中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

角打ちでハシゴ酒 元町から寿町へ

2009年08月02日 | おいしい横浜

 むかしは酒を小売する酒店が町中にたくさんあり、仕事帰りの私たちは、そこでよく立ち呑みをしていた。
 私が贔屓にしていた店は何軒かあり、なかでも関内駅近くの「S酒店」には足しげく通った。店舗の半分以上が立ち呑みスペースで、そこには薄給サラリーマンたちが夜ごと集まっていた。

 他社、他業種の方々としばしば顔を合わせているうちに、いつとはなしに仲間意識が芽生え、なんとなく“お立ちコミュニティ”が出来上がっていった。
 長時間“お立ち”で呑んでいると、どうしても足が疲れてくる。そこで私たちは、片足を浮かせて休ませながら酒を呑むことになる。そんな姿から「フラミンゴの会」などと名づけたグループもあった。
 しかし会社組織などとは違って、規則があったり固定の会員がいるわけではなく、緩やかな集まりだった。


 最近の立ち呑み状況はどうなのだろう。町中の酒店がコンビニに転換してしまい、仕事帰りに「酒店でキュッ」という人も減ってきているのではないだろうか。
 一方、飲食店としての「スタンディングバー」などは、最近の経済状況を反映してか増えているし、新しいスタイルの店も登場して盛況のようである。
 
 そんなニューウェーブの魁として登場したのが、6,7年前、関内駅前にできた「キュヴェ」。酒店の半分を改造して、洋風でスタイリッシュなスタンディングバーがオープンしたのである。(現在、酒店部分はなくなっている)
 ベッカム似の店長、安藤美姫似のおネエさん、洋酒などさまざまな品揃え、おしゃれなツマミ類、ボサノバのBGM…などなど、若い人たちも簡単に立ち寄れる雰囲気が人気となり、女性の一人客でも飲みに来るようになった。
 
 これがきっかけとなって、洋風立ち飲み屋さんが続々とオープンした。私の記憶が正しければ、2店目は弁天通りのノーチェアだったと思う。ここには何故か、「キュヴェ」のおネエさんがいた。
 
 その後、太田町の「虎」とか、住吉町の「コトブキヤ」などが続いたが、これらはあくまでも飲食店としての「立ち飲み」だ。酒類は原価ではないし、ツマミ類もキッチンで調理したものが提供される。

 しかし私たちの原点は、あくまでも小売店としての酒店で、一合升に注いでもらった日本酒をその場で呑むというスタイルだ。最近は量り売りする店も少なくなってきているので、その場合はワンカップを購入する。ツマミだって調理されたものではなく、店で売っている缶詰や乾き物の類。
 こういう呑み方を「角打ち」という。 

 さて、そんな角打ちから遠ざかって久しいのだが、先日、急に思い立って酒屋に出かけてきた。遠征先は元町の「愛知屋」である。冒頭の写真がそれだ。


 店内の左側に背の高いカウンターがあり、自分が購入した酒をここで呑むことができる。カウンター下にはステンレス製のバーが設置されているので、お客さんは片足を乗せて休ませることもできる。
 天井からは、まるでドライミストのように、軽いジャズが降り注ぎ、ここが角打ち場とは思えないような雰囲気だ。かなり洋風にアレンジされている。

 普段なら日本酒を注文するところであるが、こんなお洒落な酒店だから、ついビールなどを頼んでしまった。さすが元町の角打ち、グラスだって違う。

 とは言うものの、やっぱり私のような労働者には雰囲気が合わない。酒店での角打ちではあるが、どこか今風のお洒落なスタンディングバーのような感じがするのだ。 
 

 一方、こちらは寿町。かつては“日雇い労働者の町”とか、山谷・釜ヶ崎(あいりん地区)と並ぶ日本の三大ドヤ街の一つとか言われていたが、最近は住民の高齢化に伴い「福祉の町」とも評されるようになっている。

 昔はかなり荒れた感じだったので、その頃のイメージを持ったままの人は、なかなか足を踏み入れたがらないようだが、今ではかなり落ち着き、のんびりとした雰囲気になってきている。

 空室の目立ってきた簡易宿泊所をホステルとして転換し、外国からのバックパッカーや、大会に参加する運動部の学生たちが利用するようになり、町内を歩く人々の姿も変わってきた。

 そんな町で、私が唯一気軽に入れる酒店が、この「山多屋」である。営業時間は朝9時から夜7時まで。仕事帰りに立ち寄るには、残業などせずサッと帰宅できる場合に限られてしまうが、朝からフリータイムという人には充分過ぎるほどの時間である。


 ワンカップ大関、230円。切っただけのトマト、60円。

 お客は単独での来店がほとんどだが、黙って呑んでいる人は少なく、見知らぬ客でも気軽に話しかけ、なんとなく仲間内で呑みに来たような雰囲気にさせられてしまう。
 それでも、たまには激しい言い争いなども発生したりするのだが、お店の方のとりなしによって、すぐにもとの穏やかな雰囲気に戻る。


 立ち呑みのあとの〆は、「さなぎの食堂」で食べる寿カレーライス。
 300円!

