遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

トイレ美術館3 北蓮蔵『薔薇』(油彩、10号)

2023年10月31日 | 絵画

明治ー昭和にかけて活躍した洋画家、北蓮蔵の油絵『薔薇』です。

油彩、10号。明治ー戦前。

北蓮蔵:きたれんぞう、明治九(1876)年ー昭和24年(1949)。岐阜市生れ。東京美術学校卒。山本芳翠、黒田清輝に師事。戦時中は従軍画家として活躍。各地美術館に作品所蔵。

 

作製時期はわかりませんが、明治油彩画の雰囲気を色濃く漂わせた作品です。

『薔薇』のタイトルをつけました。

が、どうも不安。

右下の金属容器も意味ありげ。

『薔薇と〇〇』の方がいいかなと思い、キャンバス裏を見ました。

が、何も書かれていません(^^;

やむなく『薔薇』のままでいきます。

ブログ読者諸氏、〇〇の提案をお待ちします(^.^)

ところで、油絵は光の具合で見え方が変わりますね。

私のカメラで撮ると、上の写真になりますが、

実際の絵は、下の写真のようにかなり暗い画面です。

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トイレ美術館2 山口硯閑『伊豆の網代』(油彩、8号)

2023年10月29日 | 絵画

故玩館への通路脇のトイレを作るとき、壁面をすべて板にしてもらい、白のクロスを貼りました。大きめのトイレなので、白壁面はかなりの面積になります。何よりも、板壁なので、釘やねじが使い放題。どこへでも額が掛けられるのが良い。

一方、故玩館本体の壁は漆喰なので、釘を打とうものならボロボロと崩れてきます。でも、柱や長押が縦横に走っているので、品物を掛けることは何とか可能です。

そんなわけで、このトイレ美術館の通常展示は重い額入り油絵です。

まずは、今回の品。

操作パネルが写っていると、ここがトイレであると実感されますね(^^;

山口硯閑『伊豆の漁村』、油彩8号。戦前。

山口硯閑:やまぐちけんかん、明治三三(1900)年ー?年、東京生れ。岡田三郎助に師事。風景画を得意とした。

なかなかに雰囲気のある絵です。

実はこの品、ネットオークションが始まってほどなく入手しました。その頃はまだ、オークションのルールが固まっていなくて、売り手と買い手がやり取りする余地が多く残されていました。一番多かったのは手渡しです。買い手には送料が不要ですし、売り手は梱包が簡単で済みます。この絵は、30㎞程離れた東濃の人が出品者でした。丁度、その方面へ出かける用事があったので、途中で落ち合い(当然、初対面)、代金を払って品物を受け取りました。ちょっとドキドキしますが、このような取引をけっこう頻繁に行いました。

この品は、大変安価でした。樋口一葉さん、半人前。というのも、多分タバコだと思いますが、表面が酷く汚れており、肝心の絵がぼんやりとしか見えていませんでした。しかし、絵のタッチから、これはいけると思いました。

家へ帰って、アルコールを含ませた柔らかい布で少しずつ汚れを落としていくと、だんだんと絵が現れてきました。

ほぼ、1か月後の品がこれです(表面に、タブローを塗りました)。

おだやかな朝の漁村の風景が描かれています。

そこで、こんなタイトルをつけました。

が・・・

うっかり、裏側を確かめていませんでした(^^;

『伊豆の網代』だったのです。

まったく当てずっぽでタイトルをつけたのですが、『伊豆の漁村』でも間違いではありませんでした(^.^)

それにしても、伊豆の風景を思わせる描写力は、なかなかのものですね。

 

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トイレ美術館1 芹沢銈介『型絵染 トリカボチャ』

2023年10月27日 | 絵画

先のブログで、トイレのステンドグラスを紹介しました。

このトイレ、手ごろな大きさの絵画をいくつか掛けてあります。

言わば、トイレ美術館(^.^)

同じように、トイレを美術品で飾ろうのコンセプト(大げさ(^^;)は、ブログ初期に紹介した、故玩館2階のトイレでも生きています(^.^)

例によって天邪鬼の虫がむくむくとわき、明治の和風建築の意表をついて、西洋の雰囲気を演出してみました。

 

今回のトイレ美術館は、故玩館2階のトイレに先立つこと7年、改修前の故玩館と住まいを繋ぐ通路脇に作ったトイレの名称です(勝手に呼んでいる(^^;)

ドアを開けると、

小さな額絵が目に入ってきます。

男性の場合、その間、じっと向かい合うことになります(^.^)

何ものか、不明です。

近寄ってみると、

6.0㎝x7.5㎝。昭和。

芹沢銈介の小さな型絵染です。

何を表しているのか、わかりません。

『無題』では淋しい。

ここでハタと閃きました。

これは、鳥兜に似ていないか?

なるほど似ています。

『鳥兜』・・・うーん、どうも堅すぎて絵にそぐわない。

そういえば、兜の頭の部分、ひょうきんなカボチャを思わせます・・・・

そうだ、『トリカボチャ』

今年のハロウィーンは、これで行きましょう(^.^)

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ガラス37 故玩館のステンドグラス②

2023年10月25日 | ガラス

今回は、故玩館内のステンドグラスです。

3か所にあります。

まず、2階へ階段をあがります。

階段両脇には、エスニックな品を掲げています。

上がり切った所にステンドグラスが一枚。

ほとんどの人が気がつきません。内側が暗いからです。

でも、反対側にまわると、

光を受けて、本来の輝きを出します。

26.7㎝x92.2㎝。昭和。

故玩館改修時に、周りと違和感のないステンドグラスをあちこち探しまわり、この品を見つけました。2階の間仕切りに嵌めこんでもらったところ、控えめなオレンジ、黄、薄緑が功を奏して、まあ、成功と胸をなでおろしました(^.^)

2階を進むと大皿のコーナーがあります。格子窓をバックにしています。ほとんどの人は、ここにステンドグラスがあることに気がつきません。

外からの光をあびると浮かび上がります(赤なのですがなぜか黄色に見えています)。

室内の灯りを消せば、くっきりと浮かび上がります。

格子窓に四角いステンドグラス・・・たしか、白州正子女史の武相荘に同じような物が・・・・他の場所だったかもしれません(昔のことで、記憶が曖昧(^^;)

品物はいたってシンプルな造りです。

50.5㎝x63.0㎝。大正ー戦前。

日本家屋には禁物の赤が使われています。しかし、英国のステンドグラスの赤のようにドギツク有りません。明治の建物にもしっくりきます。

ものすごく頑丈な造りです。どこかの洋館の窓として実際に使われていた物でしょう。私の持っている(た)ステンドグラスの中では一番古い物です(他にもいくつかありましたが、処分しました)。サイズも、誂えたかのようにピッタリ。何の支えも無しに窓枠に固定できました。

実はこの品、リサイクルショップで見つけました。当然格安。他にもあるはずと店主に掛け合いましたが、この一個だけでした。残念(^^;

階段を降りると、先日紹介した台所との間仕切りのある部屋に出ます。

左壁には、ランプシェードがあります。

これも、人は素通りです。

が、暗くなると存在感を示します。

幅 32.3㎝、高 15.3㎝、奥 16.1㎝。昭和。

これも主張が控えめなので、合格です(^.^)

辺りがほの暗くなると、

穏やかに故玩館を彩ります(^.^)

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ガラス36 故玩館のステンドグラス①

2023年10月23日 | ガラス

ここ何回か、故玩館内部のガラスを紹介してきました。

今回と次回は、ステンドグラス(色付き)です。

今回は、故玩館そのものではなく、居住部や故玩館と居住部を繋ぐ通路脇のステンドグラスです。

いずれも、故玩館大改修の以前に設えた物です。

今回のステンドグラスは、3か所です。

まず、私たちの居住建物のLDです。

上方の横長押は、アコーディオンカーテンの名残です(昔、流行った(^^;)。もう、築45年になります。リフォームをしたとき、大工さんに取り付けてもらいました。

LDの奥の方にあり、普段、太陽の光があまりはいらないので、南をみても、こんな感じでステンドグラスがほとんどわかりません(^^;

部屋の明かりを強くして反対側から見ると、

それらしく見えます。

29.5㎝x58.5㎝。日本製。昭和。

こちらが、台所から南を見た様子です。

控えめな色使いなので嫌な感じはしませんが、チョッと地味すぎ?(^^;

 

次のステンドグラスは、玄関を入ってすぐ、故玩館へ通じる通路の始まりの場所です。20年ほど前に増築しました。

向こう側は、一応、家事室となっています。修理、修復などの作業や資料置場として使っています。

その間仕切りの戸に、建具屋に頼んでステンドグラスを入れました。

昼間は玄関口が明るいので、ほとんど目立ちません。

夜、中で作業のため電気をつけると、

こんな感じになります。

19.0㎝x48.3㎝x2枚。英国製。20世紀。

設えてみてわかったのですが、日本の家屋(多少洋風でも)に本場、イギリスのステンドグラスはしっくりこないようです。特に、赤ガラスが入っていると、少しの間は綺麗ですが、いつも見ているとだんだん嫌気がさしてきます'(^^;

ここから階段を上がって故玩館へ行きます。

通路の右脇は、先日のブログで紹介したように洗面所になっています。

ここは光をひろう可能性の無い場所です。そこに、イギリスのステンドグラスが入っています。光が少ないことが幸いしてか、赤ガラスも違和感がありません(^.^)

洗面所の反対側は、トイレです。3か所目のステンドグラスがここにあります。

でも、ちょっと見た限りそれらしき物はどこにも・・・

このトイレ、広めなのです。広いのは良いのですが、少々落ち着きません。まあ、二人同時に入ることは無いにしても、何となく落ち着かないのです。

そこで、大と小の間を、間仕切りしました。

そして、そこへステンドグラスを入れました。

少の方・・・左に明るい解放感。

大の方はこんな感じ。

ぼやーと霞んでいるのが良いですね。

35.5㎝x78.9㎝。日本製。昭和。

赤ガラスを排して、紫、黄、青の配置が絶妙です。

次回のブログも含め、これまでステンドグラスをあちこちに使ってきました。どれも今一歩でした。が、この品だけは、我ながらうまくいったと思える成功例です。ステンドグラスを取り付けた大工さんや故玩館来訪者にほめていただいています(^.^)

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