エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

確実に歳をとることを実感

2018年07月13日 | 雑感

O君、お帰り。

北海道でも外人観光客が大半というのは驚いた。

まあ、涼しいのも暑いのも、“精神一到何事かならざらん”、かもしれんがここ数週

間、日本列島ひどかった。そして、暑い。

 

 Mも不調だが、私も不調だ。

6月初め、市民検診の結果が送付されて、胸にガンあるいは結核の疑いあり、との

ことで、K病院での今日の定期検査は嫌だった。

 

 私のガンを切りとった主治医が診断した結果、

 

“あのね、去年の11月から何回か注意してるでしょ、ガンじゃなくて、ここの曇りが

消えない、これは、誤嚥性肺炎を何回もやってるんです、今は、まだましですが、こ

れが慢性になれば、せっかく拾った命をもっていかれます、日野原さんみたいな人

とは違うのです。普通の人は年々歳をとるのです。4年前(手術したとき)のアナタと

違うんです、歳はとるのです!”。

 

そして、“お酒をやめなさい、飲むと神経が麻痺して、うまく嚥下が出来なくなる”

 

その後、延々と主治医は、“私が老人であること”、を説明してくれた。

四年前手術してくれた時の、彼の私に対しての、年長者への尊敬語はもうない。

 

― 追記 -

 

老人というグレードつまり、段階だが、私の車の運転は、まあ、客観的に見ても的

確で、かなりの機敏性を持っている。これは家内も認めているところだ。

 

昨日、一組の老夫婦が、50メートル先に交差点の横断歩道があるのに、それを無

視して反対側のバス停に渡ろうとしていた。道の真ん中だ。

 

私は、後ろの車も来ていないから、親切のつもりでパッシングして渡れと合図した。

 

ご主人頭を下げて渡ったが、奥さんが歩道に上がろうとしてひっくり返った。あわて

て起き上ったものの、またひっくり返った。このとき、肩を打ったのではなかと

思うが、二人とも私らに会釈して、同乗の家内も、“お大事に”、という意味の礼をし

通り過ぎた。

 

たいしたことはないだろうが、“あんな簡単なとこでひっくり返るのは、私らがいるか

ら急いだのかしらね”、と家内。


たしかに、そうだろう。私らに気兼ねしたのだろうとは思うが、どう転びようもない場

所だった。ほとんど、あの夫婦の年齢は私らと変わらないように見える。 私の親

切があだとなったが、あの人たちは、あと50メートル先の交差点を渡るべきだった。

 

今日、私は主治医から、延々と、私はそれ相当の年よりなのだという説教を聞かさ

れ、納得した。

 

一階の受付で支払いを待っていた。 

今日は結構支払いの待ち時間が長い、うんざりしながら待っていると、後ろで、

ドーン。

 

見ると通路で老人がひっくり返っている。近くの若者と私がわっとかけよった、そし

て看護師もわらわらとやってくる。すぐにその老人は立ち上がって、通行止めにす

る棒柱を指しながら、“これにつまづいて倒れましたんや”、といって、立ち上がっ

て歩き出した。まともに歩いている。

 

なんともなかったようだが、本人にとってはみっともなかったのだろう。

わたしより、すこし上か?

 

 “あなた方は確実に老いてゆく。だから、それをわからんとあかんのです!”、と

いう私の主治医が、一生懸命私に話したことが分かった。

有意義だったが、まあ、しんどい日でした。

 

 


文科省を矯正し、大学の品格を守り、そして日大を浄化すること

2018年07月07日 | 雑感

2018年7月6日

 

 考えられないことが起こった。

 

東京医科大学が文科省の大学支援事業プロジェクトの資金

をもらえるように、文部省高級官僚に頼み込んだ。主犯は大

の最高執行部である理事長と学長だ。その補助金も三千

円程度、5年で1億5千万止まりだから、大学にとっては実

的にはどうでもいい額だ。

ただそのプロジェクトに選ばれるということが、大学の格をあ

げ、ひいては大学が伸びてゆく原動力になると判断したのだ

ろう。   手段が純粋ならこの考えは納得できる。

 

