地球温暖化から反グローバリズムの話まで盛沢山なオジキの話
https://youtu.be/2csFtE5qWz0
【須田慎一郎】2019年12月16日(月) 飯田浩司のOK! Cozy up!より
■■■地球温暖化やCO2に関する不都合な真実は置き去りに?■■■
飯田:COP25会期延長するも、合意は来年に先送り 国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は15日、会期を延長して交渉を続け、温暖化対策の強化に各国を促すということを盛り込んだ成果文書を採択した。しかし、来年(2020年)から実施が始まるパリ協定のルールについては合意ができず、来年に先送りされることになった。 40時間延長し、目標の積み上げをめぐって議論されましたという事ですけれども。今日の毎日新聞は1面トップです。
須田:新聞各紙ね、かなり大きなスペースを割いて、この問題取り上げてますけれども、まぁ正直言って、何が言いたいのか、何が書きたいのか、何がポイントなのか、さっぱり分からない記事が満載なんですけれども。
この件について、3つのポイントに注目していただきたい。実は今回のCOP25は、水面下でこの問題をめぐって綱引きが行われていました。
何かと言うと、パリ協定においては産業革命前より平均気温の上昇を2.0度未満、できれば1.5度に抑えることを目標に掲げるといううのがあって、この2.0度と1.5度にはかなり差があります。
パリ協定においての2.0目標が現実的な目標ということで推移していたのですが、これをどう設定するかで先送りされて来ました。
その中で今回、CO2削減を強力に進めて行こうというグループは、1.5度という目標を設定したかったんですよ。此処に向って進んできたんですが、只これやると、年間に8300億ドルかかる。
飯田:8300億ドル。90兆円近くかかるということですか?年間で?
須田:年間で。全世界ベースで年間90兆円かかるということで。
飯田:日本の国家予算⁈
須田:いくら何でもそれは無茶でしょうと、それに反対するグループと激しい綱引きが行われて来た。そのことをチョッと頭に入れておいて欲しいんですが、2点目はカーボン・オフセット。これについて、認めるか認めないかというね。
ただ、これはですね、ただ単純に「排出権取引」ではなくって、発展途上国とカテゴリーされる国は、これ迄、自分たちはCO2を排出する権利があるんだと。それは認めろと。で、それについても売買を認めろというのがあって、その中に中国も入っているんですけれども。
それは認められないよという所で、環境過激派はですね、カーボン・オフセットは一切認めないという方向に行こうとするし、中国等の発展途上国は、自分たちはまだまだCO2を排出する権利を有しているというところを押し通そうとしている。先進国はそんなことを認めたくない。
そんな事認めてしまったら目標は達成できないし、年間90兆円の負担が、自分たちのところに一気に押し寄せて来るというのが有ったワケなんですねぇ。だから、そういった点で言うとね、これは纏まり様もなかったと。いうのが実態なんですね。
それから、これ、あんまり触れられていないんですが、もう1つ大きな動きがあって、常に私たちはこの温暖化問題を言う時に、温暖化って本当に進展しているのか。本当に温暖化されてるのか? 加えてCO2が原因なのか?というところが議論されるじゃないですか。
武田邦彦 温暖化は嘘、温暖化だと広める意図とは○○だった!
【パリ協定】 地球温暖化のウソ
本当に地球温暖化はしているのか?—徹底検証
世界の動きはそれを飛び越えていて、温暖化しているかどうか、それは問題ではない。それがCO2の排出によるものかどうか、それは問題ではない。もう、温暖化してんだから。その議論はやんないんですよ。温暖化しているんだから、それに対して、キチンと対応しろという方向に流れていってですね。
いま国連は、とんでもないことをやってましてね。何かと言うと、世界の機関投資家、ファンドだとか年金基金だとか、それを統合して、要はそういった機関投資家が投資するにあたっては、或いは株主総会で議決権を行使するにあたってですね、CO2の排出に後ろ向きである企業に対して、厳しく対応しろと。
場合によっては持っている株式を売却しろと。そういうルールを作って、それに賛同する機関投資家を山ほど集めているんですよ。日本からはGPIF、年金基金が参加しています。そのファンドが集めたというか、トータルした資金というのがですね、これが凄いんですよ。
どの位かというと、440兆円。そのファンドが持っている資金は440兆円。これが一気に動き始めますからね。そうすると企業としては、国連の議論はともかく、そのファンドの意向を聞かなければならない。ファンドは国連によって、影響下に置かれる状況にあるんですね。
■■イギリス解体の危機も孕むブレグジットの不都合な真実■■
飯田:イギリス・ジョンソン首相、今日にも内閣改造 12日の総選挙で与党保守党が大勝したイギリスのジョンソン首相は、今日にも内閣改造に乗り出す見通し。そして年明け来月末のEU離脱の実現に向けた議会手続きを本格化させます。保守党は650議席のうち、47議席増やして365議席となり、30年以上ぶりの大勝ということでした。
須田:やっぱりね、保守党の議席増というところにばかり注目が集まっていますけれども、勿論私もそれは注目ポイントだとは思うんですけれども、もう1つ注目しなければならないのがあるんですよ。
それは、スコットランド国民党が13議席もを増やして、48議席も獲得したということ。これなんか見てみますとね、これはグレート・ブリテン連合王国が、解体の方向に向かっていくんじゃないのかなぁと。つまり、イングランドとスコットランド、北アイルランドが分裂の方向に向かって行く、まぁ、その1つの切欠になる、今回は総選挙であったのではないかなぁと思いますよね。
勿論、改めて言うまでもなく、スコットランドはEU残留派という事なんですよ。その辺りはイングランドと全く思惑というか、考え方が違うワケですよね。どうしてかっていうと、スコッチウイスキーなど、EUとの貿易がかなり活発であって、それが産業の中心になっているという事もあって、やっぱり残留した方がスコットランド経済にとっては大きなメリットがあるという所があって。
まぁ、その意識の現れと言うかですね、その残留したいという気持ちが表れているのが、今回の議席増に繋がっていく。そうすると近い将来、もう1度スコットランドはイギリスから離脱するかどうかと独立するかどうかという住民投票が行われる可能性が、極めて高いのではないかと思います。
そしてもう1つは、北アイルランドの政党はまぁ、増減無しではあったんですけれども、只、今回のEU離脱の柱というのは、北アイルランドとアイルランドの税関はフリーパスですよと。その代わり、北アイルランドと本国の方の税関はキチンと設けますよという事で、これに対する反発がですね、起こってきてるワケですよ。
