遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

染付梅花紋水差

2021年09月13日 | 古陶磁ー中国

このところ、李朝・高麗関係の品をブログで紹介してきました。まだ、どこかにそれらしき品物があるはずなのですが、見つかりません。さてどうしたものかと、考えあぐねすちゃん(^^;)だったのですが、Dr.Kさんの今日のブログ「染付(瑠璃釉?) 水指」を見て、おぉ♪(ノ)’∀`(ヾ)そう言えば、となった次第です(^.^)

径 19.8㎝、高 16.4㎝。中国明末ー清初。

周りを染付で塗りつぶして、白抜きで梅の花が全面に描かれています。ざっと数えて180個。

横に、4本圏線が走っていて、これは轆轤目だと思っていたのですが、よく観ると意図的に凹線をつけたものでした。一種の装飾です。

底の釉薬が掛かっていない部分と上釉との境目に、赤茶色の細い線が現れています。

同じ線は、底の内側にも見られます。

 

さらに、口元にも赤茶の線が出ています。

拡大してみると、

釉薬(写真下半分)の切れた所から無釉の部分へ、赤茶色が浸み出したようになっています。このような茶色の線は、青磁の器によく見られます。青磁釉薬中の鉄分が外へ浸みだして、空気中の酸素で酸化されて発色するのです。この器は、青磁のようにはみえないのですが、釉薬中に鉄分(多分、不純物)が含まれていることは確かです。

内側をそういう目で眺めてみると、釉薬は透明ではなく、少し青味がかっていることがわかります。

ところが、口元無釉部分と内側の上釉との境には、全く赤茶色の線はありません。

この器には、本来、蓋が付いていたのですね。おそらく、窯で焼く場合も、蓋付きの状態で焼成したと思われます。そのため、内側には酸素が少なく、釉薬から浸み出した鉄の酸化が進まなかったのでしょう。

 

この器の本来の用途は水差しではないです。そんなに上等な造りではありません。それに、もし水差しとして作られていたならば、口元にもしっかりと釉薬がかかっていたはずです。

この品とほぼ同様の水差しを、他にもいくつかみたことがあります。日本の茶人が中国の日用雑器を、木の蓋をしつらえて、水差しに転用したのでしょう。

実は、私は一度だけ、元々の蓋(磁器で染付)がついた本来の器を見たことがあります。

その感想は・・・・田舎臭い漬物入れ。

蓋一つで、品物のイメージが大きく変わるものですね(^.^)

 

コメント (2)
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