茶則に続いて、煎茶用の茶入れ4種です。
左から、
陶胎七宝草花紋茶入、磁胎漆七宝花鳥紋茶入、木製筒形茶入、樺巻ブリキ茶入。
陶胎七宝草花紋茶入:
胴径 8.8㎝、口径 、5.8㎝、底径 5.6㎝、高 11.9㎝。明治初期。
陶器の表面に泥七宝を焼き付けた茶入れです。以前のブログで紹介していますので、そちらを参照していください。
磁胎漆七宝花鳥紋茶入:
胴径 8.4㎝、口径 、6.1㎝、底径 5.3㎝、高 13.3㎝。明治初期。磁器の表面に、七宝釉薬ではなく、漆処理をした茶入れです。陶磁胎七宝はまだブログアップしていない品が相当数あるので、この品の詳細はいずれそれらと一緒に報告します。
樺巻ブリキ茶入:
径 7.7㎝、高 8.1㎝。昭和。
樺皮が巻かれたブリキの茶入れです。お茶が入っていた贈答品だと思います。
木製筒形茶入:
径 6.0㎝、高 13.5㎝。明治-戦前。
木をくりぬいて作られた茶入れです。故玩館を大改修するとき、壊れかけた水屋箪笥の隅に転がっていた品です。使われた記憶がないので、戦前以前の品でしょう。埃にまみれていたのを綺麗にしました。
内蓋、外蓋とも、非常にきっちりと締まります。
両方の蓋の木目がほぼ一致します。
内蓋と合わせ部分、そして本体部の木目が一致します(厚さが違う部分なので少しずれている)。
蓋をすれば、これこの通り、木目が通る。
これは、一本の木材から削り出して作られた品ですね。
しかし、いくら頭をひねっても、これだけの細工をする方法が浮かびません。長さ13.5㎝の木をこのように切分けるにはマジックでも使わないと無理。
そこでヒラメキが🤔🧑🎓
最後の写真、木目はそろっているけど、厳しく見ると微妙にずれています。
そこで、蓋を少しずらしてみました。
おお、ほぼ一致するではありませんか。
まず、一本の木を、蓋受けを含めた本体部分、内蓋、外蓋になる部分の三つに切り、それぞれを削り出してこの茶入れを作ったのですね。
この木製茶入れについて長々と説明してきたのは、現在、私が使っているのはこの品だけだからです。
その理由は材質。
金属、陶磁器、木と試してみて、
どうも、木製の茶入れの具合が良いのです。
一般に、煎茶の茶入れは、錫製が最良だとされています。それは、気密性が良く、茶葉の変質を防ぐからだと思われます。
しかし、同じ茶葉をこの2種の茶入れにいれてしばらく試してみると、明らかに木製に軍配が上がるのです。内側が、木とブリキ(鋼に錫メッキ)の違いです。長期間の保存ではなく、普段、たびたび使用する場合、茶葉にとって、ただ密封度が高ければよいというものではなく、微妙な湿度の調整などある種の呼吸ができる環境が好ましいのではないかと考えています。
手に伝わる優しい感触は、茶葉にとっても同じなのですね😌