その見返りとしてその官僚の子供の入試の成績を水増しして

入学させたということが前代未聞で論外なのだ。   

 

 国立大学ではこの類のことは絶対におこらない。大学では

学内あるいは学外から選挙でえらばれた短期間の雇いの学

長がトップで(最近は外部からの補佐グループはいるが)、理

事長などという変なものが長年大学に巣くうということはないか

らだ。 それと、どのようにして点数の水増しを入試関係者(事

務部・問題出題者)に納得させられるか?  口封じなどでき

ないのは目に見えている。大騒ぎになる。

 

このあいだの日大のアメフト事件に関してだが。

我々の前にTVで現れた数人の日大首脳部の驚くべき、知性

と品格の低さ。それを世間にさらしたことによって、歴代の大

学関係者が営々と築いで来た日大の評価が瓦解した。

 

いま、卒業生、現役学生の中には誇りをもって、“わたし、日

OBです”、とか、“日大生です”、と云えない者も多いので

はないだろうか。 

 

普通、私学が設立されて100年経てば、充実した一流の大学

になっているはずだ。日大には120年以上もの歴史がある。

東京医科大学も充分実力ある大学だ。 私が今回この件に

関してしつこいのは、文科省が関係しているからだ。

 

 文部省と言われた時代から、われわれ国民は、彼ら文部官

僚の優秀な頭脳が生み出す馬鹿げたプランにずっと悩まされ

てきた。

センター試験の前身の共通一次試験の導入からはじまり、思

い付きだけのわけもわからない数多くの試験、どうしようもない

ロースクール制度、独法化による中堅基礎科学研究者の軽

視(研究資金面での)によって世界にどんどん後れをとって行ったこと、その他、その他。

彼らは、優秀なだけに、つねに何かプランをたてなければメン

ツが立たないという強迫観念におびえている。それが愚劣な

プラン続出となる。

そして、文科省は大学の殺生与奪ともいえる権力をもつため

に、各大学がピリピリする。


これはあらゆる省での、今の官僚の特質だと思う。敗戦直後の

あの日本をどうにか建て直そうと一生懸命だった官僚はどこに

いったのか。


 

 再び、日大のアメフト事件だ。

まだ、全部は解決していない。それは、本当の上層部が一掃

されない、だから日大は二流の大学という評判しかえられない

からだ。  職員は仕返しを覚悟で頑張っているのに。

 

今回の事件は、日大をまともにする側にとっては追い風となる

だろう。なぜならば、文科省は、自らを矯正し、襟をただし、職

務をまともに果たさざるをえない立場に追い込まれたからだ。


つまり日大の場合には、その実態を十分に把握して、それ相

当の対応、つまり、巨額な私学助成金の名目が妥当なのかど

うか、そうでなけれ精査をし、大幅削減など適当な手を打たざ

るを得ない。アメフト問題で、それだけのうさんくさいことを日大は露呈している。

そうすれば、体制はすっきりして、日大は品格を取り戻す道に進むだろう。多くの職員、学生、卒業生はそれをねがっている。

 

1968年、日大上層部の不正経理にたいして、学生が立ち上

がって日大闘争が起こり、東大医学部闘争がおこり、広島大

学、京大、同志社、立命、そして全国に広がった。いわゆる大学紛争だ。結果は無残だったが。

 

 日大は大学紛争の起爆剤だった、この間集まった日大全共闘の一人は、“日大は

50年前とまったく同じことをやっている、少しも変わっていない。”、と言った。

だから、日大の創立から120年経つが、50年を引くと、70年の成長期間しかない

ということで、一流大学になれないゆえんだ。

  

 日大の当該アメフト選手は、しっかりした親と優秀な弁護士のもとで、悟を決め

てすべてを正直に話した。

そして、被害者、被害者冷静な親、関学のアメフト幹部もすべてを納得し、いま

彼を全面支援している。彼は救われた。


しかし、彼は、みなに救われ、日大浄化に大きな役割をはたしただけに、当分のあ

いだ、それを背景とする鎧をまとって過ごさねばならないだろう。しんどいことだが、

仕方ない。早く、良い方向に風化することを願う。

 

