O君、お帰り。
北海道でも外人観光客が大半というのは驚いた。
まあ、涼しいのも暑いのも、“精神一到何事かならざらん”、かもしれんがここ数週
間、日本列島ひどかった。そして、暑い。
Mも不調だが、私も不調だ。
6月初め、市民検診の結果が送付されて、胸にガンあるいは結核の疑いあり、との
ことで、K病院での今日の定期検査は嫌だった。
私のガンを切りとった主治医が診断した結果、
“あのね、去年の11月から何回か注意してるでしょ、ガンじゃなくて、ここの曇りが
消えない、これは、誤嚥性肺炎を何回もやってるんです、今は、まだましですが、こ
れが慢性になれば、せっかく拾った命をもっていかれます、日野原さんみたいな人
とは違うのです。普通の人は年々歳をとるのです。4年前(手術したとき)のアナタと
は違うんです、歳はとるのです!”。
そして、“お酒をやめなさい、飲むと神経が麻痺して、うまく嚥下が出来なくなる”
その後、延々と主治医は、“私が老人であること”、を説明してくれた。
四年前手術してくれた時の、彼の私に対しての、年長者への尊敬語はもうない。
― 追記 -
老人というグレードつまり、段階だが、私の車の運転は、まあ、客観的に見ても的
確で、かなりの機敏性を持っている。これは家内も認めているところだ。
昨日、一組の老夫婦が、50メートル先に交差点の横断歩道があるのに、それを無
視して反対側のバス停に渡ろうとしていた。道の真ん中だ。
私は、後ろの車も来ていないから、親切のつもりでパッシングして渡れと合図した。
ご主人頭を下げて渡ったが、奥さんが歩道に上がろうとしてひっくり返った。あわて
て起き上ったものの、またひっくり返った。このとき、肩を打ったのではなかと
思うが、二人とも私らに会釈して、同乗の家内も、“お大事に”、という意味の礼をし
て通り過ぎた。
たいしたことはないだろうが、“あんな簡単なとこでひっくり返るのは、私らがいるか
ら急いだのかしらね”、と家内。
たしかに、そうだろう。私らに気兼ねしたのだろうとは思うが、どう転びようもない場
所だった。ほとんど、あの夫婦の年齢は私らと変わらないように見える。 私の親
切があだとなったが、あの人たちは、あと50メートル先の交差点を渡るべきだった。
今日、私は主治医から、延々と、私はそれ相当の年よりなのだという説教を聞かさ
れ、納得した。
一階の受付で支払いを待っていた。
今日は結構支払いの待ち時間が長い、うんざりしながら待っていると、後ろで、
ドーン。
見ると通路で老人がひっくり返っている。近くの若者と私がわっとかけよった、そし
て看護師もわらわらとやってくる。すぐにその老人は立ち上がって、通行止めにす
る棒柱を指しながら、“これにつまづいて倒れましたんや”、といって、立ち上がっ
て歩き出した。まともに歩いている。
なんともなかったようだが、本人にとってはみっともなかったのだろう。
わたしより、すこし上か?
“あなた方は確実に老いてゆく。だから、それをわからんとあかんのです!”、と
いう私の主治医が、一生懸命私に話したことが分かった。
有意義だったが、まあ、しんどい日でした。