今回の品は、やはり根来塗りですが、堤重ではなく、普通の段重です。
17.9㎝x17.9㎝、高 22.2㎝。江戸時代後期。
堤重では、箱の縦横の大きさがわずかに違いましたが、この品は正四角形です。
非常に古い箱に納まっています。江戸時代後期くらいはありそうです。
あきらかに、一段失われています。元々は、四段重だったのですね(^^;
箱のあちこちにウチの屋号の焼印が押してあるので、ご先祖様が揃えた品であることはまちがいありません。が、私や姉たちには、この段重が使われた記憶はありません。
箱の墨書きはほとんど消えていて、読めません。かすかに、〇〇〇重箱と読めます。根来塗と書いてあれば合格なのですが(^^;
台には、横側四方に細長い穴が開いていて、紐を通すようになっています。重箱の上で結んで飾りとするのでしょう。
内側も朱ではなく、黒色。
裏側には、朱漆で苗字まで入っています。しかも隷書体。茶席にでも使ったのでしょうか。
先の根来塗四段堤重の根来塗りとよく似ていますが、今回の品の方が自然に近い模様です。完全に黒色が浮き出たものばかりではなく、半擦れの薄黒模様も見られます。
拡大してみると、
朱漆の中に、小さな黒い粒子がたくさん見えます。落ち着いた朱の色にするために入れたのでしょうか。
黒模様の部分には、
朱漆を擦った痕が、一方向だけではなく、それと垂直方向にもみられます。二方向に朱漆を擦り取ることによって、より自然に近い黒模様を出しているのですね。
恒例の無理やり見立てです(^^;
少女のドレスを引っ張る悪の手。
こんな髪型でいかがでしょう。