2015年9月30日
佐藤春夫の秋刀魚の歌、
“さんま、さんま、さんま苦いかしょっぱいか・・・・”。
私はサンマが好きだ。
小学校のころからずっと好きだった。
“すきな食べ物はサンマ”と私は学級文集に書いて、母に「恥ずかしい」と云われた。なんで恥ずかしいのかわからなかった。たしかに“ビフテキ”とか“寿司”と書いた友達もいたが、家ではビフテキなどめったに食べなかった。
あのころの秋の秋刀魚は本当においしかった。
いまサンマは季節感がなくなって、昔ほどおいしいとは思わないが、時々食べる。
新鮮なサンマを買ってきていい塩を振って、しばらくおいてから丁寧に焼く。大根をすって、スダチを添える。
私はワタがとりわけ好きだ。
そして、食べたあとは、尾おかしらつき骨のみのサンマが残る。
私の父親も、きれいに魚を食べた。
ところで、このごろは首を落としたサンマが売られているが、これはいただけないというより気持ちが悪い。サンマは頭があってこそサンマだ。
表現は悪いが、頭のないサンマは、切腹後・打ち首された侍のようで、とてもそのワタを食べる気はしない。
60年以上前小学校に来た教育映画で、ピカソが、カレイを頭を残してきれいに食べて、それを魚拓にとっておどけていた顔を思い出す。
マグロなどは切り身で仕方がないが、魚には頭があったほうがいい。
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