 まともなカレーライスに、味噌汁・小皿・タクワンまでついて、この値段である。素晴らしい!
 【2019.3.15追記 ここは閉店しました】


 近くには、さらに安くランチが食べられる店もある。

 K2が運営するお好み焼き「ころんぶす」だ。

 K2といっても、バッグで有名なあの「キタムラ」とは違う。もちろん総合格闘技「K1」の2軍でもない。
 運営主体は、ニートや引きこもりなどの若者を支援するK2インターナショナルジャパンという会社。

 店は石川町駅と寿町地区の間に位置し、昼間はなんと250円でランチが食べられる。名づけてニコマル・ランチ。


 これは別な日に食べたカレーと牛丼の愛盛り丼。カレーに牛丼の甘辛風味が加わって、素晴らしい一品に仕上がっている。250円とは思えないほどの味わいだ。

 しかし、私たちはただ安さだけを享受していてはいけない。そう、ここは“ニートや引きこもりなどの若者を支援する”という大きな目的があるのだから。
 お客さんの方にもそれなりの支援策が用意されている。このニコマル・ランチが10回食べられるニコマル・チケットを3000円で購入するのだ。
 本来なら2500円分のチケットなのだが、それを3000円で買うことによって、差額の500円分が就労支援に役立つ。

 中華街で300円ランチ、500円ランチを食べたら、今度はニコマル・チケットで愛盛り丼を食べたいものである。

【追記】
その後、システムが変わり、会員登録(年間1,000円)すると1食250円ということになった。
もちろん会員にならなくてもいい。その場合は1食300円だ。

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8 コメント

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こういうお店 (ふ゛り)
2009-08-03 07:45:54
下戸には非常に憧れであります。
だからと言ってKIRIN Freeじゃねぇ、、。
返信する
Unknown (たけ)
2009-08-03 18:22:31
隣のドーナツをツマミに愛知屋で呑むなんてしたら、温故知新的な粋ですね。やってみたいな。
私も愛盛カレー食べました、250円とはホント衝撃価格でしかも美味しかったです。

それと、キュウベ、ノーチェアーの女の子!
思い出しました。たしか、アッコさんです。
彼女はお酒勧めるのウカマッタなぁ。
ついついもう一杯飲んでしましました。
なつかしいです。

返信する
下戸の方には (管理人)
2009-08-04 05:01:35
>ぶりさん
ここで売ってるものを購入してその場で飲む。
それが、お茶でもいいのですよ。
あるいはジュースでも。

返信する
勧め上手 (管理人)
2009-08-04 05:04:07
>たけさん
ほんとうに上手でしたね。
そして記憶力が良かった。
お客のことをよく覚えていました。
今は東京の店にいるのでしょうかね。
返信する
Unknown (Unknown)
2009-08-05 17:39:28
私が言うのもおこがましいですが。。。
なんて素晴らしいレポ!!!
「ふむふむ。なるほどーーー」と声に出して読んでしまいました。
ニコマルチケットとはそういうことなんですね。
250円でとっても安いランチだったんだですけど・・・
なんかお尻が落ち着かないっていうか、この恩恵を普通に受けてていいのかな?なんて思いながらのランチだったんです。実は(~_~;)
チケット買いたいと思います♪
それでも安いし(^^ゞ
返信する
それでも (管理人)
2009-08-05 21:01:22
>Unknownさん
1食あたり300円ですから、破格の安さですよね。
でも、ここは夜も行ってあげないとね。
ただし、夜はニコマルチケットが使えません。
返信する
酒呑みでよかった! (さのやなぎ)
2009-08-13 22:07:02
このへんのお店は、当然行きます.

酒飲みは、ほんとうにあちこち

お店を探し回り開拓する習性がありますよね!

桜木町~石川町あたりは、飲食店の物価が安く

酒飲み天国ですよね!

美味いもの、良いお店の選択肢が多すぎ(笑)
返信する
確かに (管理人)
2009-08-14 08:17:09
>さのやなぎさん
やはり、この辺に出没しているんですね。
私も選択肢が多すぎて、いつも迷っています。
返信する

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