーラーがうじゃうじゃいる。
CDもADもDもみ~んな視覚言語の達人さんというところが
あったら、そこはとてもスムーズな現場だと勝手に思う。

クリエイティブに於いては、
レベルの高い仕事ほど、描いてコミュニケーションを
とる方がリスク回避も選択肢の整合性もその効用も高くなる。

時々、「逆書き」をしてみる。
これが意外といい練習になる。

どうするかというと、
まず、気に入ったデザインを見つける。
でそれを何分か眺めたら、
頭の中で思い出しながら、
そのサムネールを描いてみるのだ。

慣れないうちは、
見ながら描いても良い。

これをまめにやると、
けっこう描けるようになってくる。

時間のある人は試してみるといい。

サムネールからはじまった

2005年03月07日 | サムネール論
「サムネールっちゃ、なんね?」
なぜか九州弁で問うとこういうことになる。

簡単に定義すると、【thumbnail】は
最も簡単な略画、または「ラフ」である。
キャッチフレーズや文字情報などとリンクし
アイデアや戦略が伺い知れるものでなくてはならない。
カンプ制作の一つ前の段階をさす。

「ビジュアライゼーション」を具体化するにあたって
最も最初の段階でできる限り数多く
考えなければいけないのがこれである。

よく、代理店に勤めていた友人に
サムネは絵じゃなくて「戦略」と「意図」を描くんや!
と言われたのをいまだに思い出す。

僕は、フリーで仕事をはじめた時に
ちゃんとしたコンテのカンプ(カンプリヘンシブ)は
まだ描けなかった。もっと言うと、
何で描いて良いのか、どこまで描いて良いのか
もう、わからないだらけだった。

今は某プロダクションの社長になってしまった
当時ADのMさんが、僕の普段描いていたスケッチを見て
「そんだけかけるんなら、カンプほど描かなくていい
から、ラフをイメージでわかる程度に起こして。」
と言われて、カンプの7かけくらいの料金でサムネール
ライター(正式にはそんな言葉はない。)を始めたの
が、僕がこの世界で絵で食べていけるようになった
きっかけだった。

そして、そのことが、様々なアイデアにいたるまでの
相談をもらえるきっかけとして、最適な入り口にたどり
ついていたということであると何年かたってから気づく
こととなる。

(「ホウレンソウ」やアイデアの相談を~については、
いつか詳しく描くと思うので、詳細はその時に譲る。)

あちこちの現場に出入りして
プロダクト/グラフィック/カタログ制作などの
それぞれの現場でのサムネールのやり取りを
数多く目の当たりにして、それぞれのいいところを
いろいろ盗んでいくうちにいろんなやり方で
サムネールが描けるようになった。

カンプは目で確認しているエリアが広いのだが、
サムネールは目で作業する割合いが少ない。
ほとんどが頭の中の作業なのだ。
頭の中にまず描かなければ、サムネールは描けない。

簡単なことのようだが、これが難しい。

ノーアイデアではいけないのだ。
溢れんばかりのアイデアがいる。

普段からいろいろ考えたり見たりしていなければ、
何も頭に浮かばない。

ME.H堂に入社した友人が話していた当時の入社試験を
思い出した。
それは、詳細は覚えていないが、たしか、
スケッチブックを渡されてこれ一冊
何日までに「スイッチ」というテーマですべて
うめてこいという内容で、それから、彼は
ひたすら見るもの聞くもの、スイッチにからめて
アイデアの切り口にするというものだった。
なにせ、何百ページかのそのスケッチブックを
与えられた時間でうめるには十数分に一枚
寝ることもせずに何日かアイデアを出し続けなければ
間に合わない分量なのだ。

当時、自分がその業界に戻るなどとは
微塵も考えていなかった暢気モノの私が
ひえ~とだけひと事のように思っていたのが、
今やどっぷりその現場である。

クリエイティブの世界はイラストも含めて
すべてがサムネールから始まるのだ。