これは言ってみれば、IRAなどの独立派のテロ活動を抑えるためという大義名分はあるだけれども、そうするとじゃあ、北アイルランドの存在は一体何なのかというところになり、これも独立志向を強めることになるのだろうと思います。
飯田:もともと、アイルランドそのものはカトリックの国で、北アイルランドの部分は国教会の人も多いということで、あの形になっていたけれども、今度はアイルランドと1つになるのかという話になって、これも揉めそうですものね。
須田:その方が、北アイルランドの多くの住民にとっては、もしかするとハッピーなのかもしれない。北アイルランドのね。普通に考えて、宗教上の部分で信教の部分で、分離が行われただけですから、一体化をすると。民族的には極めて近いというか、一緒ですからね。
飯田:ラグビーのワールドカップでは、同じアイルランドチームとしてやるのですものね。
須田:あのぉ、ですからその宗教の違いでしかなかったわけですから、むしろ…どうなんでしょうね。アイルランドという島の中で一体化した方が、自然だという方向に向かうのではないかと思いますねぇ。
飯田:日本企業へも色々影響あるのかという事について、メールをいただいております。ウチは工場がイギリスにあるのですが、取引先と撤退が決まっていて仕事量が減り、この先不安なんです。本当に離脱は正解なのでしょうか?と。産業面に与える影響は、当然出ますよね。
須田:イギリスに生産拠点を置いていて、EUと取引をやっているところは、そういう懸念や心配が出て来るのでしょうけれども。どうなんでしょうね。たとえイギリスが合意なき離脱に至った場合でも、WTOのルールに則って関税のルールなんかが決まってきますから、ゼロとは行かないけれども、それほど大きな影響もない。
只、合意なき離脱にはなりそうもなくて、離脱と同時に各地域、各エリアとFTAの協定、自由貿易協定を結ぶんだろうと。その中で、イギリスとEUとの間の協定によって、他の国よりも…それを虎視眈々と狙っているのがアメリカですよ。
イギリスとの間でFTAを結び、アメリカ・イギリスの一体化を狙っているんだけども、それに対してEUは牽制していて、自分たちよりも有利な条件で結ぶことは許せないし、やっぱりそういった協定を結ぶんだったら、まずEUとやって、その後に他の国とと。
日本もイギリスとの間でFTAを結ぼうという動きを加速させていますから、まぁ、言ってみれば、実際の離脱迄にですね、大きな枠組みがってのが、決まってくるんではないかと思いますねぇ。
飯田:まぁ…先週末に自民党の佐藤正久さんにお越し頂いて、解説頂いたんですが、来年の年末迄に、まぁ年末でこれ離脱になると。1度延長できるけれども、ジョンソンさんは延長しないと言っているんだから。
そこまでに協定やFTAなりを結ばなくてはならない。日本とイギリスの議会での議決を経なければいけないことを考えると、結構時間がないんではないかという指摘もありますけれども。
須田:それほどですねぇ、詳細な部分を詰める必要は、果たしてあるのかという所なんですよ。FTAについてもEPAについても、前例があるワケですから。そうするとね、何が起こるかって言うと、EUとのFTAがありますよね、日本は。それに準ずる形になるんだと。
飯田:なるほど。そうすると、現状とほぼ同じ。
須田:そういうことになるのではないかと思います。
飯田:日本としては、自動車なんかの関税を、より一層引き下げたいみたいな思惑がある様ですけどね。
須田:まぁ、それが1つね。材料になるんでしょうけれども。それとてですねぇ、じゃあ下げた場合に、EUとの整合性はどうとるのかって問題になりますから。そこもねぇ、かなり思い切った下げ幅にはならないと思いますけどねぇ。
■■金平日氏31年ぶりの帰国に何か意味は?揺れる北■■
飯田:今の段階では、取り敢えずボールを投げとく位の話。続いて2つ目こちらです。米ビーガン特別代表 北朝鮮と接触を模索 北朝鮮が非核化方策を巡って、アメリカが態度を返還する期限を年末だと宣言して挑発を強める中、アメリカのビーガン特別代表が15日、韓国を訪問しました。
ビーガン氏は16日に韓国政府と対応を調整し、韓国滞在中に南北の軍事境界線のある板門店で、北朝鮮高官と接触する事を模索しておりますが、北朝鮮側が対話に応じるかどうか、対応が注目されております。14日に東倉里(トンチャリ)北西部で重大な実験を再び行ったと北朝鮮発表しております。前回の重大な実験はICBMの燃焼実験でしたが。
須田:あのぉまぁ、今回の実験は、取り敢えずですね、情報機関の世界では、失敗に終わったんではないかと言われているんですよ。だからそれが失敗に終わったか、成功に終わったかはさて置いてっていうか、あんまり問題ではなくてですね、こういった動きを加速させていっているという所が1つの大きな注目ポイントであり、尚且つですね、このICBMに関する実験のみならず、発射間隔の非常に短いロケット砲を飛ばしてみたりですね。
或いは韓国との国境地帯で軍事行動をやってみたりですね。最近の北朝鮮のこの挑発というか、軍事行動、軍事関連行動はですね、かなりエスカレートしているという状況にあるんですね。
陸海空、夫々の分野で挑発行動がエスカレートしている。果たして一体、これは何を意味しているんだろうかというのが、実を言うと1番の注目ポイントなんですよ。
もう少し言いますとね、果たして金正恩朝鮮労働党委員長が、全てハンドリングが効いているのかどうかっていう問題。つまりその、ある種、軍部のね、まぁ、言ってみれば暴走みたいなのが見受けられるワケなんですよ。
果たして今、北朝鮮のですね、そういった意味でいうと、コントロールタワーをですね、握っているのは、一体誰なんだろうかと。果たして、金正恩委員長を、何て言うのかなぁ…カウンターパートナーとして、ズーッとやってって良いんだろうかっていう問題も出てきているんです。
その見極めを、今、一生懸命各国っていうか、アメリカがやっているという状況にあるんだと思いますね。
飯田:なるほど…一時期は完全掌握したみたいな事を言われてましたけど、やっぱり揺らいでいるって事ですか?
須田:やはりですね、ここにきて軍部がですね、経済的に大きく大きく疲弊しているんですよ。それに対する反発、不満。
言ってみればですねぇ、何かこう、何て言うのかなぁ…正当性があって、金正恩委員長…まぁ、三代目っていうのは、ある種の正当性になるけれども。とはいっても、抑えが効く様な人物では元々なかったワケですからね。それはやっぱり軍部に対する一定程度のですね、経済的なプレゼントと言う事でね、成立してきたワケなんだけれども。それがなかなか先行き見通しがなくなってきた。その中で、今回の揺らぎが起こって来てるっていうのがあるんですよ。
飯田:この間、金正日総書記の弟が帰って来ましたよねぇ。あの辺もチョッとその揺らぎの象徴みたいなモノですか?
