遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

総梨地家紋五段大重箱

2021年09月25日 | 漆器・木製品

とてつもなく大きな重箱です。これも使われずに、ずっと家にあった品です。

32.6㎝ x 32.6㎝、高 51.2㎝。本体;24.2㎝x22.7㎝x40.6㎝。明治時代。

 

重箱の台部です。木枠を置いて、重箱がずれないようになっています。

家紋部分を除けば、すべて梨地です。

梨地は蒔絵の一種で、金粉を撒いた物です。梨の肌に似ているのでこのように呼ばれます。

大きめの金粉を叩いて平たくしたものを撒いた後、透き漆をかけ、乾いた後、研ぎ出します。

ざらざらした金が、独特の質感を生み出しています。

 

台部には家紋があしらわれていますが、

何といっても、重箱の蓋の家紋は圧巻。

替え蓋にも、違い鷹の羽紋がこれでもかというほどに描かれています。

ウチの家紋とはいえ、クドイです(^^;

上手の重箱には、時々、替え蓋がついています。骨董屋によると、蓋をなくした時の予備だとのことですが、そうそう失う物でもないし・・・

実際は、こんな使い方なのでしょう(^.^)

 

重掛けという飾り布が付いています。

重掛けは嫁風呂敷ともよばれ、婚礼後、近所に挨拶回りに行く時、配りものの赤飯、五色饅頭などをいれた重箱に掛ける布です。

袱紗に似ていますが、袱紗より大きいです。袱紗から派生した物でしょう。袱紗は、元々、武家が進物を贈る時、白木の台にのせた物に掛ける布です。現在では、もっぱら、熨斗袋を包むのに用いられます。茶道でも、小さな布を袱紗として用います。

72.2㎝x65.0㎝。明治時代。

松葉、熊手、箒、姥の髪結びなどが刺繍です。それほどクドクはないですが、それでもちょっと通俗すぎますから・・・

反対側を、こんな具合に掛けるのが無難でしょう。

まあ、今時婚礼もないし、もしあっても、こんな大それた品を使うシチュエーションは絶対に来ません(^^;

そこで、一度だけ、この五段重に、海の幸、山の幸を詰めてみました。

恐ろしいほどの量、そして出費でした(^.^)

コメント (8)
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