「ひしょう」のママさん

昨年10月、小学校1年生のクラス会を新宿・ゴールデン街で開催したことは、以前の記事に書いたけど、実はその続きがまだあったんだよね。 　会場となったバー「ひしょう」では、小学校1年当時の話で盛り上がり、ママの佐々木美智子さんさんとはほとんど口をきく機会がなかった。そんな中で『新宿、わたしの解放区』という本の話題になり、その内容が彼女の自伝であることから、その場で１冊購入。 　これがその本の表紙。 　タイトルの前後にも面白いことが書いてあって、これはもう凄い本であることが分かる。 　裏表紙。 　ぼやけてて読みにくいけど、拡大して読んでみてね。 　目次はこんな感じ。 　根室、函館、札幌、上京、映画の世界へ、恋人、写真の世界へ…… 　新宿ゴールデン街、秋田くん、解放区、竜馬暗殺、海の向こうへ、ブラジル…… 　図書館、伊豆大島……そして付録。 　彼女は昭和９年（1934）、根室市で生まれた。 　祖父は万次郎さんといって、日露戦争に従軍して帰ってきたら妻が妊娠していたため、激怒して妻を追い出してしまったそうだ。 　その万次郎さんと結婚したのが彼女の祖母で、こちらは最初の夫が色町通いを繰り返していたため家を飛び出し、子どもを連れて根室に渡った。そこで漁師と知り合い結婚したが、不運にも夫を海で失う。そして３度目の結婚で夫になったのが万次郎さんだった。 　祖父、祖母ともに子連れでの結婚。祖父は連れ子同士を結婚させ、生まれたのが佐々木美智子さんだった。 　巻末の年譜で彼女の人生を簡単にご紹介すると…… 昭和15年（1940）花咲小学校入学 昭和17年（1942）兄・英太郎、軍隊で死す 昭和20年（1945）根室大空襲 昭和21年（1956）根室中学校入学 昭和24年（1949）根室高校入学 昭和27年（1952）高校卒業。落石無線送信所に就職 昭和28年（1953）結婚して函館へ 昭和29年（1954）離婚してキャバレーの事務職に就職 昭和30年（1955）すすきのの割烹で働く 昭和31年（1956）上京。山野高等美容学校に入学するも1日でやめる。新宿でオデンの屋台を始める 昭和34年（1959）日活撮影所の編集部に就職 昭和36年（1961）日活をやめ、東京綜合写真専門学校に入学 昭和38年（1963）紀伊国屋画廊で初の個展開催 昭和43年（1968）ゴールデン街でバー「むささび」を開業 昭和46年（1971）「むささび」閉店 昭和47年（1972）歌舞伎町でクラブ「ゴールデンゲート」を始める 昭和49年（1974）黒木和雄監督『竜馬暗殺』にスチールカメラマンとして参加。「ゴールデンゲート」を閉めてスペインへ。 昭和50年（1975）ゴールデン街で「黄金時代」を開店 昭和54年（1979）ブラジルへ 昭和55年（1980）マナウスでバー「ミモザ館」を始める 昭和57年（1982）テアトロ広場横で「MARUMI」を始める。マフィアと銃撃戦 昭和61年（1986）「MARUMI」がホテル・モナコに移転 昭和62年（1987）サンパウロに移住 昭和63年（1988）サンパウロに図書館「ミモザ館」開館 平成2年（1990）若松孝二監督『われに撃つ用意あ』にてスチールカメラマンとして参加 平成5年（1993）ブラジルから帰国 平成6年（1994）『新宿発アマゾン行き』出版 平成7年（1995）伊豆大島へ移住。クラブ「アマゾンクラブ」を始める 平成15年（2003）黒木和雄監督『美しい夏キリシマ』にスチールカメラマンとして参加 平成16年（2004）「葬式用肖像写真展」を開催 平成18年（2006）大島へ戻り「そらみ茶屋」を始める 平成20年（2008）アマゾン移民80周年の祭典に参加 平成21年（2009）写真集『日大全共闘』出版 平成24年（2012）『新宿、わたしの解放区』出版 平成25年（2013）写真展「ぶらじる」開催 平成26年（2014）写真展「新宿村のひとびと」開催。ゴールデン街で「ひしょう」を始める （※そういえば横浜中華街にも「アマゾンクラブ」というのがあったけど、佐々木美智子さんの店とは関係ない） 　と、まあ、こんな素晴らしい人生を歩んでいるのだ。そんなママさんとはほとんどお話ができなかったが、帰りがけにこんな本をいただいた。 　『ピンクイルカが笑った』 　これはアマゾン暮らしの体験をもとに書かれた短編小説。分類すると、サスペンス部門なのかな。 　1ページ目だけ貼っておく。 　次のページが気になって気になって、一晩であっという間に読んでしまった。おすすめです、といってもこれは自費出版なのでどこにもないのかな。 　お店に呑みに行けば、まだあるのかなぁ。 　さて、こんな素敵な佐々木美智子さんが、本日午後10時からのNHK　逆転人生「美智子、86才 ゴールデン街 伝説の“マリア”」に登場する。 　ご興味のある方はお見逃しなく。 　最近知ったのだが、波乱万丈の人生は「激レアさんを連れてきた」でも取り上げられていた。 　 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね