遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

新羅須恵器壷

2021年09月10日 | 古陶磁ー高麗・李朝

新羅系と思われる須恵器の壷です。

最大径 21.4㎝、口径 14.6㎝、底径 14.1㎝、高 18.0㎝。新羅時代。

堅く焼き締まった壷です。

現在、こういう品は、あまり人気がありません。いかにも地味だし、考古学的には中途半端(^^;

しかし、須恵器は、陶磁器史上、一つの区切りとなる焼物だと思います。轆轤の冴え、高温焼成、美しいフォルム。釉薬と絵付けを除けば、完成度の高い焼物と言ってよいでしょう。

朝鮮半島の須恵器の技術は日本へ伝わり、各地で須恵器の生産が大規模に行われ、中世陶、六古窯にも影響を与えました。朝鮮半島の須恵器が、日本の生活文化に及ぼした影響の大きさは、はかり知れません。

さて、今回の品です。

口、肩、胴に、櫛目紋がぐるっと4本回っています。縦方向にも櫛目でアクセントがつけてあります。

特にこれといった見所のある品ではないですが、胴に黒く艶のある部分がいくつかあります。

火表になって、炎が回ったのでしょう。反対側は白っぽいです。

こういったところが、景色と言えば景色(^.^)

底は焔から遠いので、ほとんど白に近いです。

いっそ全体が白っぽくなって、中世陶の白瓷になれば、数十倍の値になるのですが(^^;

いくつか欠けがあります。口の欠けは非常に古いですが、高台の疵は最近できたばかり。この品、一時は、けっこうな頻度でお使いになっておられました。その時の疵でしょう。気軽に花を入れるには向いているのです。

欠けがそれほど気にならないのが、この品の最大の特徴か(^.^)

コメント (4)
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