今回は、雑器中の雑器、美濃焼の鉢(丼)です。
左:径 17.0㎝、底径 9.6㎝、高 6.2㎝。重 617g。大正―昭和。
右:径 17.9㎝、底径 9.9㎝、高 5.5㎝。重 608g。大正―昭和。
骨董市にいくらでも転がっていそうな品で、ブログに出すような代物ではありません(^^;
美濃、多治見か土岐の駄知あたりで大量に作られた美濃焼の品でしょう。
駄知で作られたダダクサな鉢 ・・・・・・・
駄馬ならぬ、駄鉢とネーミング(自嘲気味 ^^;)
左の駄鉢:
伝統的な一樹一屋の図です。底は碁笥底。一番の特徴は器の厚さです。現在の売られている鉢の倍ほどあります。器がそれほど大きくないので、ひどく重いとは感じません。
右の駄鉢:
器の造りは、左の駄鉢とほぼ同じ。
異なるのは、絵付けです。雑器にしては、なかなか洒落ています。
ダミの使い方が雑器にしては丁寧です。
よく見ると、葉脈は墨はじきで描かれています。
そして、この駄鉢の最大の特徴は・・・・・・・・
器をグルっと一周するほどのニュウです(^^;
ニュウは、反対側まで、見事に抜けています。
あまりにも危なっかしいので、数年前、私が漆を浸み込ませて留めました(気やすめ(^^;)
どうして、ここまで見事なニュウができたか?
その答えは、この鉢の年齢と使われ方にあります。
私が物心ついた頃には、もう今回の駄鉢たちは、食卓の上にありました。おそらく戦前から使われていたのでしょう。
それからずっと、今に至るまで、ほとんど毎日、この駄鉢たちは活躍しています。煮っころがしなどを盛るのに最適だからです。
深いニュウきずを追っても、なおけなげに現役。
百年戦士かもしれない鉢に、里芋を盛りました。
今年は干ばつで十年来の不作。大きな芋は全くありません。そのまま皮をむいたら、実がなくなってしまいそう(^^;
そこで思いついたのがキヌカツギ。
赤ちゃん芋を美味しく食べるうまい方法です。
ん!? これが衣カツギ?
鬼太郎の親爺かベビー布袋さん。
でも、上下逆転すると、
「衣被ぎ」(きぬかづき)を深くかぶった、平安時代の高貴な女性が浮かんできます(^.^)
剥いた部分に生姜醤油をチョンと付け、
「衣被ぎ」を指でギュッと押してやれば、つるりと白肌の小里芋が口の中に入ります ・・・・・うーん😋ウマイ。
指と口がとまりません(^^;
駄鉢の活躍は、まだまだ続きそうです(^.^~)