須田:なのかもしれないという事なんですねぇ。
■■蔡英文さん、敢えて「中華民国」と言って、親中派も取り込む?■■
飯田:台湾総統選 一昨日14日から台湾の総統選がスタートしました。年を跨いで来年1月11日まで、28日間、蔡英文総統、最大野党国民党から高尾市長の韓国喩氏、少数野党新民党トップの宋楚瑜氏の3人で争われます。
現職の蔡英文さんの支持率が最新の世論調査で51%とまぁ、抜きんでているぞという感じで序盤戦ですが。
須田:今回の総統選挙に関して言うとね、蔡英文さんが、何処迄票を集める事が出来るのかというところが最大のポイントなんだろうと思いますね。
最近の蔡さんの発言を、或いは演説を聞いてますとね、こういったワードを使い始めているんですよ。中華民国台湾…中華民国というワードを使い始めていて、そもそもね、中華民国っていうのは、最近こう…特に与党の方は、そもそも使ってこなかったんだけれども。
そのワードっていうのはですね、寧ろ独立というよりも、まぁ、言ってみれば、中国は一体化ですよぉと。つまり政権の正当性を言う時に、指す時に使う言葉なんですね。でまぁ、言ってみれば、中華民国っていう国号っていうのは、廃止しているのではなくて、今も厳然と生き残っているワケなんですね。
飯田:中華民国 the Republic of China の略で中華民国ROCって書かれますもんねぇ。
※この箇所の冒頭、聞き取れないので、不自然にならない言葉を嵌めこみました。
須田:ただ、それについて、あまり使ってこなかったっていうのは、要するにある種独立的な動きをすると、要するに中華民国という言葉を使わずに、台湾という言葉を使って、中国とは違うんだと。中国本土とは違うんだという様な意識、イメージで、進めてくるっていうのが一般的だったんですよ。
じゃぁ、それを蔡さんが使い始めた、独立志向の強かった蔡さんが使い始めたってのは一体何かというと、所謂国民党の方、つまり、大陸から渡って来た人を中心としたある意味で中国は一体化していると、一体化なんだと考えている人たちに対しても、食指を動かし始めたと、伸ばし始めたという風に考えてもらって良いと思いますね。これは。
飯田:まぁ、元々、蔡さんの民進党という所は、台湾共和国を目指すという事も結党当時は党是に掲げていた位、独立色が強いという所だったんですが、やっぱり総統をやって、国全体をまとめてっていう所で言うと、2つに分裂さすのは、あまり得策では無いと。これ情勢等を見て感じたという事なんですかねぇ。
須田:そうですね。但し、そうは言ってもですねぇ、まぁ、言ってみれば、中国と1国2制度でも目指していくのかって、全く違うんですよ。180度そこは違っていて。だから、そういった蔡さんが、独立志向の強い蔡さんが、要するに台湾国民のですね、或いは台湾市民のどれだけ支持を集める事が出来るのか。
つまりね、香港のね、この間の地区選挙みたいな意味合いを持ってしまうというか、要するに有権者に対しては、そういうイメージを広めようとしているのかなぁと私、思いますねぇ。
飯田:その辺確かに、あのぉ、台湾からの結構香港への留学生っていうのも多いと。香港で、先週取材しましたけど、そしたら、台湾の政府の動きってのが、他の国に抜きんでて早かったと。あの留学生たちを逃がすってところで。
バスを仕立てて、空港迄持ってって、空港からチャーター便でっていう。それはやっぱり、穿った見方をすれば、選挙戦へのプラスの面への影響を蔡英文政権が考えたんじゃないかって指摘する人も居ましたねぇ。
須田:いや、ほぼ間違いなくですね、あの香港の出来事というのは、今回の台湾総統選に対して、まぁ、蔡英文さんにとってみるとね、大きな大きなプレゼントみたいな存在ですよ。
飯田:支持率がねぇ、完全に変わりましたもんねぇ。あれでねぇ。
須田:1国2制度ってものが、果たして本当に有効なのかどうなのか。中国と台湾が果たして統一して、自分たちの民主主義は果たして守れるのか、守れる筈無いだろうってのが、もう、香港見てたら、もう、リアルに見てとれたワケですからねぇ。
飯田:1国2制度って何だ。マヤカシじゃないかってね。
須田:そうなんですよね。もう、中国共産党の好き勝手にやる制度なんだという事が、分かってしまった訳ですから。そういった点で言うとですね、それはグーッと蔡さんの背中を押したという風に考えてもらって良いと思いますねぇ。
そういった点で言うとどうなんでしょうね。まぁ、習近平さんにとってみるというと、まぁ、最大の失敗と。自分が国家主席の間に、とにかく中台統一を目指していくというね、これ、最大の…。これをやるという事によって、自らの最大の遺産にしようとしてたワケですよ。
それが全くですね、見通しが効かなくなってきた。寧ろ不可能になったっていう所からするとですね、やっぱり自分で自分の首を絞めてしまったのかなぁ、習さんはと思いますよねぇ。
飯田:今日のキーワード、台湾総統選でした。
飯田:台湾総統選については、色々メールやTwitterを頂いております。新行アナウンサー、この休みの間に台湾に行ってきたと。この告示の模様はどうでしたか。報道されてました、現地は?
新行:テレビと新聞を一応見てみたんですけれども、印象として、蔡さんがあまり大きく報じられたいないんだなぁっていう風に思って。例えば、新聞とか見て見ると、今写真撮ってきたのは、連合報なんですけど、
飯田:これ主要新聞の一つですねぇ。
新行:見出し一番目立つのが、韓国喩さん。
飯田:あぁ、国民党
新行:で、次に蔡さんって形になっていたりですとか。テレビでも秒数を緻密に測ってないですけど、あんまり蔡さん映ってこないなぁっていうイメージで、こういう風な違いがあるんだなぁって思いましたねぇ。
飯田:結構主要な新聞は国民党贔屓というか、蔡英文総統には厳しいっていうのは言われてますよねぇ。
須田:まぁ、資本の関係だと思うんですねぇ。国民党を支持する資本家が株主になっているとか。或いは、その中にも中国資本は入ってきてるでしょうからねぇ。
飯田:まぁ、その辺ねぇ。香港のメディアもそんな感じがあるという風にも言われていて、まぁ、中国資本が入っていたりとか、まぁ、あそこの場合はね、1国2制度だから、まぁ、様々な事があるんでしょうけれども。結構、こう、デモ隊に対して厳しくって、香港警察頑張れみたいな報道の仕方ってのが結構ある様ですね。
須田:ウーンだから、どうなんでしょう。有権者、市民もね、殆どメディアっていうモノに信頼性を置いていないというね、状況にあるんじゃないかなぁと思いますけどねぇ。
飯田:まぁ、分断は結構進んでいて、若者はもう、ネット中心。だから全然見方がバラバラだって話がありますね。
■ ■ 米中貿易戦争が切欠で、反グローバリズムの流れへ向かうのか■■
飯田:米中追加関税取り下げ 中国が米から輸入22兆円増加。米中貿易協議は先週末第一段階の合意に達し、アメリカは15日に予定していた新たな制裁関税の発動を見送り、アメリカと中国があらゆる物品に関税を掛け合う貿易戦争の泥沼化はひとまず回避されました。
中国がアメリカから農産物の輸入を今後2年間で凡そ22兆円増やす事で同意しております。アメリカ政府に依れば、中国は農産物の他、工業製品、エネルギー、サービスの4分野で輸入を拡大と規制の緩和も行うという話も出てましたけれども。これ、何か良い事だぁ~みたいに報じられていますけれども、緊張って緩和されたんですか?