一番心配なのは、医学部に入った当該学生だ。

今度の場合だれが彼を護るのか。彼にとってはこの事件は晴天の霹靂だったと思う。

親は馬鹿なことをしたものだ。 

あの日大生の場合には、護る者が沢山いたが、今回は誰もいない。親など、身近

者が何らかの方法で必死に彼を護らなければならない。


豆腐

2018年07月04日 | 雑感

2018年7月3日

 

 4日前の朝日新聞に載っていたある記事を読んで豆腐を買いに行った。

烏丸通り松原から西に行き、堀川通の少し手前で右に曲がって油小路通りに入り

北行して高辻通りに出る手前にある”新井豆腐店”、だ。


                        


 私と家内は、新聞の地域特集を読んでよく出かける。まことに手軽・安上がりの娯楽だ。

井上靖が若いころから通っていた嵐山、帷子ノ辻付近のうどん屋、京都商業高校

(今は京都学園高校)にある沢村栄治の銅像、・・・。

  

 さて、新井豆腐店は、息子が父親から受け継いで10年ほどになるという。

 

「大豆の甘みといい香りが特徴」と新井さんは胸を張った。手間がかかる分、濃い味に

仕上がる「くみあげ豆腐」も売れている。

塩やしょうゆをつけそのまま食べるのがおすすめだ。(ここのところ、新聞の原文のまま)

 

新井さんは、店売りに加えて、昔とおりにリヤカーでなじみ客に売りに行く。

それも、昔懐かしいラッパを鳴らしながらだ。

 

私の子供のころは、夕方になれば、“トーフー、トーフー、トフ、トーフ” 、と

子供心に聞こえたようにラッパをならす豆腐屋がまわってきたものだ。

 

私は豆腐が好きだから、よく食べる。"O"や”、”J”、などは南禅寺にある有名な豆腐

理店だが、市販では、”T”、が有名だ。多分、その系列の料理店もあるだろうが、私

は知らない。

嵐山のある有名店の湯豆腐は、おいしいといえばおいしいが、柔らかすぎて、水をすくっ

て飲んでいるような感じでもう一つだった。

 

値段は、スーパーの100円前後のものはともかく、街の豆腐屋間ではあまり差はない。上

記有名豆腐料理店の一つに卸している店では、一丁180円だ。

だいたい180円前後が町の豆腐屋の値段だ。そして不思議なことに、この10年くらい

値段は変わらない。

 

それはそうと、私はよく漫画、“美味しんぼ”、を読む。 辟易させられるようなところも

あるが、4割ほどは面白い。

 

その中で、豆腐の話があった。

大豆から豆乳を作り、それに凝固剤を入れる。 凝固剤は本来は海水からとった

塩化マグネシウム主体のにがりだ。 それを使うと60キロの大豆から420丁の豆腐が

できるらしい (たとえば一丁200円とする、以下、これを基準にした一丁の値段をカッコ

の中に書く)。

天然にがりは手に入れにくいので塩化マグネシウムを使う。ところが硫酸カルシウムを

使うと1500丁できる(56円)、さらにグルコノデルタラントという凝固剤を使うと3000丁

できる(28円)。

  

美味しんぼの言っていることは本当なのだろう。しかし、スーパーの100円前後の豆腐と

有名豆腐料理に卸している店の180円との差はどうなるのだろうか。

スーパーの豆腐は、多分グルコノデルタランとか硫酸カルシウムなどは使っていないのだ

ろう。 作り方が丁寧かそうでないか、それだけの差なのだと思いたい。


私にはスーパーの豆腐は値段との関係で、納得している。 亡くなった小学校同級生

Mは、銀閣寺の豆腐と酒さえあればそれでいいという男だったが、私にはその豆腐は

干固すぎた(170円くらい、5年ほど前)。

Tの豆腐は200円くらい。

みなそれなりにおいしい。

  

今回、私がてんてんと五条まで行った新井の豆腐は200円。

 これが今までで一番おいしいと思ったが、皆にはそれぞれの好みの味があるから。