よくわからない物シリーズ第3弾、今回は、李朝か瀬戸の物か迷っている品です。
胴径 10.8㎝、口径 3.2㎝、底径7.9㎝、高さ 20.9㎝。李朝?瀬戸?
口元が欠けています。私が金継ぎで直しました。
器の表面には、ジカンがビッシリとあります。胴には、大きな疵があります。火が入っているので、成型時にできた疵をそのままにして焼成したことがわかります。器表には小傷が多くあり、長く使われてきた品物特有の味わいがあります。
陶磁器に白釉を掛け、さらに地呉須で素朴な絵付けをしています。縦向きの魚の上方には、草花のようなものが描かれています。薄く細い線が縦に何本も走っているのは水でしょう。どうやら、魚(鯉?)が滝登りをしている図のようです。
徳利の下端ギリギリまで、尾鰭が描かれています。
この品は、数十年前に、地元の骨董屋で求めた品です。店主によると、李朝か瀬戸は、産地ははっきりしないとのことでした。瀬戸、美濃の古い陶磁器にも、数は少ないですが、淡い呉須で絵付けした物があるからです。
以来、李朝か?瀬戸か?もやーーーっとした気分を抱えたままです。このもやもやをはっきりさせるのが、ガラクタコレクターの断捨離(^^;
灰色がかった白釉にビッシリとジカン。
拡大図。
畳付けにも釉薬が施され(擦れて地が半分むき出し)、かわりに底が丸く釉剥ぎされています(屋号のような墨書有り)。胎土は粘土質の素朴な土、石咬みも見られます。
奇妙な魚です。頭の形からすると、背と腹が逆です。それとも、背びれは省略して、腹ひれのみ描いた? こんな魚は、李朝陶磁器に時々見られます。
さらに、魚の鱗に注目!
点々と描かれた鱗の部分が、弾けて穴があいているのです。
拡大図。
呉須を濃く塗った部分が、どうして破裂するのかわかりません。熱により、胎土の成分と反応してガスが生成するのでしょうか。
そうこうしているうち、東京の日本民芸館の展示品の一つが目にとまりました。李朝の大壷で、魚が描かれています。なんと、鱗の部分が弾けて、穴があいているではありませんか。
どうやら、今回の徳利は李朝の品と考えて良さそうです。
なかなかに味わいのある徳利です。
下戸の身としては、アルコールを入れるより、野の花(^.^)