千羽鶴のちょっと気になったこと

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民法→意思表示の到達

2009-09-26 02:04:37 | 法律
意思表示の到達
正誤問題 
1) 発信者が意思表示を記した書面を発信した後死亡した場合、当該意思表示は効力を生じない。
2) 書面が受領者に到達したが、、その前に受領者が後見開始の審判を受けていた場合でも、
  受領者の成年後見人は当該意思表示の効力発生を主張することができる。

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意思表示は法律行為発生には必要な要件ですが、この意思表示が効力を発生する時期はいつかという問題です。
相手方のある場合には、時系列的に考えると…

意思の表白→発信→相手方の受領→了知

という段階を踏むと考えられますが、どの段階で意思表示が効力を発生すると思う?
民法は原則として相手方の受領段階で発生するものと解釈しています。
相手方があるわけですから、相手方を基準と考えるのが基本とされたわけです。
でも了知の段階だとすると、書面を受け取っても放置している場合もあり、その放置状態について発信者は分からないので
発信者としては困っちゃいますよね。
そこで受領段階で効力発生を認めようとしたわけです。

さて、具体的にはどんな状態を受領と考えればいいのでしょう。
判例は、社会通念として了知可能状態になった時点としています。
実際に了知した時点ではなく、了知可能、つまり了知しようと思えばできる時点ということです。
判例文では相手方の勢力範囲内に入った時点とされています。

でもね、勢力範囲内に入って了知可能状態になったとしても、相手方が書面内容を理解できなければ意味がないわよね。
これを受領能力といいますが、内容理解能力なので行為能力よりは低くても構わないとされているの。
そこで制限行為能力者の中でも未成年者と成年被後見人だけが受領能力がないとされていますよ。
したがって、相手方が未成年者か成年被後見人の場合は、たとえ了知可能状態になっても意思表示の効力は発生しないとされるのよ。
但し、この制度は受領側を保護するものであるから、受領者側が到達したことを認めて効力発生を主張することはいいとされる。
発信者としては効力発生を望んでいるわけだから、なんら問題はないわけ。
したがって、2)の問題は受領者の成年後見人が効力発生を主張するという場合だから、これは認めても構わないとされます。

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それでは逆に発信者側に問題が発生した場合はどうでしょう?
つまり意思表示を発信した後に、行為能力を喪失したり、死亡した場合です。
意思表示の成立時期の問題ですよ。
成立と効力発生とは別問題ということに注意してね。
効力発生は前述の通り相手方に到達した時点ですが、成立時期は発信時とされます。
つまり発信時に問題がなければ、意思表示は成立するから到達すればそのまま効力を発生するということ。
発信後、発信者がどうなっても関係ないということなんです。

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1)間違い
2)正解