須田:まぁ結論を言いますとね、今回の合意っていうのは、どの程度のレベルなのかって言うと、あのぉ、これ是非記憶に留めておいて頂きたいんですが、ミニ・ディールです。
飯田:ミニ・ディール
須田:ミニ合意です。
飯田:ミニですか、これは
須田:エエ。どうしてかって言うとですね、今回ですね、この交渉によって、アメリカが拘っていたポイントって2つあるんですよ。1つは補助金。まぁ、言ってみれば、産業補助金ですね。中国政府から中国企業に対して行われている産業補助金。これを廃止しろというのが1点目。
2点目がですね、農産物を購入しろというポイントがあったんですが、1点目については、今回の合意に入っていないんですね。全く入っていません。これについて先送りされたという事なんですけれども。
農産物の購入という点では、さっきご指摘頂いたのは、22兆円増やす。22兆円というよりも、取り敢えず500億ドル購入しますよという事が決まったワケなんですけれども。実を言うと500億ドル、これは中国の需要を超えているんですよ。
飯田:アッそうなんですか。
須田:エエ。需要を超えているし、尚且つですねぇ、アメリカの農家の生産能力も超えているんです。
飯田:アッそうですか。なるほど。
須田:ですから、恐らく、双方共に、これは実現できないだろうという事を認識した上での合意だったんではないか。で、つまり、実現不可能な数字、両者にとって実現不可能な数字ですから、結果的にですね、この約束は実行されないという事を前提に合意が行われた。
トランプ大統領にとってみると、やはり大統領選挙に向けての農家に対するね、アメリカ国内の農家に対するアピールであり、或いは中国にとってみても、この位譲歩しても結果的に実現不可能なんだから、アメリカの機嫌を損なわなければそれで良いやという所なんですね。
加えてですね、先程申し上げた補助金の問題なんですが、これは絶対に中国は飲む事は出来ません。コレを呑んでしまうと、中国が国内で生産している商品の国際競争力が一気に失われてしまいますから。これについては、絶対に飲む事が出来ない要求だったと考えてもらって良い。
だから、結果的に考えて見るとね、これは、一時休戦なんだという風に受け止めて頂いて良いんじゃないかと思いますねぇ。
飯田:事実上だって、何も変わらないワケですもんねぇ。
須田:そうですね。ですから、まぁ、過去4回ね、合意の発表が行われたワケなんだけれども。その結果毎に4回毎にですね、実は合意してませんでしたという状況になっているワケですから。まぁ、5回目も同じかなぁという風に受け止めて頂いて良いんじゃないかなぁと思いますね。
加えてもう1つ、注目すべき問題というのは、中国のそういった経済体制って言うのかな、その構造転換を進める意識があるのかないのか。っていうところを見てみるとですね、今回の動きを見て見ると、その動きはサラサラありませんよと。さっきの補助金を含めてね。
そうすると、今回の位置づけって何かっていうと、これね、そういった所にキチンとね、日本のメディアにもチャンと目を向けてもらいたいなぁと。その点については、全く触れられてないんですが、恐らくねぇ、これ迄どうでしょう。1980年代以降、世界経済はグローバル化という流れの中で、進んできましたよね。
恐らく、そのグローバル化がいよいよ、終わりに近づいているんではないか。
将来ですね、十年ニ十年経ったときに、振り返ってみると、5回目のこの米中合意が、その大きな転換点になっていたんではないかという事を私たちが気が付くんではないかなぁと。
つまり、中国サイドとしては、自分たちの体制、構造を転換するつもりはサラサラありませんよという事が示された。そしてトランプさんはですね、だったら、その中国とは、分断分離の方向に向かって行きましょうと。
それ言う事をきかせるつもりは毛頭ないけれども、これはもう、相容れないから、そこはもう、関係を徐々に徐々に菲薄化し、遮断しという方向に向かっていきましょうという所に動き始める切欠になったんではないかと。
そう考えていくとね、私こう思うんですよ。トランプさんっていうのは、元々反グローバリズムですから。或いは非グローバリズムと言ったら良いのかな。そういった点で言うと、まぁ、意識しているかどうかは別としてね、トランプさんが今回の交渉の結果を意識しているかどうかは別として。
トランプさんが向かおうとしている、或いはトランプさんを支持している勢力が向かおうとしている非グローバリズムの方向に、向かい始めたんではないかと思いますねぇ。
飯田:ウーン、これ世界がそういう動きに…ある意味、国際的なモノとか人とかお金の流れ、ドンドン壁を低く低くする方向に行ったけれども、低く低くした結果、国の中で上下の分断が起こっちゃったと。それをこう、是正する動きっていうのが、世界中で起きてきている気がしますね。
須田:そうですね。あのぉ、ですからこれ、世界全体で見るとね、米中だけじゃなくて、恐らく、脱グローバリズムという所に向っていく事になるんではないかなぁと思いますね。
ですからねぇ、そういった点で言うと、トランプさんは、今回の合意をAmazing Dealと、非常に素晴らしい合意だと自画自賛して見せたんですよ。やっぱりねぇ、アメリカのメディアはですね、それを冷ややかに捉えて、やっぱりねぇ、大統領選挙に向けて、一定の成果を出したという事をアピールしたい為に、自分で自分を褒めたという様な受け止め方をしてるんだけども。
私は必ずしも、そうは見てなくて、まぁ、その脱グローバリズムという流れの中で見るとね、まぁ、トランプさんが繰り返しになるけど、意識してないにしてもですね、やっぱりこれは、トランプさんにとって、或いは脱グローバル派にとってね、Amazing Dealではないかなぁと思いますねぇ。
飯田:じゃあこの先も、お互い自国の事情があるんだって言って、まぁ、お互いが自分の事情をぶつけていく形になっていく。そうすると経済の繋がりというのも徐々に徐々に、どちらかの陣営につくかという風に色分けがされてくるという風になるワケですかねぇ。
須田:だから、その辺りでね、まぁ、第2次世界大戦前のブロック経済を、想起する、イメージする人も多いんだけども、そうじゃなくてね、そこは上手く折り合いを…つまり、80年代以前に戻るという事で、その中でね、グループの中で、自由貿易を進めていこう。
だが、そこは完全にですねぇ、高い壁を作るんではなくて、陣営毎に、結束点って言ったら良いのかなぁ。そういう所も何となく模索していきましょうと。
只、今迄の様に、ワン・マーケットみたいなね、そういう発想では進めるつもりはありませんよと。それはね、今日冒頭のテーマであったね、言ってみれば温暖化に対するCO2排出抑制の動きなんかとも連動してくる話ではないかなぁと私は見るんですね。あれはある意味、グローバリズムの権化みたいな話ですからね。
飯田:そうですよねぇ。そこがだから、これから先、ドンドンぶつかっていく話になっていく。
須田:で、そこは折り合えないですから。価値観の一体化というのは、どうやってもですね、それは対立軸としてね、先進国、発展途上国という軸もあるでしょうし、ある意味で、計画経済的な国家統制型の経済と、マーケット優先型の経済というね、考え方もあるでしょうし。
そこはですね、交わる事は出来ても、一体化する事は出来ない。その事に漸く世界は気が付き始めたんではないかなぁと思いますねぇ。
飯田:今日は米中の貿易戦争の話から、この先の地球の有り方みたいな話ですね。ハイ、頂きました。
おまけです(^_-)-☆
妙沸さんが、今回の米中貿易合意に関して、興味深いお話をされていますので、此処にリンクを貼っておきます。
米中貿易協議の「第一弾の合意」について海外メディアはどう分析しているのか? by 妙沸氏
https://youtu.be/2csFtE5qWz0
【須田慎一郎】2019年12月16日(月) 飯田浩司のOK! Cozy up!より
■■■地球温暖化やCO2に関する不都合な真実は置き去りに?■■■
飯田:COP25会期延長するも、合意は来年に先送り 国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は15日、会期を延長して交渉を続け、温暖化対策の強化に各国を促すということを盛り込んだ成果文書を採択した。しかし、来年(2020年)から実施が始まるパリ協定のルールについては合意ができず、来年に先送りされることになった。 40時間延長し、目標の積み上げをめぐって議論されましたという事ですけれども。今日の毎日新聞は1面トップです。
須田:新聞各紙ね、かなり大きなスペースを割いて、この問題取り上げてますけれども、まぁ正直言って、何が言いたいのか、何が書きたいのか、何がポイントなのか、さっぱり分からない記事が満載なんですけれども。
この件について、3つのポイントに注目していただきたい。実は今回のCOP25は、水面下でこの問題をめぐって綱引きが行われていました。
何かと言うと、パリ協定においては産業革命前より平均気温の上昇を2.0度未満、できれば1.5度に抑えることを目標に掲げるといううのがあって、この2.0度と1.5度にはかなり差があります。
パリ協定においての2.0目標が現実的な目標ということで推移していたのですが、これをどう設定するかで先送りされて来ました。
その中で今回、CO2削減を強力に進めて行こうというグループは、1.5度という目標を設定したかったんですよ。此処に向って進んできたんですが、只これやると、年間に8300億ドルかかる。
飯田:8300億ドル。90兆円近くかかるということですか?年間で?
