2019年12月6日
以下の文は大学時代のメール仲間二人に送ったものだ。
ずいぶん昔、「花と竜」という小説を読んだ。多分両兄とも、ご存知だろうが、あえてリフレイン。
これは、太平洋戦争前後、気の荒い北九州の波止場で、沖仲仕の若い頭となった玉井金五郎が仲仕達の生活向上のために、子頭連合組合を結成しようと運動し、今でも名が通っている大親分・吉田磯吉の一派、そしてどてらばあさんと云われた親分を敵に回して、自身瀕死の重傷をなんどか負いながら立ち向かっていった長編物語だ。その男を助けた妻がマン。“竜”は金五郎が自戒の念を忘れないために彫った刺青”と言われ、“花”はマンのことだろうと私は思う。
これは火野葦平が実の両親について書いた、ほぼ現実に近いものだと云われる。迫力があって面白かった。映画も見た。私の見た映画の金五郎は石原裕次郎だったと記憶する。
火野葦平の甥が、中村哲さんと知ったのは30年ほど前だろうか。
やはり血筋というものがあって、斜めに下がっていっても、偉い人の血は受け継がれて行くのだなと感じたのはそのときだ。
覚悟されていたとは思うが、「花と竜」の信条が彼の頭の片隅にもあったのではないかと思う。
つつしんでご冥福をお祈りいたします。
(後編)
さて、その後の彼らの返信で、一人は小説も映画も見たが、中村さんと火野葦平との関係はしらなかったとのこと。
もう一人は「花と竜」は読んでいないが、中村さんと火野葦平(玉井金五郎)との関係は昔新聞で読んだ記憶があるという。なお、この男、それとは別に中村さんに感銘をうけてペシャワール会(パキスタン、アフガニスタンでの人道的支援の会・中村さんを応援する会)へ、20年以上,
わずかながら毎年献金しているという。お前もやれと云われた。