私が所属する楽団の大先輩、創設者の一人でもあるMさんの奥様が亡くなって2ヶ月以上経った7月のある日、看護・介護で苦労してきたMさんを慰労しようという話が持ち上がり、有志で集まることに。 会場は福富町の大衆酒蔵「大鵬」です。 お慰めしようという面々は酒好きの曲者たち。予定時間よりも早々と集まってきました。 だが、約束の時間になっても主賓が現れません。 まあ、Mさん自身も高齢だからゆっくり歩いているんだろう、ということでひとまず乾杯することに。 その一杯だけのつもりが二杯になり、三杯になっても主賓が来ません。 これは変だ。 連絡役の作治さんが電話をかけるとご本人はまだ家にいた! 聞けば腰が痛くて歩けないのだという。 実はそのことは作治さんあてにメールが入っていたのです。それを彼が見逃していたんですね。 結局、主賓が不在のまま、慰め会は納涼会へと変身。 ピンボケ写真になってしまいましたが、この「茄子とベーコン炒め」が実に美味いんだよね。 出汁やベーコンの旨みを充分に吸い込み、クタクタとなった茄子が絶品 ♪ それに対し獅子唐は炒めすぎず、かといって生っぽくない、ちょうど良い火の通り具合で、これまた美味しい ♪ 湯豆腐どんぶりシラス盛り 冬に限らず一年中食べられるお勧めメニューです。 これまた毎回食べたいアジフライ! いつも思うのだが、いい和辛子を使っているよね。 お勧めは… 全部なのだが、あえて絞ると、 ブリの照り焼き。 納豆シソの葉揚げ。 若鶏ニンニク風味揚げ。 たこぶつ。 たこポン酢。 生タラコ…これは「ちょい炙り」にしてもらう。 さて、主賓のいない慰め会が納涼会になったとはいえ、やはり話題の中心はMさんのこと。 現在、80代のMさんが終戦を迎えたときは、アカトンボ(練習機)に乗って訓練をしていて、もう少し戦争が長引けば特攻隊に行ったかもしれないという時期でした。 戦争が終わって「これで故郷に帰ることができる」と思った氏は、海軍の倉庫に入り何か食べ物でもないかと物色。 そこで発見したものは、大量の缶詰だったそうです。 そういえば、戦時中、東伏見邦英伯爵別邸が建っていた崖のなかに大きなトンネルがあって、やはり海軍がそこを食料倉庫として使っていたそうなんですね。 戦後、その中を覗いた人から聞いた話なんですが、内部には酒や食料などが大量に保存されていたといいます。 あるところには、あったんですね。 場所は違えど、海軍の倉庫から缶詰を持ち出したMさんは、それを貪り食ったのでした。 故郷での結婚式に出席した時の話も傑作で、呑むたびに彼から聞かされました。 田舎で、しかも昔のことですから披露宴は花婿の自宅でやったそうなんですね。 襖を外して畳敷きの部屋をいくつもつなげたといいますから、大きなお家だったんでしょう。そこに人びとが集まり大宴会が繰り広げられたのです。 宴もたけなわになってくると、トイレに行きたくなる人が続出してきます。 しかし、大きなお宅とはいえトイレの数は大小それぞれ1個くらいしかありません。 我慢できない人は、外でやるしかないわけです。 昔の田舎のことですから、そこらじゅうに原っぱがあるし、街灯がないから大小ともにやり放題だったんですね。 みんな相当に酔っ払った頃、一人の男性客が原っぱから戻ってきて、お膳を跨ぎながら自席に向かいました。 しばらくすると、あちこちから「ん? なんか臭いぞ」と声が聞こえてきました。 やがて悪臭の発生源が分かりました。 野××から帰ってきたオジサンの袴に、ウ××がたっぷりと付いていたそうなんです。 彼が跨いで行ったいくつかのお膳にも、それが付着してしまったようです。 そして料理の中にはモロキュウなんかもあって、なにがなにやら分からず大騒ぎになったとか… バス停事件というのもありました。 これもずっと語り草になっていて、呑み会のたびに話題になるし、旅行に行った時なんかは皆さん床に入ってからもこの話を思い出して、クックック…とあちこちの布団から忍び笑いが聞こえてきたそうです。 その事件とは…… Mさんは通勤のため自宅の近くから最寄駅までバスを使っていました。 ある日、バス停に並んで待っている間に、オナラが出そうになってきたので、これはまずいと思ったそうなんですね。 車内で一発吹かそうものなら大ひんしゅくです。 そこで彼は考えました。 今のうちに無理してでも出しちゃったほうがいい…と。 やがて向こうの方にバスが見えてきました。 「あと十数秒か…いまのうちだな」と力んで一発ぶちかましたそうなんですが、そこで大変なことに。 もうお分かりですよね、ブツが出ちゃったんです…… こうなると、バスに乗るどころではありません。 がに股歩きで家に帰り、奥様に気づかれないよう、そっと風呂場に入って下着を洗っていたそうなんですが、運悪く、そこに奥方が現れ… 「あなた、もう帰ってきたんですか?」 仕方なくこれまでの経緯を説明して、叱られたそうです。 これらの話は、我々がいくら真似して話しても、Mさんの独特な語りには及びません。 彼が喋ると本当におかしくて、笑いっぱなしなんです。 そのMさんが長年連れ添ってきた奥様は、有名美人女優にそっくりでした。 しかも優しくて、料理上手で… 涼しくなったら、お宅に近いところで慰め会ができればと思っています。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね |
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