須田:年間で。全世界ベースで年間90兆円かかるということで。
飯田:日本の国家予算⁈
須田:いくら何でもそれは無茶でしょうと、それに反対するグループと激しい綱引きが行われて来た。そのことをチョッと頭に入れておいて欲しいんですが、2点目はカーボン・オフセット。これについて、認めるか認めないかというね。
ただ、これはですね、ただ単純に「排出権取引」ではなくって、発展途上国とカテゴリーされる国は、これ迄、自分たちはCO2を排出する権利があるんだと。それは認めろと。で、それについても売買を認めろというのがあって、その中に中国も入っているんですけれども。
それは認められないよという所で、環境過激派はですね、カーボン・オフセットは一切認めないという方向に行こうとするし、中国等の発展途上国は、自分たちはまだまだCO2を排出する権利を有しているというところを押し通そうとしている。先進国はそんなことを認めたくない。
そんな事認めてしまったら目標は達成できないし、年間90兆円の負担が、自分たちのところに一気に押し寄せて来るというのが有ったワケなんですねぇ。だから、そういった点で言うとね、これは纏まり様もなかったと。いうのが実態なんですね。
それから、これ、あんまり触れられていないんですが、もう1つ大きな動きがあって、常に私たちはこの温暖化問題を言う時に、温暖化って本当に進展しているのか。本当に温暖化されてるのか? 加えてCO2が原因なのか?というところが議論されるじゃないですか。
武田邦彦 温暖化は嘘、温暖化だと広める意図とは○○だった!
【パリ協定】 地球温暖化のウソ
本当に地球温暖化はしているのか?—徹底検証
世界の動きはそれを飛び越えていて、温暖化しているかどうか、それは問題ではない。それがCO2の排出によるものかどうか、それは問題ではない。もう、温暖化してんだから。その議論はやんないんですよ。温暖化しているんだから、それに対して、キチンと対応しろという方向に流れていってですね。
いま国連は、とんでもないことをやってましてね。何かと言うと、世界の機関投資家、ファンドだとか年金基金だとか、それを統合して、要はそういった機関投資家が投資するにあたっては、或いは株主総会で議決権を行使するにあたってですね、CO2の排出に後ろ向きである企業に対して、厳しく対応しろと。
場合によっては持っている株式を売却しろと。そういうルールを作って、それに賛同する機関投資家を山ほど集めているんですよ。日本からはGPIF、年金基金が参加しています。そのファンドが集めたというか、トータルした資金というのがですね、これが凄いんですよ。
どの位かというと、440兆円。そのファンドが持っている資金は440兆円。これが一気に動き始めますからね。そうすると企業としては、国連の議論はともかく、そのファンドの意向を聞かなければならない。ファンドは国連によって、影響下に置かれる状況にあるんですね。
■■イギリス解体の危機も孕むブレグジットの不都合な真実■■
飯田:イギリス・ジョンソン首相、今日にも内閣改造 12日の総選挙で与党保守党が大勝したイギリスのジョンソン首相は、今日にも内閣改造に乗り出す見通し。そして年明け来月末のEU離脱の実現に向けた議会手続きを本格化させます。保守党は650議席のうち、47議席増やして365議席となり、30年以上ぶりの大勝ということでした。
須田:やっぱりね、保守党の議席増というところにばかり注目が集まっていますけれども、勿論私もそれは注目ポイントだとは思うんですけれども、もう1つ注目しなければならないのがあるんですよ。
それは、スコットランド国民党が13議席もを増やして、48議席も獲得したということ。これなんか見てみますとね、これはグレート・ブリテン連合王国が、解体の方向に向かっていくんじゃないのかなぁと。つまり、イングランドとスコットランド、北アイルランドが分裂の方向に向かって行く、まぁ、その1つの切欠になる、今回は総選挙であったのではないかなぁと思いますよね。
勿論、改めて言うまでもなく、スコットランドはEU残留派という事なんですよ。その辺りはイングランドと全く思惑というか、考え方が違うワケですよね。どうしてかっていうと、スコッチウイスキーなど、EUとの貿易がかなり活発であって、それが産業の中心になっているという事もあって、やっぱり残留した方がスコットランド経済にとっては大きなメリットがあるという所があって。
まぁ、その意識の現れと言うかですね、その残留したいという気持ちが表れているのが、今回の議席増に繋がっていく。そうすると近い将来、もう1度スコットランドはイギリスから離脱するかどうかと独立するかどうかという住民投票が行われる可能性が、極めて高いのではないかと思います。
そしてもう1つは、北アイルランドの政党はまぁ、増減無しではあったんですけれども、只、今回のEU離脱の柱というのは、北アイルランドとアイルランドの税関はフリーパスですよと。その代わり、北アイルランドと本国の方の税関はキチンと設けますよという事で、これに対する反発がですね、起こってきてるワケですよ。
これは言ってみれば、IRAなどの独立派のテロ活動を抑えるためという大義名分はあるだけれども、そうするとじゃあ、北アイルランドの存在は一体何なのかというところになり、これも独立志向を強めることになるのだろうと思います。
飯田:もともと、アイルランドそのものはカトリックの国で、北アイルランドの部分は国教会の人も多いということで、あの形になっていたけれども、今度はアイルランドと1つになるのかという話になって、これも揉めそうですものね。
須田:その方が、北アイルランドの多くの住民にとっては、もしかするとハッピーなのかもしれない。北アイルランドのね。普通に考えて、宗教上の部分で信教の部分で、分離が行われただけですから、一体化をすると。民族的には極めて近いというか、一緒ですからね。
飯田:ラグビーのワールドカップでは、同じアイルランドチームとしてやるのですものね。
