エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

子供のころの話(4)成長して高校生になりフクロウに大変申し訳ないことをしたこと

2016年10月07日 | 雑感

2016年10月7日

前回は小学校時代、カニやカブトムシをとった遊び場が、すっかり様変わりしてB病院になってしまったこと、そしていまでは十分な年寄りになった我々が、身体の不調で病院となったそのテリトリーに帰ってくるようになったことを書いた。

 これは6年前の記録だ。(2010年6月記)

 

B病院に定期健診のために行ったら高校時代の友人Kが来ていた。

ピロリキンの薬が効かない、そのうち骨も弱ってきて坐骨神経痛になって・・・ということで、家内も私も身につまされて話を聞く。

 血液検査の結果がでるのに1時間ほどかかるというので、病院近くの「天神さん」に行こうということになった。

 昔の記憶で簡単に行けるはずだったが道がわからなくなり、途中出会ったおばあさんに聞いて天神さんにたどりついた。

 入口は狭いが石段が立派で、だんだん思い出してきて、石段を上がりきったところにある神楽舞台を見てはっきり思い出した。

 

「ここで、高校のときYと来てふくろうを捕まえて、あとで動物園に引き取ってもらったことがあった」と言う私に、

「私はむかし、友だちと猫を動物園に持っていったけど、受け取ってもらえなかった。それって、坪田譲治のおはなしみたい」と家内は言う。

 猫とフクロウではちがうからね・・・などの会話でその場は終わった。

 

家内にはそのとき言わなかったがしかし、これはいい話どころではない。

 あのときは、受験勉強にうんざりして二級酒の4合ビンを持って二人で神社まで行き、神楽の舞台でそれを飲んだ。

そのあとぶらぶらと舞台の周りを歩いていたら、バサバサと音がしてフクロウがすぐ横の木の枝に舞い降りてきた。

 わたしは足元の石をひろってフクロウめがけて投げた。すると石はもろに当たり、フクロウはでんぐり返って木からぶら下がった。

 「つかまえろ」と臆病な私はYに云い、Yはフクロウのつめで手を引っかかれて「イタッ、イタタッ!」といいながらもなんとかフクロウを捕獲した。

 捕まえたものの家でずっと飼うわけにもいかず、どうしようもなくなって、しばらくして動物園に持って行った、というのが本当のところだ。

 

「坪田譲治」どころではない。夜中神社で酒をくらった高校生が、石を投げて罪もないフクロウにケガを負わせ、一生動物園に閉じ込めてしまったのだ。

 

その後、Yと動物園に行った。

 檻のなかには数羽のフクロウがいたが、私らが謝らなければならないフクロウがどれなのかわからなかった。

                         

 写真:絵本「ごろうくんとふくろう」、ぶん・はまだひろすけ。え・ふかざわこうこ、偕成社(1966年)

 


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