遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

掛軸12本分の表具を注文しました

2021年04月29日 | 故玩館日記

ついにというか、やっとというか、池大雅の捲り、12枚を、掛軸にしてもらうよう、表具屋に依頼しました。

もう、5年越しになるでしょうか。
池大雅の六曲一双屏風を入手したのですが、とてつもなく重い屏風でした。箱からの出し入れが大変。一人ではとても扱えません。

しかも、故玩館には、それまでに、六曲一双の屏風が4組、2曲屏風が5組もあって、保管が大変でした。
六曲屏風は、片方で1.8mx3.6m程の大きさですから、右隻、左隻を広げれば8畳間一杯になります。


そこへさらに、池大雅の六曲一双屏風が加わっては、風当たりがますますキツクなるのは目に見えています。
これだけ屏風があっても、家の中で吹きすさぶ北風は防げないのです(^^;


そこで思い切って、絵の部分だけ、12枚を、えいやっと切り取りました。本体は燃やしました(^.^)


こうして残った捲り12枚ですが、これがまた始末におえない。ぐるぐると巻いておいたのですが、結構、大きく、重いのです。何よりも長さが160cm以上ありますから、広げて観るのも難しい。

やむなく、捲りを12本の掛軸にする決心をした次第です。
問題は、表具代をどうやって工面するか(^^;

元々、飲む打つ買うには無縁の無味乾燥人間(^^;)ですから、何がしかセーブできるのはガラクタ道楽しかありません。
ということで、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んで、苦節5年。
やっと、表具屋へ持ち込むことが出来ました。

しかし、ここにも問題が。
以前から家にあった物も含めて、掛軸がもはや数百本になっているのです。
まあ、考えようによっては、12本増えても、大勢に影響ないか(^.^)

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陶胎七宝花蝶図茶壷

2021年04月27日 | 陶磁胎七宝

今回も、陶胎七宝の茶壷です。

先回の品より、一回り半大きな品です。

幅 13.6m、高 15.4㎝、重 620g。明治時代。

反対側:

右側、左側:

上側:

 

内蓋が無疵で残っています。

 

内蓋には色絵で蝶が三匹。

外蓋の内側には、四弍の文字。

 

こうやって見てみると、Dr.Kさんのおっしゃるように、青手古九谷に通じる趣がありますね、欲目ですが(^^;

 

明治期輸出産業の花形、七宝は、京都と尾張が二大産地でした。銅や銀を素地にして、華美な七宝が造られました。なかには、メートル越えの巨大七宝も。

それに対して、陶胎七宝はいかにも貧弱で地味です。このような変わり七宝は何処で作られたのでしょうか。

一つ手がかりが得られました。

「安田造」の底銘です(横の文字は「ロ?三一」、意味不明)。

この銘は、明治期に、京都、粟田口付近で多く作られた輸出向け陶磁器に多く見られます。黄味を帯びた陶器質の素地に、繊細で華やかな絵付けがなされているのが特徴です。京薩摩ともよばれています。

先回の小茶壷には底銘がありませんが、ボディの材質や絵付けの感じは今回の品と非常に良く似ています。安田造かどうかはわかりませんが、粟田焼の系統であることは確かなようです。

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陶胎七宝草花紋小茶壷

2021年04月25日 | 陶磁胎七宝

陶胎七宝の小型茶壷です。

高 11.9㎝、径 9.0㎝、重 296g。明治初期。

反対側:

左側:

右側:

上側:

先回の茶入れより一回り大きいですが、ハートマークをちりばめた図柄は、よく似ています。

胎土はやはり、温かみのある薩摩系。

 

非常に単純化された花図ですが、軽快な音楽が流れてくるようです(^.^)

 

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陶胎七宝茶入れ

2021年04月23日 | 陶磁胎七宝

陶胎七宝の茶入れです。

20年ほど前、行きつけの古民芸店にポツンとありました。

高 7.2㎝、径 6.7㎝。明治初期。

反対側。

右横。

左横。

最初に見た時、これは何だ、と思いました。

良い物だからどう?と店主。

聞けば、先ほど一人のお婆さんがやってきて、この品を買ってほしいと持ってきたとのこと。

この店ではよくある事なので、あながちつくり話ではないだろうと思い、購入しました。

金属ではなく、陶器質のボディに有線七宝をほどこした物です。

全体に地味な感じがするのは、明治以降の近代釉薬を使った綺麗な七宝ではなく、明治以前までと同じ泥七宝であるからです。

派手さはないが、妙にしっとりきます。

先回までの金属ボディの普通の七宝は、言わば、前座。私の七宝コレクションの主体は、このような変わり七宝です(^.^)

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盛上げ七宝 舞美人ペン皿

2021年04月21日 | 陶磁胎七宝

これまでの七宝とは趣が異なる、盛上げ七宝といわれる品です。

巾 17.3㎝ x 長 29.7㎝、高 1.3㎝。大正ー戦前。

 

確かに、色釉が盛り上がっています。

 

胴の地をそのまま生かして、彩色部が盛り上がっています。

 

裏側は濃紺の釉ですが、よく見ると舞美人が凹型に押されています。

なんだ、底上げ菓子箱みたいなもんか?

気を取り直して、美人のお顔をナデナデしてみると・・・

顔には、眉毛、目、鼻が刻まれています。

また、桜の花などには、銅板の底上げは見られません。

さらに・・・

桜の花びらには、輪郭が彫ってあります。

 

着物の縁や帯の菱形模様も、銅板に溝が刻まれて、縁取りがしてあります。

 

盛上げ七宝では、普通の七宝のような植線縁取りをしないのですが、よく見ると、内部の模様は金線で縁取りされています。

手抜きのお手軽七宝かと思われた盛上げ七宝ですが、いろいろ工夫がなされた工芸品なのですね。

盛上げ七宝は、鎚起七宝ともよばれます。まず、金鎚で銅板を叩き出し、焼きなましを繰り返しながら成形をします。そして、出来上がった銅板に色釉をおき、焼成します。これを繰り返しながら釉薬を盛り上げていきます。釉も、高温での垂れが少ない特殊な物を使ったようです。

盛上げ七宝を作ったのは、安藤七宝店を興した安藤重兵衛です。当時、尾張七宝は非常に隆盛していて、後発組の安藤七宝としては、新しい技法が必要と考えたのでしょう。その後、あれだけ盛んであった尾張七宝も急速に衰退し、現在、安藤七宝店がほとんど唯一、命脈を保っています。今の店舗は、名古屋のど真ん中、栄のデパートビル群の隙間にポツンとあります(銀座にも支点有り)。店内には、きれいな七宝(現在の品)が並んでいて、目の保養になります。財布がゆるせば購入も。奥には、尾張七宝の名品を展示した部屋があります。今の七宝と較べてみるのも一興かと(^.^)

 

【おまけ】

鎚起の結果、ボディは微妙に歪んでいます。

光の当て方により、何かが・・

国芳の浮世絵、お化け?(^^;

 

 

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