須田:あのぉ、ですからその宗教の違いでしかなかったわけですから、むしろ…どうなんでしょうね。アイルランドという島の中で一体化した方が、自然だという方向に向かうのではないかと思いますねぇ。
飯田:日本企業へも色々影響あるのかという事について、メールをいただいております。ウチは工場がイギリスにあるのですが、取引先と撤退が決まっていて仕事量が減り、この先不安なんです。本当に離脱は正解なのでしょうか?と。産業面に与える影響は、当然出ますよね。
須田:イギリスに生産拠点を置いていて、EUと取引をやっているところは、そういう懸念や心配が出て来るのでしょうけれども。どうなんでしょうね。たとえイギリスが合意なき離脱に至った場合でも、WTOのルールに則って関税のルールなんかが決まってきますから、ゼロとは行かないけれども、それほど大きな影響もない。
只、合意なき離脱にはなりそうもなくて、離脱と同時に各地域、各エリアとFTAの協定、自由貿易協定を結ぶんだろうと。その中で、イギリスとEUとの間の協定によって、他の国よりも…それを虎視眈々と狙っているのがアメリカですよ。
イギリスとの間でFTAを結び、アメリカ・イギリスの一体化を狙っているんだけども、それに対してEUは牽制していて、自分たちよりも有利な条件で結ぶことは許せないし、やっぱりそういった協定を結ぶんだったら、まずEUとやって、その後に他の国とと。
日本もイギリスとの間でFTAを結ぼうという動きを加速させていますから、まぁ、言ってみれば、実際の離脱迄にですね、大きな枠組みがってのが、決まってくるんではないかと思いますねぇ。
飯田:まぁ…先週末に自民党の佐藤正久さんにお越し頂いて、解説頂いたんですが、来年の年末迄に、まぁ年末でこれ離脱になると。1度延長できるけれども、ジョンソンさんは延長しないと言っているんだから。
そこまでに協定やFTAなりを結ばなくてはならない。日本とイギリスの議会での議決を経なければいけないことを考えると、結構時間がないんではないかという指摘もありますけれども。
須田:それほどですねぇ、詳細な部分を詰める必要は、果たしてあるのかという所なんですよ。FTAについてもEPAについても、前例があるワケですから。そうするとね、何が起こるかって言うと、EUとのFTAがありますよね、日本は。それに準ずる形になるんだと。
飯田:なるほど。そうすると、現状とほぼ同じ。
須田:そういうことになるのではないかと思います。
飯田:日本としては、自動車なんかの関税を、より一層引き下げたいみたいな思惑がある様ですけどね。
須田:まぁ、それが1つね。材料になるんでしょうけれども。それとてですねぇ、じゃあ下げた場合に、EUとの整合性はどうとるのかって問題になりますから。そこもねぇ、かなり思い切った下げ幅にはならないと思いますけどねぇ。
■■金平日氏31年ぶりの帰国に何か意味は?揺れる北■■
飯田:今の段階では、取り敢えずボールを投げとく位の話。続いて2つ目こちらです。米ビーガン特別代表 北朝鮮と接触を模索 北朝鮮が非核化方策を巡って、アメリカが態度を返還する期限を年末だと宣言して挑発を強める中、アメリカのビーガン特別代表が15日、韓国を訪問しました。
ビーガン氏は16日に韓国政府と対応を調整し、韓国滞在中に南北の軍事境界線のある板門店で、北朝鮮高官と接触する事を模索しておりますが、北朝鮮側が対話に応じるかどうか、対応が注目されております。14日に東倉里(トンチャリ)北西部で重大な実験を再び行ったと北朝鮮発表しております。前回の重大な実験はICBMの燃焼実験でしたが。
須田:あのぉまぁ、今回の実験は、取り敢えずですね、情報機関の世界では、失敗に終わったんではないかと言われているんですよ。だからそれが失敗に終わったか、成功に終わったかはさて置いてっていうか、あんまり問題ではなくてですね、こういった動きを加速させていっているという所が1つの大きな注目ポイントであり、尚且つですね、このICBMに関する実験のみならず、発射間隔の非常に短いロケット砲を飛ばしてみたりですね。
或いは韓国との国境地帯で軍事行動をやってみたりですね。最近の北朝鮮のこの挑発というか、軍事行動、軍事関連行動はですね、かなりエスカレートしているという状況にあるんですね。
陸海空、夫々の分野で挑発行動がエスカレートしている。果たして一体、これは何を意味しているんだろうかというのが、実を言うと1番の注目ポイントなんですよ。
もう少し言いますとね、果たして金正恩朝鮮労働党委員長が、全てハンドリングが効いているのかどうかっていう問題。つまりその、ある種、軍部のね、まぁ、言ってみれば暴走みたいなのが見受けられるワケなんですよ。
果たして今、北朝鮮のですね、そういった意味でいうと、コントロールタワーをですね、握っているのは、一体誰なんだろうかと。果たして、金正恩委員長を、何て言うのかなぁ…カウンターパートナーとして、ズーッとやってって良いんだろうかっていう問題も出てきているんです。
その見極めを、今、一生懸命各国っていうか、アメリカがやっているという状況にあるんだと思いますね。
飯田:なるほど…一時期は完全掌握したみたいな事を言われてましたけど、やっぱり揺らいでいるって事ですか?
須田:やはりですね、ここにきて軍部がですね、経済的に大きく大きく疲弊しているんですよ。それに対する反発、不満。
言ってみればですねぇ、何かこう、何て言うのかなぁ…正当性があって、金正恩委員長…まぁ、三代目っていうのは、ある種の正当性になるけれども。とはいっても、抑えが効く様な人物では元々なかったワケですからね。それはやっぱり軍部に対する一定程度のですね、経済的なプレゼントと言う事でね、成立してきたワケなんだけれども。それがなかなか先行き見通しがなくなってきた。その中で、今回の揺らぎが起こって来てるっていうのがあるんですよ。
飯田:この間、金正日総書記の弟が帰って来ましたよねぇ。あの辺もチョッとその揺らぎの象徴みたいなモノですか?
