今思えば、「読んでみない?」というようなオーラを発していたように思う。
一気にのめり込み、あらゆる訳者の同名書籍を読み漁った。
いつか、「世界名作劇場」でアニメ化されないか、などと淡い期待もしていたのだが実現せず…。
それから20年以上の月日が経ち…。
たまたまその本のタイトルを検索したら、新訳版で出ていることを知った。

副題にもある通り、ドイツのお話。
7人の子どもたち(うち双子が1組)と両親とお手伝いさんのお話。
「児童書」という文字も全く気にせずに購入ボタンを押していた。
完全版ということだったので、知らないエピソードがあるかな?と期待していたのだが、
どうやら私が子どものころに買ってもらった偕成社から出ていた物が、完訳版に近いものだったらしく、
全部知っているエピソードばかりだった。
だが、記憶があやふやな部分もあったし、子どものころに感じていた不自然な日本語も直されていて、読みやすかった。
子どもの頃好きだった、3番目のオットーが、大人になった今読んでみると、ただの見栄っ張りに見えてしまったのは驚きだった。
逆にイマイチ好きでなかった2番目のヴィルヘルムが、意外と好青年でこちらも驚いた。
子どもの頃の印象と、今の印象とで変わらないのが長兄のカール。
やっぱり彼が一番素敵な青年かも。
当時のドイツ(1900年代頭)のことを知らないと、なかなかピンと来ない部分もあるだろうけど、
知らなくても知らないなりに楽しく読める作品だと思う。
どちらかと言えば子どもたちよりもお父さん・お母さんの方の年代に近くなったこともあり、印象もガラリと変わったけど、
それでも懐かしく読み進めることができた。
前に持っていた本が残っていれば、比べて読むこともできただろうから、そのあたりは残念。
でも新たに出版されて良かった。
児童書とはいえ、大人でも読みごたえは十分。
対象年齢としては、小学校高学年から中学生にかけて…と言ったところかな。
外国文学の翻訳版の宿命と言いますか、ちょっと難解な訳され方があるから小さな子には難しいかも…。