須田:なのかもしれないという事なんですねぇ。
■■蔡英文さん、敢えて「中華民国」と言って、親中派も取り込む?■■
飯田:台湾総統選 一昨日14日から台湾の総統選がスタートしました。年を跨いで来年1月11日まで、28日間、蔡英文総統、最大野党国民党から高尾市長の韓国喩氏、少数野党新民党トップの宋楚瑜氏の3人で争われます。
現職の蔡英文さんの支持率が最新の世論調査で51%とまぁ、抜きんでているぞという感じで序盤戦ですが。
須田:今回の総統選挙に関して言うとね、蔡英文さんが、何処迄票を集める事が出来るのかというところが最大のポイントなんだろうと思いますね。
最近の蔡さんの発言を、或いは演説を聞いてますとね、こういったワードを使い始めているんですよ。中華民国台湾…中華民国というワードを使い始めていて、そもそもね、中華民国っていうのは、最近こう…特に与党の方は、そもそも使ってこなかったんだけれども。
そのワードっていうのはですね、寧ろ独立というよりも、まぁ、言ってみれば、中国は一体化ですよぉと。つまり政権の正当性を言う時に、指す時に使う言葉なんですね。でまぁ、言ってみれば、中華民国っていう国号っていうのは、廃止しているのではなくて、今も厳然と生き残っているワケなんですね。
飯田:中華民国 the Republic of China の略で中華民国ROCって書かれますもんねぇ。
※この箇所の冒頭、聞き取れないので、不自然にならない言葉を嵌めこみました。
須田:ただ、それについて、あまり使ってこなかったっていうのは、要するにある種独立的な動きをすると、要するに中華民国という言葉を使わずに、台湾という言葉を使って、中国とは違うんだと。中国本土とは違うんだという様な意識、イメージで、進めてくるっていうのが一般的だったんですよ。
じゃぁ、それを蔡さんが使い始めた、独立志向の強かった蔡さんが使い始めたってのは一体何かというと、所謂国民党の方、つまり、大陸から渡って来た人を中心としたある意味で中国は一体化していると、一体化なんだと考えている人たちに対しても、食指を動かし始めたと、伸ばし始めたという風に考えてもらって良いと思いますね。これは。
飯田:まぁ、元々、蔡さんの民進党という所は、台湾共和国を目指すという事も結党当時は党是に掲げていた位、独立色が強いという所だったんですが、やっぱり総統をやって、国全体をまとめてっていう所で言うと、2つに分裂さすのは、あまり得策では無いと。これ情勢等を見て感じたという事なんですかねぇ。
須田:そうですね。但し、そうは言ってもですねぇ、まぁ、言ってみれば、中国と1国2制度でも目指していくのかって、全く違うんですよ。180度そこは違っていて。だから、そういった蔡さんが、独立志向の強い蔡さんが、要するに台湾国民のですね、或いは台湾市民のどれだけ支持を集める事が出来るのか。
つまりね、香港のね、この間の地区選挙みたいな意味合いを持ってしまうというか、要するに有権者に対しては、そういうイメージを広めようとしているのかなぁと私、思いますねぇ。
飯田:その辺確かに、あのぉ、台湾からの結構香港への留学生っていうのも多いと。香港で、先週取材しましたけど、そしたら、台湾の政府の動きってのが、他の国に抜きんでて早かったと。あの留学生たちを逃がすってところで。
バスを仕立てて、空港迄持ってって、空港からチャーター便でっていう。それはやっぱり、穿った見方をすれば、選挙戦へのプラスの面への影響を蔡英文政権が考えたんじゃないかって指摘する人も居ましたねぇ。
須田:いや、ほぼ間違いなくですね、あの香港の出来事というのは、今回の台湾総統選に対して、まぁ、蔡英文さんにとってみるとね、大きな大きなプレゼントみたいな存在ですよ。
飯田:支持率がねぇ、完全に変わりましたもんねぇ。あれでねぇ。
須田:1国2制度ってものが、果たして本当に有効なのかどうなのか。中国と台湾が果たして統一して、自分たちの民主主義は果たして守れるのか、守れる筈無いだろうってのが、もう、香港見てたら、もう、リアルに見てとれたワケですからねぇ。
飯田:1国2制度って何だ。マヤカシじゃないかってね。
須田:そうなんですよね。もう、中国共産党の好き勝手にやる制度なんだという事が、分かってしまった訳ですから。そういった点で言うとですね、それはグーッと蔡さんの背中を押したという風に考えてもらって良いと思いますねぇ。
そういった点で言うとどうなんでしょうね。まぁ、習近平さんにとってみるというと、まぁ、最大の失敗と。自分が国家主席の間に、とにかく中台統一を目指していくというね、これ、最大の…。これをやるという事によって、自らの最大の遺産にしようとしてたワケですよ。
それが全くですね、見通しが効かなくなってきた。寧ろ不可能になったっていう所からするとですね、やっぱり自分で自分の首を絞めてしまったのかなぁ、習さんはと思いますよねぇ。
飯田:今日のキーワード、台湾総統選でした。
飯田:台湾総統選については、色々メールやTwitterを頂いております。新行アナウンサー、この休みの間に台湾に行ってきたと。この告示の模様はどうでしたか。報道されてました、現地は?
新行:テレビと新聞を一応見てみたんですけれども、印象として、蔡さんがあまり大きく報じられたいないんだなぁっていう風に思って。例えば、新聞とか見て見ると、今写真撮ってきたのは、連合報なんですけど、
飯田:これ主要新聞の一つですねぇ。
新行:見出し一番目立つのが、韓国喩さん。
飯田:あぁ、国民党
新行:で、次に蔡さんって形になっていたりですとか。テレビでも秒数を緻密に測ってないですけど、あんまり蔡さん映ってこないなぁっていうイメージで、こういう風な違いがあるんだなぁって思いましたねぇ。
飯田:結構主要な新聞は国民党贔屓というか、蔡英文総統には厳しいっていうのは言われてますよねぇ。
須田:まぁ、資本の関係だと思うんですねぇ。国民党を支持する資本家が株主になっているとか。或いは、その中にも中国資本は入ってきてるでしょうからねぇ。
飯田:まぁ、その辺ねぇ。香港のメディアもそんな感じがあるという風にも言われていて、まぁ、中国資本が入っていたりとか、まぁ、あそこの場合はね、1国2制度だから、まぁ、様々な事があるんでしょうけれども。結構、こう、デモ隊に対して厳しくって、香港警察頑張れみたいな報道の仕方ってのが結構ある様ですね。
須田:ウーンだから、どうなんでしょう。有権者、市民もね、殆どメディアっていうモノに信頼性を置いていないというね、状況にあるんじゃないかなぁと思いますけどねぇ。
飯田:まぁ、分断は結構進んでいて、若者はもう、ネット中心。だから全然見方がバラバラだって話がありますね。
■ ■ 米中貿易戦争が切欠で、反グローバリズムの流れへ向かうのか■■
飯田:米中追加関税取り下げ 中国が米から輸入22兆円増加。米中貿易協議は先週末第一段階の合意に達し、アメリカは15日に予定していた新たな制裁関税の発動を見送り、アメリカと中国があらゆる物品に関税を掛け合う貿易戦争の泥沼化はひとまず回避されました。
中国がアメリカから農産物の輸入を今後2年間で凡そ22兆円増やす事で同意しております。アメリカ政府に依れば、中国は農産物の他、工業製品、エネルギー、サービスの4分野で輸入を拡大と規制の緩和も行うという話も出てましたけれども。これ、何か良い事だぁ~みたいに報じられていますけれども、緊張って緩和されたんですか?
須田:まぁ結論を言いますとね、今回の合意っていうのは、どの程度のレベルなのかって言うと、あのぉ、これ是非記憶に留めておいて頂きたいんですが、ミニ・ディールです。
飯田:ミニ・ディール
須田:ミニ合意です。
飯田:ミニですか、これは
須田:エエ。どうしてかって言うとですね、今回ですね、この交渉によって、アメリカが拘っていたポイントって2つあるんですよ。1つは補助金。まぁ、言ってみれば、産業補助金ですね。中国政府から中国企業に対して行われている産業補助金。これを廃止しろというのが1点目。
2点目がですね、農産物を購入しろというポイントがあったんですが、1点目については、今回の合意に入っていないんですね。全く入っていません。これについて先送りされたという事なんですけれども。
農産物の購入という点では、さっきご指摘頂いたのは、22兆円増やす。22兆円というよりも、取り敢えず500億ドル購入しますよという事が決まったワケなんですけれども。実を言うと500億ドル、これは中国の需要を超えているんですよ。
飯田:アッそうなんですか。
須田:エエ。需要を超えているし、尚且つですねぇ、アメリカの農家の生産能力も超えているんです。
飯田:アッそうですか。なるほど。
須田:ですから、恐らく、双方共に、これは実現できないだろうという事を認識した上での合意だったんではないか。で、つまり、実現不可能な数字、両者にとって実現不可能な数字ですから、結果的にですね、この約束は実行されないという事を前提に合意が行われた。
トランプ大統領にとってみると、やはり大統領選挙に向けての農家に対するね、アメリカ国内の農家に対するアピールであり、或いは中国にとってみても、この位譲歩しても結果的に実現不可能なんだから、アメリカの機嫌を損なわなければそれで良いやという所なんですね。
加えてですね、先程申し上げた補助金の問題なんですが、これは絶対に中国は飲む事は出来ません。コレを呑んでしまうと、中国が国内で生産している商品の国際競争力が一気に失われてしまいますから。これについては、絶対に飲む事が出来ない要求だったと考えてもらって良い。
だから、結果的に考えて見るとね、これは、一時休戦なんだという風に受け止めて頂いて良いんじゃないかと思いますねぇ。
飯田:事実上だって、何も変わらないワケですもんねぇ。
須田:そうですね。ですから、まぁ、過去4回ね、合意の発表が行われたワケなんだけれども。その結果毎に4回毎にですね、実は合意してませんでしたという状況になっているワケですから。まぁ、5回目も同じかなぁという風に受け止めて頂いて良いんじゃないかなぁと思いますね。
加えてもう1つ、注目すべき問題というのは、中国のそういった経済体制って言うのかな、その構造転換を進める意識があるのかないのか。っていうところを見てみるとですね、今回の動きを見て見ると、その動きはサラサラありませんよと。さっきの補助金を含めてね。
そうすると、今回の位置づけって何かっていうと、これね、そういった所にキチンとね、日本のメディアにもチャンと目を向けてもらいたいなぁと。その点については、全く触れられてないんですが、恐らくねぇ、これ迄どうでしょう。1980年代以降、世界経済はグローバル化という流れの中で、進んできましたよね。
恐らく、そのグローバル化がいよいよ、終わりに近づいているんではないか。
将来ですね、十年ニ十年経ったときに、振り返ってみると、5回目のこの米中合意が、その大きな転換点になっていたんではないかという事を私たちが気が付くんではないかなぁと。
つまり、中国サイドとしては、自分たちの体制、構造を転換するつもりはサラサラありませんよという事が示された。そしてトランプさんはですね、だったら、その中国とは、分断分離の方向に向かって行きましょうと。
それ言う事をきかせるつもりは毛頭ないけれども、これはもう、相容れないから、そこはもう、関係を徐々に徐々に菲薄化し、遮断しという方向に向かっていきましょうという所に動き始める切欠になったんではないかと。
そう考えていくとね、私こう思うんですよ。トランプさんっていうのは、元々反グローバリズムですから。或いは非グローバリズムと言ったら良いのかな。そういった点で言うと、まぁ、意識しているかどうかは別としてね、トランプさんが今回の交渉の結果を意識しているかどうかは別として。
トランプさんが向かおうとしている、或いはトランプさんを支持している勢力が向かおうとしている非グローバリズムの方向に、向かい始めたんではないかと思いますねぇ。
飯田:ウーン、これ世界がそういう動きに…ある意味、国際的なモノとか人とかお金の流れ、ドンドン壁を低く低くする方向に行ったけれども、低く低くした結果、国の中で上下の分断が起こっちゃったと。それをこう、是正する動きっていうのが、世界中で起きてきている気がしますね。
須田:そうですね。あのぉ、ですからこれ、世界全体で見るとね、米中だけじゃなくて、恐らく、脱グローバリズムという所に向っていく事になるんではないかなぁと思いますね。
ですからねぇ、そういった点で言うと、トランプさんは、今回の合意をAmazing Dealと、非常に素晴らしい合意だと自画自賛して見せたんですよ。やっぱりねぇ、アメリカのメディアはですね、それを冷ややかに捉えて、やっぱりねぇ、大統領選挙に向けて、一定の成果を出したという事をアピールしたい為に、自分で自分を褒めたという様な受け止め方をしてるんだけども。
私は必ずしも、そうは見てなくて、まぁ、その脱グローバリズムという流れの中で見るとね、まぁ、トランプさんが繰り返しになるけど、意識してないにしてもですね、やっぱりこれは、トランプさんにとって、或いは脱グローバル派にとってね、Amazing Dealではないかなぁと思いますねぇ。
飯田:じゃあこの先も、お互い自国の事情があるんだって言って、まぁ、お互いが自分の事情をぶつけていく形になっていく。そうすると経済の繋がりというのも徐々に徐々に、どちらかの陣営につくかという風に色分けがされてくるという風になるワケですかねぇ。
須田:だから、その辺りでね、まぁ、第2次世界大戦前のブロック経済を、想起する、イメージする人も多いんだけども、そうじゃなくてね、そこは上手く折り合いを…つまり、80年代以前に戻るという事で、その中でね、グループの中で、自由貿易を進めていこう。
だが、そこは完全にですねぇ、高い壁を作るんではなくて、陣営毎に、結束点って言ったら良いのかなぁ。そういう所も何となく模索していきましょうと。
只、今迄の様に、ワン・マーケットみたいなね、そういう発想では進めるつもりはありませんよと。それはね、今日冒頭のテーマであったね、言ってみれば温暖化に対するCO2排出抑制の動きなんかとも連動してくる話ではないかなぁと私は見るんですね。あれはある意味、グローバリズムの権化みたいな話ですからね。
飯田:そうですよねぇ。そこがだから、これから先、ドンドンぶつかっていく話になっていく。
須田:で、そこは折り合えないですから。価値観の一体化というのは、どうやってもですね、それは対立軸としてね、先進国、発展途上国という軸もあるでしょうし、ある意味で、計画経済的な国家統制型の経済と、マーケット優先型の経済というね、考え方もあるでしょうし。
そこはですね、交わる事は出来ても、一体化する事は出来ない。その事に漸く世界は気が付き始めたんではないかなぁと思いますねぇ。
飯田:今日は米中の貿易戦争の話から、この先の地球の有り方みたいな話ですね。ハイ、頂きました。
おまけです(^_-)-☆
妙沸さんが、今回の米中貿易合意に関して、興味深いお話をされていますので、此処にリンクを貼っておきます。
米中貿易協議の「第一弾の合意」について海外メディアはどう分析しているのか? by 妙沸氏